投資・資産形成

お金を有効に使う収支均衡型セミリタイアとは?

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2024年から新NISA(少額投資非課税制度)もスタートし、投資をされる方が増えています。

投資で資産が増えてくると憧れるのが、FIRE(経済的自立と早期リタイア)やセミリタイアという生き方です。

一方で、資産を増やすことに一生懸命になりすぎて、老後に必要以上の資産を残してしまう方がいるのも事実です。

それを回避する1つの解になり得るのが、収支均衡型セミリタイアを実行することです。

本記事では収支均衡型セミリタイアとは一体何なのか、そしてそのメリットなどについて解説していきます。

収支均衡型セミリタイアって何?

収支均衡型セミリタイアって何?収支均衡型セミリタイアは「稼いだ給料は生活費として使いきる、そしてセミリタイア実行までに資産運用してきた分は手をつけずに運用し続けるスタイル」を言います。

例えば、セミリタイア生活での手取りの給料が月20万円なら、生活費は月20万円に設定します。

一方で、セミリタイア達成までに運用して増やしてきた資産は老後まで運用し続けて取り崩しはしません。

老後資金は追加投資なしで時間をかけて準備していくようなイメージです。

なお、収支均衡型セミリタイアは別名で「コーストFIRE」とも呼ばれます。

収支均衡型セミリタイアのメリット!

そんな収支均衡型セミリタイアには、以下のようなメリットがあります。

老後にお金を残しすぎずに済む

早い段階から追加投資をストップするので、お金を老後に残しすぎる可能性が減ります

本来お金は若いうちに使った方が効果的です。若いうちに得た経験や勉強したことは長期間に渡って使えるからです。

また、歳をとると食は細くなり食べれなくなるし、旅行に行こうと思っても体力が落ちて行く気にならないかもしれません。

老後にお金をたくさん使おうと思っても有効に使えない可能性があるのです

投資家の間で有名な本に「DIE WITH ZERO」があります。


DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

この本でも、お金を使うタイミングが遅すぎること、有効にお金を使えない人が多いことを指摘しています。

収支均衡型セミリタイアなら一旦その段階に達してしまえば、あとは稼いだ分はどんどん使っていきます。

この点でお金とうまく付き合っていける生活スタイルと言えるでしょう。

資産が少なくても達成できる

少ない資産で達成できることも魅力の1つです。

FIREやセミリタイアを目指すには、例えば1億円など相当な資産を作る必要があります。

そのため、達成時に定年間近の50代後半などになってしまうことも考えられます。それなら定年まで働いても大して変わらないかもしれません。

一方で、収支均衡型セミリタイアであれば、生活費は基本的に稼ぐわけですからそこまでの資産は必要ありません。

例えば、40歳時点で1,000万円を運用していたとします。

その後、追加投資はなしで65歳まで運用し続けた場合、4%/年のリターンで資産は約2,700万円まで達します

つまり、40歳で1,000万円あれば、その時点で収支均衡型セミタイアに踏み切っても十分な老後資金を残せます。

このように5,000万円や1億円と言った多額の資産を必要としないので、若い時からセミリタイア生活へ移行できるという特徴があります。

シンプルで分かりやすい

稼いだ分は使う、運用している分は老後まで手をつけない、非常にシンプルです。

運用方針も投資の最適解と言える全世界株やS&P500指数へ連動する無配の投資信託を運用することで問題ありません。

後述の通り、新NISAの非課税枠を埋めるだけで十分なので税金のことも考える必要はありません。

他のセミリタイアやFIREと違って、どうやって取り崩そうとか、老後を迎えるまでに運用資産が枯渇したらどうしよう、ということを考える必要はないのです。

収支均衡型セミリタイアを実現するために必要なこと!

