「世界中の高配当株へくまなく投資できる商品はないでしょうか?」
高配当株投資の王道は米国ですが、今後も米国の一人勝ち状態が続くとは限りません。米国だけでなく、その他地域も含む全世界の高配当株へ投資できる商品がほしいというニーズもあるのではないでしょうか。
本記事では、そんなニーズを満たす「ウィズダムツリー・グローバル高配当ファンド(DEW)」というETFをご紹介します。
大手ネット証券のSBI証券や楽天証券でも取引可能なETFですから、投資対象の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
ウィズダムツリー・グローバル高配当ファンド(DEW)とは?
「ウィズダムツリー世界株高配当ファンド(DEW)」は、先進国から新興国まで全世界の約35カ国、500銘柄以上の高配当株へ投資可能なETFです。2006年から運用されている歴史のあるETFです。
信託報酬は0.58%/年と少し高めですが、全世界の高配当株へ投資できる商品であることを考えれば、許せる範囲ではないでしょうか。
ウィズダムツリー・グローバル高配当ファンド(DEW)の特徴
- 全世界の約35カ国、約500銘柄へ分散投資
- 信託報酬は0.58%/年と高め
- 2021年3月時点で約3%の配当利回り
- 過去の推移からは、株価の上昇及び配当金の増配は見込めない
投資銘柄
DEWの投資銘柄で投資割合の高いトップ10を示します。
トップ10は全て米国企業です。米国高配当株ETFのHDVやVYMの上位銘柄と重複しています。
No. | 銘柄 | 国 | 割合 |
---|---|---|---|
1 | AT&T Inc | 米国 | 5.58% |
2 | Verizon Communications Inc | 米国 | 3.66% |
3 | JPMorgan Chase & Co | 米国 | 3.32% |
4 | Philip Morris International Inc | 米国 | 2.73% |
5 | Coca-Cola Co/The | 米国 | 2.71% |
6 | Altria Group Inc | 米国 | 2.32% |
7 | Citigroup Inc | 米国 | 2.25% |
8 | AbbVie Inc | 米国 | 2.10% |
9 | Pfizer Inc | 米国 | 1.96% |
10 | Cisco Systems Inc | 米国 | 1.62% |
注:2020年12月末時点のデータ
投資国
投資銘柄の上位が米国であることからも分かる通り、投資国の割合は50%以上が米国です。なお、上位10カ国で約9割と大部分を占めています。残りの20カ国以上が占める投資割合はたった1割程度です。
No. | 国 | 割合 |
---|---|---|
1 | アメリカ | 56.59% |
2 | 日本 | 5.09% |
3 | イギリス | 4.31% |
4 | オーストラリア | 4.31% |
5 | カナダ | 4.01% |
6 | ドイツ | 3.10% |
7 | 香港 | 2.92% |
8 | 中国 | 2.79% |
9 | 台湾 | 2.69% |
10 | スイス | 2.39% |
注:2020年12月末時点のデータ
投資セクター
次にセクター別の投資割合を下表にまとめます。
投資割合が一番高いのは、景気敏感セクターの金融で、約25%を占めます。一方で、景気に左右されにくいセクターである生活必需品、ヘルスケア、公共事業なども上位に入っており、バランスが取れていると言ってよいでしょう。
No. | セクター | 割合 |
---|---|---|
1 | 金融 | 25.38% |
2 | 通信サービス | 15.41% |
3 | 生活必需品 | 10.88% |
4 | 公共事業 | 8.87% |
5 | ヘルスケア | 8.13% |
6 | 素材 | 7.43% |
7 | 不動産 | 7.08% |
8 | 情報技術 | 6.38% |
9 | エネルギー | 5.00% |
10 | 資本財 | 3.80% |
注:2020年12月末時点のデータ
株価推移
DEWの設定以来の株価推移を確認しましょう。
残念ながら、現在の株価は2007年の設定時よりも低い水準にです。米国高配当株ETFのような右肩上がりの株価成長は期待できそうにありません。
配当金の推移
次に高配当株投資で最も重要な配当金の推移です。
下図は2009年以降の年間配当金の推移です。配当金は増配と減配を繰り返しており、この10年間ほぼ一定の水準に収まっています。
次に四半期ごとの配当金についてまとめた表を示します。
各月の配当金を見ても、大きな傾向を確認することはできません。6月の配当金が高い傾向にあるようですが、2020年はこの傾向が当てはまりませんでした。
DEWは投資対象としてどうか?
過去のDEWのパフォーマンスは、株価推移も配当金もイマイチの結果でした。
約35カ国の高配当株へ投資しているとは言え、50%以上は米国への投資です。米国への投資が大部分を占めるのであれば、手数料が安くパフォーマンスもよいHDV、SPYD、VYMなどの米国高配当株ETFを購入すればよいでしょう。
DEWは世界中へ投資できることがメリットですが、結局のところ米国以外の企業が足を引っ張っています。下記記事で新興国の高配当株へ投資するDEMをご紹介しましたが、やはりイマイチなパフォーマンスでした。
また、日本への投資割合も5%程度あります。米国や日本の高配当株ETFや高配当株を保有しているのなら、DEWを購入しながら各国の投資割合を調整するのは難しいかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では全世界の高配当株へ投資可能な「ウィズダムツリー・グローバル高配当ファンド(DEW)」をご紹介しました。
VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)のようにこれ一本を購入すれば十分な商品かと期待していましたが、投資対象としては厳しそうです。
高配当株ETFは米国へ投資する商品以外はなかなか良いものがありません。米国高配当株ETFを中心に、日本やその他の国の個別株で分散していくのがよいでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。