投資・資産形成

米国ETF週間売買ランキングを考察(2020年8月)

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「米国ETFには数多くの商品がありますが、どの商品が人気なのでしょうか?」

本記事では、ネット証券大手のSBI証券と楽天証券で購入されている「人気米国ETFランキング」をご紹介します。

人気ランキングをみると、現在株価が急激に上昇している指数やセクターの商品が多く並んでいます。また、かなりリスクの高い商品も上位にランクインされています。

ランキング上位の商品を購入すると、必要以上にハイリスクなポジションをとってしまう可能性もあります。人気ランキングに惑わされずに、ご自身の状況にあった商品を選択するようにしないといけません。

本記事では、人気ランキングをご紹介するとともに、特に上位3位までに入った商品について、個別に解説していきたいと思います。

米国ETFの週間売買ランキング

SBI証券と楽天証券の8月24日から1週間の週間売買ランキングを下表に示します。

順位 SBI証券 楽天証券
1 インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET(QQQ) インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET(QQQ)
2 バンガード S&P 500 ETF(VOO) Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF(TECL)
3 Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF(SPXL) バンガード S&P 500 ETF(VOO)
4 Direxionデイリーテック株ブル3倍ETF(TECL) Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF(SPXL)
5 SPDR ゴールド シェア(GLD) SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD)
6 SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD) 金融セレクト セクター SPDR ファンド(XLF)
7 バンガード トータルストックマーケットETF(VTI) バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)
8 バンガード トータル ワールド ストックETF(VT) バンガード トータルストックマーケットETF(VTI)
9 バンガード 米国情報技術セクター ETF(VGT) Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF(SOXL)
10 金融セレクト セクター SPDR ファンド(XLF) iシェアーズ コア米国高配当株(HDV)

出典:SBI証券HP及び楽天証券HPより作成(2020年9月1日時点)

SBI証券と楽天証券のランキングにほとんど違いはありませんが、赤字で示したETFはどちらか片方のランキングにしか入っていない銘柄です。

SBI証券では、金に連動するETFである「SPDR ゴールド シェア(GLD)」が5位にランクインしているのが特徴的です。最近は金の価格が暴騰しておりますので、購入された方が増えたのかもしれません。

楽天証券は、高配当ETFである「バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)」と「iシェアーズ コア米国高配当株(HDV)」がランクインしています。SPYD、VYM、HDVの3つの人気高配当ETFが全てランクインしています。

私が長期で積立している全世界を投資対象とした、「バンガード トータル ワールド ストックETF(VT)」はSBI証券のみにランクインしていました。また、高配当ETFとして保有するSPYDとVYMは、SPYDは両方に、VYMは楽天証券のみにランクインしています。

ランキングの所感

正直驚いたのは、ブル型のETFが数多くランクインされていることです。詳細は後述しますが、かなりリスクの高い商品なので、投資初心者へは購入はおすすめしません。

こういった商品がランキングに入ってくるということは、実は多くの方が、「高いリスクをとって投資をしている」ことになります。

また、日本でも人気の高い「バンガード S&P 500 ETF(VOO)」や「バンガード トータルストックマーケットETF(VTI)」と言った米国を投資対象としたインデックスファンドが上位に入っています。

これらのインデックスファンドで十分平均点以上のリターンを狙えますので、あえてリスクの高いブル型のETFを購入する必要はないでしょう。

株価が上昇している商品をみると、あれもこれも購入したくなる気持ちは分かります。しかし、人気ランキングに騙されず、ご自身の許容リスクをしっかり考えて投資商品を選定することが重要です。

ランキング上位商品の紹介

ここでは、SBI証券と楽天証券の上位3位までの商品をご紹介したいと思います。

2商品(QQQとVOO)が両方のランキングに入っていますので、合計で下記4つのETFについて紹介していきます。

  • QQQ
  • VOO
  • SPXL
  • TECL

インベスコQQQトラストシリーズ1ET (QQQ)

米国ナスダック市場の大型株100銘柄で構成される「ナスダック-100」指数に連動するように設定されたETFです。1993年から運用されており、歴史のある商品です。

ナスダックに上場する「金融銘柄」を除いて構成されており、時価総額上位100銘柄の時価総額を加重平均して算出しています。分配利回りは0.5%程度ですので、値上がり益を狙うETFです。

後に紹介するVOOなどのS&P500を投資対象としたETFと比べて、株価の乱高下がかなり激しいのが特徴です。

コロナショックにより、240ドル程度だった株価が約30%低下して、170ドル程度まで下がりました。しかし、その後の株価の上昇は凄まじく、8月末現在で過去の最高値を超えた300ドル程度まで上昇しています。

構成銘柄

QQQの構成銘柄を下表に示します。アップルやマイクロソフト、アマゾンと言った有名企業が名を連ねています。

ただし、上位3位までの銘柄で全体の30%以上を占めている点には、注意が必要です。

順位 銘柄 割合
1 APPLE ORD 11.99%
2 MICROSOFT ORD 11.51%
3 AMAZON COM ORD 10.23%
4 FACEBOOK CL A ORD 4.06%
5 ALPHABET CL A ORD 3.68%