一方で、収支均衡型セミリタイアを実現するに当たり、以下の点は考えておく必要があります。

質素倹約の生活スタイルの確立

無駄のない質素倹約の生活スタイルを確立しておく必要があります

今の仕事を続けながら収支均衡型セミリタイアに移行するのなら問題ありません。

しかし、多くの方は仕事の負荷を下げたいと考えています。

仮に生活費が高く、今の給料水準を維持しないと生活できないのであれば、仕事の負荷を下げることは難しいでしょう。

したがって、生活コストを下げて身軽になっておくことが必要です

例えば、月15万円で生活できるのであれば、月に15万円だけ稼げばよいのです。

これなら今の仕事に固執せずとも別の仕事を探してもよいはずです。

しかし、月30万円や40万円で生活していれば、今の給料水準を維持するために仕事に重点を置いた生き方をしなければいけません。

収支均衡型セミリタイアでは生活費を稼ぎ続ける必要があるので、できるだけ生活費を下げておくことが成功の鍵を握ります。

生活費を稼ぐための仕事を探す

上述の通り、今の仕事を継続できるのなら問題はありません。

しかし、退職して別の仕事に変えるつもりなら、どんな仕事で生活費を稼ぐか考えておかなければいけません

今まで1つの会社でしか仕事をしたことがなければ、セミリタイア後の仕事探しはかなり大変です。

生活費が少なければアルバイトやウーバーイーツのような隙間時間にできる仕事も選択肢に入ります。しかし、そうでなければよく考えておく必要があります。

ご自身の生活費を考慮して、どのような仕事で生計を立てていくか事前に検討しておく必要があるのです。

変化への対応を検討しておく

収支均衡型セミリタイアは無職になっても生きていけるような状況を想定していません

あくまで生活費は労働で稼ぐことを想定しています。

したがって、仮に不測の事態が起きたり、何かしらの大きな環境の変化に遭遇した場合に困窮してしまう可能性があります。

老後まで手をつけないつもりでいた運用資産に手をつけたら、老後資金が足りなくなるかもしれないのです。

特に仕事をダウンシフトさせた場合は、再び高い給料の仕事に戻ることは難しいでしょう。

先にご紹介した通り、生活費を極力下げておくとか、地方移住などの選択肢も考えておくなど、万が一の変化にどのように対応するか検討しておく必要があります。

新NISAを埋めるだけで十分

収支均衡型セミリタイアのハードルは高くないと述べました。

しかし、具体的にどの程度の資産を作ってから移行すればよいのでしょうか?

これはセミリタイア移行時の年齢に大きく影響します。

例えば、40歳で1,000万円持っているのと、50歳で1,000万円持っているのでは、老後生活までの運用期間が10年も違うからです。

同じ1,000万円でも50歳よりも40歳の1,000万円の方が価値が高いのです。

新NISAを目標にするのが良い!

しかし、難しいことは抜きにして、目標の1つとしておすすめなのが新NISAの非課税枠を埋めることです。

新NISAの非課税投資枠は最大で1,800万円あります。

目安としてこの枠を埋めるくらいの資産を作れれば、収支均衡型セミリタイアに移行してよいでしょう。

例えば、25歳から45歳までの20年間に新NISAの非課税投資枠のうち1,000万円を埋めるには、月4万円ちょっとの積立投資が必要です。

年利4%のリターンがあったと仮定すると45歳時点の評価額は以下の通りです。

約1,460万円

その後、老後までの20年間を収支均衡型セミリタイア生活を送ったとします。

同じく年利4%のリターンがあったと仮定すると、追加投資なしでも3,000万円以上の資産に到達します。

約3,200万円

このように収支均衡型セミリタイアであれば、月10万円など多額の投資は必要ありません。

新NISAの枠を極力埋める方向で資産形成していけば、おのずと収支均衡型セミリタイアへ移行できる状態になります

配当金も加えた収支均衡型が良いかも!

著者は配当金も生活費に足しながら収支均衡型セミリタイアへ移行するのもありだと考えています。

例えば、私の場合は年間配当金を100万円近く受け取っています。

労働で基本的な生活費は全て賄い、配当金で旅行などの趣味を楽しむのであれば、今の生活をかなり充実させられます。

配当金を出す銘柄の元本や無配の投資信託の取り崩しは行わないので、長期的には資産は増えていきます。

先の想定では年4%のリターンを想定しましたが、過去のデータからは全世界株やS&P500への投資でもっと高いリターンが得られています。

配当利回りが極端に高い銘柄では元本の成長は見込めませんが、そういう銘柄でなければ配当抜きの株価成長だけでも4%程度のリターンを得られる可能性があります。

そのため、新NISAの成長投資枠でETFなど分配金を出す銘柄を保有するのも選択肢の1つです。

特に増配系の株を購入すれば、どんどん受け取る分配金を増やすことができるでしょう。

まとめ

本記事では収支均衡型セミリタイアについて解説しました。

収支均衡型セミリタイアは働くことを前提としているので、実現のハードルが低いことが特徴です。

また、その他のセミリタイアと比較して、お金を残しすぎずに若いうちから有効に使える可能性があります。

さらに収支均衡型セミリタイアであれば新NISAの非課税投資枠内で目指せます。

若いうちからコツコツと新NISAの枠を埋める努力をするだけで、おのずと収支均衡型セミリタイアができる状態に到達できるでしょう。

以上、ご参考になれば幸いです。

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