金融資産5,000万円の準富裕層になったらセミリタイアしよう!
このようにお考えの方もいるのではないでしょうか?
もし資産5,000万円をインデックスファンドで運用しているなら、4%ルールを活用して取り崩すのが一つの選択肢になります。
一方で、その場合どの程度が税金として持っていかれるのでしょうか?
取り崩すお金の全てを自由に使えるわけではありません。この点を見誤ると生活が破綻してしまう可能性もあります。
本記事では5,000万円程度の金融資産を取り崩しながら生活する際の税金について考察していきます。
5,000万円あればリタイアが現実味を帯びる
5,000万円の金融資産はリタイアが現実味が帯びてくる金額です。
総務省が実施した家計調査年報(2023年)によれば、単身世帯の生活費は約17万円/月です。
これを年間に換算すれば約200万円になります。
贅沢できる金額ではありませんが、生活するだけであれば年200万円程度のお金があればなんとかなるのです。
4%ルールでの取り崩し
投資の世界では4%ルールが有名です。
これは「リタイア時の運用資産の4%を毎年取り崩しても、30年後に資産がなくならなかった」という研究結果から来ています。
過去の投資のリターンから考えると、4%程度を取り崩して生活しても、かなりの確率で資産を減らすことなく生活できるのです。
したがって、年間生活費が資産の4%に到達すると経済的自立を達成したとも言えます。
金融資産5,000万円にこのルールを適用すると200万円になります。
5,000万円 x 4% =200万円
この金額は先にご紹介した単身世帯の年間生活費と一致します。
したがって、5,000万円の金融資産があれば、金融資産の取り崩しだけでも生活できる可能性があるのです。
含み益のみに課税される!
著者はSNSやブログでよく「5,000万円を運用していれば4%ルールで200万円の資産所得が得られる」と説明します。
しかし、これは厳密に言えば間違いだと言えます。
なぜなら、投資から得られる収益は含み益のみだからです。
例えば、累計で1,000万円を投資に回した方がいたとします。
そして、現在含み益が1,000万円あり、評価額が2,000万円であったとします。
この2,000万円を全額売却しても、課税されるのは含み益の1,000万円のみです。
これは当然と言えば当然の話です。あくまで儲かった部分が所得なのです。
税制優遇制度を活用せよ!
NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば税金を最小限に抑えることが可能です。
NISAは国が用意した税制優遇制度です。NISA口座内で運用する商品に利益が出ても国内課税は免除されます。
例えば、運用額が1000万円の方が4%の40万円分を取り崩しても、そのまま40万円を受け取ることができます。
このNISAには1,800万円の非課税投資枠があります。
これに含み益が乗れば、将来的には3,000万円、4,000万円の評価額になっていく可能性があります。
将来的にはこのNISAの投資枠をフルに活用してリタイアされる方が出てくるでしょう。
4%ルールで取り崩した場合の税金はどうなる?
それでは上述の点も加味して、5,000万円を4%ルールで取り崩した場合の課税額について考えてみましょう。
NISAで4,000万、特定口座で1,000万を運用
NISA口座での運用には税金がかからないので売却分をそのまま受け取れます。
また、特定口座は500万円を投資して、含み益が500万円あったと仮定します。
この場合は以下のように約4万円を税金として払う必要が出てきます。
課税所得:500万円 x 4% = 20万円
税金:20万円 x 20.315% = 約4万円
結果として手取りは196万円になります。
200万円 − 4万円=196万円
NISAで3,500万、特定口座で1,500万を運用
同様に特定口座の含み益が半分(750万円)だったと考えて計算します。
課税所得:750万円 x 4% =30万円
税金:30万円 x 20.315% = 約6万円
手取りは194万円になります。
200万円 − 6万円=194万円
NISAで3,000万、特定口座で2,000万を運用
同様に特定口座の含み益が半分(1,000万円)だったと考えて計算します。
課税対象:1,000万円 x 4% =40万円
税金:40万円 x 20.315% = 約8万円
手取りは192万円になります。
200万円 − 8万円=192万円
このようにNISA枠をうまく活用していれば、支払う税金をかなり低く抑えることができます。
確定申告すれば更に税金を減らせるかも
仮に投資以外の所得がなければ、確定申告することで税金をほぼゼロにできる可能性があります。
なぜなら、所得税や住民税には基礎控除があるからです。
所得税:48万円
住民税:43万円
注:2024年時点
したがって、所得が投資からの利益しかない方であれば、確定申告することでこちらの控除枠を活用することができます。
先に示した事例では特定口座で2,000万円を運用しており、含み益が1,000万円の場合は4%ルールの課税対象は40万円でした。
この所得は上記の基礎控除枠に収まります。確定申告で支払った約8万円の税金が還付される可能性もあるのです。
ただし、各々の含み益の大きさや他の所得の状況によって変わります。あくまで参考程度にしていただき、詳細については税理士等にご相談ください。
5,000万円の4%であれば税金を考える必要はほぼない
上述の通り、NISA口座をうまく活用すれば所得税と住民税をほぼ払う必要がありません。
もちろん、特定口座の含み益の割合によっても変わるため一概には言えません。
しかし、5,000万円の大半が含み益だという方は少ないでしょうから、税金について過度に心配する必要はないのです。
また、しっかり税制を理解して確定申告することで、更に税金を抑えることができるかもしれません。
5,000万円程度の資産でリタイアするのであれば、多額の税金を支払う必要はないのです。
以上、ご参考になれば幸いです。