「米国ETFには数多くの商品がありますが、どの商品が人気なのでしょうか?」
本記事では、ネット証券大手のSBI証券と楽天証券の「米国ETFの人気ランキング」をご紹介します。
人気ランキングを確認すると、株価が急激に上昇している指数やセクターの商品が多く並んでいます。また、かなりリスクの高い商品も上位にランクインされていることもあるでしょう。
深く考えずにランキング上位の商品を購入してしまうと、必要以上にハイリスクなポジションをとってしまう可能性があります。人気ランキングに惑わされずに、ご自身の状況にあった商品を選択する必要があります。
そこで、本記事では9月末時点の米国ETFの人気ランキングをご紹介するとともに、ランキング上位の商品について個別に解説していきたいと思います。米国ETFを購入する際の参考にしていただければ幸いです。
なお、2020年8月末時点の米国ETFの人気ランキングは下記記事でご紹介しておりますので、興味のある方はご覧ください。
米国ETFの週間売買ランキング
SBI証券と楽天証券の9月最終週の週間売買ランキングを下表に示します。
順位 | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
1 | iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG) | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET(QQQ) |
2 | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET(QQQ) | バンガード S&P 500 ETF(VOO) |
3 | iシェアーズ iBoxx USD投資適格社債 ETF(LQD) | Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF(TECL) |
4 | SPDR BBバークレイズ ハイイールド債券 ETF(JNK) | SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD) |
5 | iシェアーズ JPM USDエマージング債券 ETF(EMB) | Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF(SPXL) |
6 | ヴァンエックベクトルJPM新興国債券ETF(EMLC) | バンガード・米国高配当株式ETF(VYM) |
7 | Direxionデイリーテック株ブル3倍ETF(TECL) | iシェアーズ コア米国高配当株(HDV) |
8 | iシェアーズ iBoxx USD Hイールド社債 ETF (HYG) | バンガード・米国トータル債券市場ETF (BND) |
9 | SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD) | SPDR ゴールド・シェア (GLD) |
10 | バンガード S&P 500 ETF(VOO) | バンガード トータルストックマーケットETF(VTI) |
出典:SBI証券HP及び楽天証券HPより作成。SBI証券は9/28〜10/2、楽天証券は9/27〜10/3の週間売買代金ランキング。
8月末時点のランキングでは、SBI証券と楽天証券にランクインしている銘柄に違いはありませんでしたが、今回はSBI証券と楽天証券で銘柄に大きな違いが見られました。表の中で青字で示したETFはどちらか片方のランキングにしか入っていない銘柄です。
SBI証券では、8月末のランキングと比較して大きな違いが見られます。特に債券ETFが6つも上位にランクインしている点が特徴的です。ランキング1位のAGGは日本でも知名度の高い債券ファンドですが、その他のETFは新興国の債権や社債など投資対象は多岐に渡ります。
楽天証券は、8月時点のランキングに含まれていた銘柄が引き続き9月もランクインしています。ただし、6位にバンガード・米国トータル債券市場ETF (BND)が含まれており、SBI証券と同様に債券ETFが新たにランクインしました。
私が長期で積立している全世界の株式を投資対象とした「バンガード トータル ワールド ストックETF(VT)」は、今回はランク外となりました。一方で、高配当米国ETFで購入している3商品(HDV、SPYD、VYM)は楽天証券にランクインしています。
ランキングの所感
今回のランキングでは、多数の債券ETFが新たにランクインしました。理由はわかりませんが、この1ヶ月で株式ETFから債券ETFへ投資対象を移した方が多かったようです。
また、SBI証券のランキングでは債券ETFが6つも入るなど、8月のランキングから大きな変動がありました。楽天証券のユーザーと比べて、SBI証券のユーザーの方がかなりアクティブに商品を変える傾向にあるのかもしれません。
米国株を投資対象とした人気のVOO(バンガード・S&P500ETF)やVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)は引き続きランクインしており、やはり不動の人気です。これらのETFを購入し続けるだけで、十分平均点以上のリターンを狙えますので非常にお勧めの商品です。
ランキング上位商品の紹介
ここでは、ランキング上位の商品をご紹介したいと思います。2020年8月のランキングをご紹介した際に、QQQやVOO等のETFはすでにご紹介しておりますので、それ以外から下記3名柄についてピックアップしました。今回は全て債券ETFのご紹介です。
- iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG)
- iシェアーズ iBoxx USD投資適格社債 ETF(LQD)
- SPDR BBバークレイズ ハイイールド債券 ETF(JNK)
iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG)
本銘柄は、米国全体の投資適格債券へ投資する銘柄で、国債、政府関連債、社債など幅広い債券を投資対象としています。なお、2003年に運用を開始したETFです。
債券は安定した配当が魅力ですが、10月7日時点で配当利回りは2.29%とそこまで高くありません。ただし、経費率は0.05%とかなり低い水準になっています。
コロナショックにより、118ドル/株程度であった株価が、110ドル程度まで約7%下落しました。株式では同時期に30%程度の下落を経験しましたので、債券の安定性の高さが分かります。また、3月の下落からの回復も早く、4月時点ですでに下落前の水準に戻っています。
iシェアーズ iBoxx USD投資適格社債 ETF(LQD)
本商品も米国の債券へ投資するものですが、名前の通り社債を投資対象としています。2002年に運用を開始しました。
投資対象の上位には「BANK OF AMERICA」や「JPMORGAN CHASE & CO」などの有名企業の社債がランクインしています。配当利回りは2.89%で経費率は0.14%です。AGGよりは高い配当利回りであるものの、3%未満の水準です。
コロナショックにより、134ドル/株程度であった株価が、107ドル程度まで約20%下落しました。AGGと比較すると高い下落ですが、株式の30%と比較すれば低い水準でした。AGGと同様に株価はすぐに下落前の水準に戻っています。
SPDR BBバークレイズ ハイイールド債券 ETF(JNK)
流動性が平均以上である米ドル建ての高利回り社債を投資対象とするETFです。格付けの低い投資不適格な社債への投資になりますので、リスクもそれなりに高い商品です。2007年に運用を開始したファンドです。
利回りの高い社債を投資対象にしているだけあって、2020年10月現在で5.45%とかなり高い配当が魅力です。ただし、経費率は0.40%と、今回ご紹介したETFの中で最も高くなっています。
コロナショックにより、110ドル/株程度であった株価が、86ドル程度まで約22%下落しました。先にご紹介したLQDと同程度の下落率です。2020年10月現在で105ドル/株程度であるため、まだ下落前の水準までは戻っていません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
米国ETFの人気ランキングを確認することで、他の投資家がどんな商品を購入しているのか理解することができます。今回は債券ETFが多くランクインしており、この1ヶ月で株式ETFから債券ETFへと投資対象が移っていることがわかりました。
また、今回ご紹介した3つのETFは、同じ米国の債券を対象としているものの、配当利回りやコロナショックでの下落率に大きな違いが見られました。JNKは高い配当利回りが魅力ではありますが、リスクも高い商品になりますので、投資初心者の方は注意が必要でしょう。
まだ8月、9月しかランキングを分析できていませんが、ランキングを見る限りSBI証券のユーザーの方が、アグレッシブな投資家が多いように思います。
投資初心者の方はハイリスクの商品を掴まないように、十分確認してから購入を進めるようにしましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。