「米国ETF」への投資で、セミリタイアや配当金生活を目指している方も多いのではないでしょうか。
「米国ETF」は手数料が安く優良な商品が数多くあります。高校中退投資家も「米国ETF」への投資を中心に配当金生活の実現を目指しています。
一方で、「米国ETF」を保有する際に理解しておかなければいけないことがあります。それが、「為替リスク」です。
本記事では、この「為替リスク」についてご説明するとともに、配当金生活を送る上での対策について解説していきます。
高校中退投資家Toshiの投資実績
- 米国ETFを中心に2,000万円以上を運用
- 平均配当金は3万円/月以上
配当金生活における米国ETFの「為替リスク」
米国ETFは外貨(米ドル)で保有するものですから、「為替」を考えなければいけません。
「為替」は、米国ETFの「購入時」、「売却時」、「配当金受け取り時」のそれぞれで影響を与えます。
「購入時」のリスク
「購入時」のリスクは、購入時期を分散させることである程度抑えることができます。
毎月数万円などを積立で購入し続ければ、円高と円安の両方の時期に株を購入することになります。結果として、中間のドル円の為替レートへと近づいていくので、損をすることを避けることができます。
「売却時」のリスク
次に「売却時」ですが、米国ETFを活用して老後資金の構築や配当金生活を目指す方であれば、基本的に長期投資が前提になります。したがって、「売却時」のリスクにそこまで気を使う必要はありません。
ただし、老後になって売却を検討し始めた時は、「為替リスク」を考える必要があります。できるだけ円安の時に売った方が、円をもらう金額が多くなるからです。
「購入時」と同様に一定割合を定期的に売却していくことで「為替リスク」を避けることができるでしょう。
配当金受け取り時
「配当金を受け取り時」の為替の影響を避けることはできません。特に配当金生活をしている方にとっては大きな問題です。
配当金はドルでもらいますから、ドルを円に交換して生活費を確保する必要があります。
ドル円の為替レートは、2020年9月時点で約105円/ドル程度です。仮に円高になって、95円/ドルになった場合は下記に示すように受け取る日本円が少なくなります。
毎年10,000ドルの配当金を受領する場合を想定
為替レート105円/ドル:105円/ドル x 10,000ドル=1,050,000円
為替レート95円/ドル:95円/ドル x 10,000ドル=950,000円
1,050,000円−950,000円=100,000円
このように、配当金に生活費を依存するセミリタイア生活を送る方にとっては、為替レートの影響は非常に大きいのです。
過去の為替レートを考察
配当金受け取り時の為替リスクは避けられません。では、ドル/円の為替レートはどの程度変動があるのでしょうか。
過去20年の為替レートを振り返ってみると、80円/ドル~125円/ドルくらいまでの開き、つまり45円程度も為替が変動しています。
「配当金受け取り時」の為替の影響
ここでは年間11,000ドルの配当金を受け取った場合を考えます(110円/ドルで月10万円の配当金)。
この場合に受け取ることができる配当金は、最大で138万円(125円/ドル)、最低で88万円(80円/ドル)になります。
最大:11,000ドル x 125円/ドル=138万円
最低:11,000ドル x 80円/ドル=88万円
実に50万円も受け取ることができる配当金に差が出ることになります。50万円あれば数ヶ月は生活することができます。
これは極端な例ではありますが、社会情勢などによってドル/円は必ず変動しますので、円高になり配当金が多少減ることを想定しておかなければいけません。
特に貧乏セミリタイア生活を送る方にとっては、「為替リスク」は無視できないはずです。
為替リスクを軽減する方法
米国ETFを購入している時点で為替リスクを完全に回避することはできません。しかし、為替リスクを軽減する方法はいくつかあります。
ここでは、下記に示す3つの方法について説明していきます。
- 日本株を一定割合保有する
- アルバイト等で収入を得る
- 海外で生活する
①日本株を一定割合保有する
米国ETFだけでなく、日本株も保有しておくことです。
日本株であれば、日本円で配当金が出ますので、為替リスクを意識する必要はありません。
一定割合日本株を保有しておけば、日本円でもらえる配当金をある程度確保することができます。配当金に目処が立つので、安心して配当金生活を送れるでしょう。
ただし、事業を輸出に依存している日本企業への投資の場合、円高により業績が落ちる可能性があります。円高で海外からの購入が減るためです。
個別株への投資の場合はどのセクターに投資するのかも含めて検討が必要です。
②アルバイト等で収入を得る
簡単な労働をして為替差損分を稼ぐという手もあります。
例えば、月数万円でよいのでアルバイトなどで稼ぐことです。月に3万円稼ぐことができれば、年間36万円になります。
先ほど説明した通り、年間11,000ドルの配当金を受け取る場合、過去20年間の為替の変動で、最大50万円ほど受け取る配当金に差が出ました。
よほどのことがない限り、月数万円の収入で十分為替差損を補うことができます。仮に為替が円安側に動けば、多くの日本円を確保できるのでアルバイトなどは不要になるでしょう。
③海外で生活する
もう1つ考えられるのは、思い切って海外を拠点に生活するという選択肢です。
海外での生活になれば、日本円へ交換する必要はなくなります。また、ドルは世界の基軸通貨で、ドルをそのまま使える国もあります。
住信SBIネット銀行「ミライノデビット」やソニー銀行「Sony Bank WALLET」は、デビットカードとして預金口座のドルをそのままカード決済に使うことができます。
特に住信SBIネット銀行は、SBI証券との連携が容易であるため、受け取った配当金のドルを簡単に銀行口座へ移動させることができます。
ただし、日本に居住しながら海外生活を送るには、航空賃や日本の家賃を払う必要があります。人によっては、海外に居住地を移すという選択肢も出てくるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事でご紹介した通り、米国ETFへ投資されている方は、「為替リスク」をしっかりと頭に入れておく必要があります。一時的な円高が発生した場合は、それなりに日本円で使える配当金が減ることになるからです。
対策としては、日本株を一定割合で保有するとか、アルバイト等で収入を得るなどの方法をご紹介しました。やはり、月数万円でよいので配当金以外で稼ぐ手段を確保しておくことは、配当金生活を安心して送るために重要でしょう。
為替レートは、中長期的には円安方向に向かうとも言われていますが、こればっかりは誰にもわかりません。「為替リスク」も念頭に置いた上で、配当金生活/セミリタイアの実現を目指していきましょう。
以上ご参考になれば幸いです。