出典:SBIホームページを基に作成(2020年9月1日時点)

バンガード S&P 500 ETF(VOO)

バンガード S&P500 (VOO) 

VOOは、日本でもかなり有名なETFです。アメリカの優良企業を集めた「S&P500」という指数に連動するように設計された商品です。分配利回りも1.7%程度とそれなりにあります。

また、経費率0.03%/年は激安です。100万円を預けて、1年間でたった300円の経費ですので、これ以上手数料を下げることはできないのではないでしょうか。

コロナショックにより、310ドル程度だった株価が約35%低下して、204ドル程度まで下がりました。しかし、その後はQQQと同様に株価は回復し、8月末現在で過去の最高値を更新して320ドル付近まで到達しています。

銘柄

上位銘柄は先ほどご紹介したQQQとほぼ同じです。一方で、S&P500の方が銘柄数が多いため、上位銘柄が占める割合はQQQより低くなっています。

順位 銘柄 割合
1 MICROSOFT ORD 5.53%
2 APPLE ORD 5.26%
3 AMAZON COM ORD 4.03%
4 FACEBOOK CL A ORD 2.14%
5 ALPHABET CL A ORD 1.70%

出典:SBIホームページを基に作成(2020年9月1日時点)

Direxion デイリーS&P500 ブル3倍ETF (SPXL) 

商品名に「ブル3倍」とある通り、「ブル(レバレッジ)型ETF」と言われる商品です。具体的には、S&P500のパフォーマンスの300%に連動するように設計されています。

例えば、S&P500が2%前日に比べて上昇すれば、このETFでは6%程度上昇します。逆に、2%下がった場合は、6%程度低下することになります。

上昇時には大きな利益を得られる一方、下落時には大きな損失を受ける、非常にリスキーな商品です。

コロナショックにより、75ドル程度だった株価が17.5ドル程度まで下落しました。割合で計算すると、75%以上も株価が下落したことになります。

しかし、現在は60ドル以上の株価へと回復しています。もし仮に、3月に20ドル程度で購入できていたならば、すでに約3倍の株価へと上昇したことになります。

経費率は0.95%と他と比べて高めになっていますし、下落時には大きく損失する可能性がありますので、投資初心者の方は購入は控えた方がよいでしょう。

銘柄

本ETFは、主にIVV(iシェアーズ・コア S&P 500ETF)を購入しています。IVVは先に紹介したVOOとほぼ同じで、S&P500へ連動する商品です。当然ながら下記に示す通り、上位銘柄もVOOとほぼ同じです。

順位 銘柄 割合
1 MICROSOFT ORD 6.01%
2 APPLE ORD 5.79%
3 AMAZON COM ORD 4.50%
4 FACEBOOK CL A ORD 2.13%
5 ALPHABET CL A ORD 1.66%

出典:SBIホームページを基に作成(2020年9月1日時点)

Direxion デイリーテクノロジー株 ブル3倍ETF (TECL) 

SPXLと同様に、TECLも「ブル型ETF」です。テクノロジー・セレクト・セクター指数の300%のパフォーマンスに連動するように設計された商品です。

コロナショックにより、330ドル程度だった株価が80ドル程度まで急激に下落しました。この商品も、75%程度株価が下落したことになります。

しかし、その後の伸びは凄まじく、すでに400ドル程度まで上昇しています。仮に底値で購入できていたならば、5倍程度まで株価が上昇した計算になります。

銘柄

マイクロソフトやアップルなどが上位銘柄となっています。また、9月1日時点では、かなりの割合を投資信託などで一時的に運用しているようです。

順位 銘柄 割合
1 DREYFUS GOVERNMENT CASH MANAGEMENT;INSTITUTIONAL 19.26%
2 MICROSOFT ORD 11.30%
3 GOLDMAN SACHS FS TREASURY INSTRUMENTS FD;INST 10.99%
4 APPLE ORD 10.88%
5 BANK OF NEW YORK CASH RESERVE FUND 10.85%

出典:SBIホームページを基に作成(2020年9月1日時点)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

米国ETFの人気ランキングをみると、現在株価が急激に上昇している指数やセクターの商品が並んでいます。米国市場では過去最高値の株価を更新している商品が多数ありますので、それらの情報につられて購入される方が多いのかもしれません。

一方で、こういった相場では、下がる時は一気に下がりますので、リスクの取りすぎには注意が必要です。購入を検討されている方は、ご自身のリスク資産の割合について今一度確認することをお勧めします。

お金に余裕があるのなら、乱高下の激しい「ブル型ETF」で遊ぶのも面白いかもしれません。私にはまだそのような余裕はないので、高配当ETFとインデックスファンドの購入を継続していきたいと思います。

以上、ご参考になれば幸いです。

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