投資のポートフォリオをできるだけシンプルにしたいとお考えではないでしょうか?
そんな方におすすめなのが全世界の株式を投資対象にする商品を選定することです。
全世界の株式へ投資しようと考えた場合、「VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)」と「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))」という銘柄が真っ先に候補に上がります。
これら2つの商品の違いは一体何なんでしょうか?そして、どちらへ投資すればよいのでしょうか?
本記事ではVTとオルカンの両方を保有する高校中退投資家TOSHIが、その違いを解説するとともにどちらに投資すべきか解説していきます。
VTとオルカン違いは何なのか?
結論から言うと、VTもオルカンもほぼ同じです。
投資対象はともに全世界の株式ですし、リターンに大きな差はありません。ただし、軽微な違いはありますので、以下で解説していきます。
投資対象が若干違う!
VTとオルカンは投資対象である指数が違います。
VT:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
オルカン:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
この2つの指数の違いを簡潔に言えば、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスの方は小型株を含むため銘柄数が多いことです。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス:9,427銘柄
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス:2,882銘柄
注:2023年1月時点
銘柄数だけを見れば3倍以上とかなりの違いがあります。
一方で、各指数のトップ10銘柄はNvidiaとExxon Mobil Corporationの順位が違うだけです。また、上位10銘柄の割合も大きな違いはありません。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスの上位銘柄
銘柄 | 割合(%) |
---|---|
Apple Inc. | 3.20 |
Microsoft Corp | 2.74 |
Amazon.Com | 1.35 |
Alphabet Class A | 0.88 |
Alphabet Class C | 0.79 |
Exxon Mobil Corporation | 0.71 |
Nvidia | 0.69 |
Unitedhealth Group | 0.69 |
Tesla | 0.66 |
Johnson & Johnson | 0.63 |
Total | 12.34 |
注:2023年1月末時点の情報を基に作成
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスの上位銘柄
銘柄 | 割合(%) |
---|---|
Apple Inc. | 3.85 |
Microsoft Corp | 2.92 |
Amazon.Com | 1.57 |
Alphabet Class A | 0.98 |
Alphabet Class C | 0.92 |
Nvidia | 0.81 |
Exxon Mobil Corporation | 0.80 |
Unitedhealth Group | 0.78 |
Tesla | 0.77 |
Johnson & Johnson | 0.71 |
Total | 14.11 |
注:2023年1月末時点の情報を基に作成
リターンの違い
次に直近5年の各指数のリターンを見てみましょう。
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
---|---|---|---|---|---|
FTSE | -9.6% | 27.1% | 16.8% | 18.5% | -17.9% |
MSCI | -9.4% | 26.6% | 16.3% | 18.5% | -18.4% |
各指数のリターンに大きな違いはないことが分かります。
分散効果を考えるなら銘柄数の多いFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスですが、小型株がリターンに与える影響は小さいことが分かります。
各指数へ投資できる商品とは?
実はVTやオルカンのように「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」と「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」に投資できる銘柄は複数あります。
以下で簡単に主要な投資銘柄をご紹介していきます。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
こちらは本家米国ETFであるVTと投資信託があります。投資信託は本家VTへ投資するだけの商品です。
米国ETFであるVTは四半期ごとに分配金を受け取ることができます。
一方で、残り2つの投資信託は基本的に配当を受け取ることはできません。
「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」
「オルカン」は投資信託ですが、実は国内ETFへも投資が可能です。
・投資信託:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・国内ETF:MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信
こちらも国内ETFの方は分配金を受け取ることができます。しかも以下でご紹介したとおり二重課税の調整対象である点も魅力です。
結局どの商品へ投資すればよいのか?
それでは結局どちらの指数へ、そしてどの銘柄へ投資すればよいのでしょうか?
まず指数ですが、正直どちらの指数へ投資しても対して変わらないというのが答えです。
先にご紹介したとおり、上位10銘柄の割合や顔ぶれに違いはほぼありません、そのため、各指数のリターンに大きな違いはありません。
初心者には投資信託がお勧め!
そう考えると投資銘柄の違いで判断することになります。
投資初心者の方であれば、少額から投資ができ、手数料が安い投資信託の使い勝手がよいでしょう。
銘柄 | 信託報酬 | 純資産額 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0.1144%程度 | 8,894億円 |
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド | 0.1338%程度 | 195億円 |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 0.199%程度 | 2,479億円 |
注:2023年2月時点の情報を基に作成
3つの銘柄の中でも最も手数料が安く、純資産額も十分な「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が最もお勧めです。
分配金がほしいならETFもあり!
一方で、分配金を受け取りたいのであればETFを選択する手もあります。
二重課税の調整を自動で対応してくれる「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」がよさそうです。しかし、売買数量が少ないのが難点です。
また、米国ETFであるVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)は二重課税や手数料の面でデメリットがあります。
したがって、ETFへの投資は分配金がほしいという強い希望がある方以外はお勧めできません。
まとめ
本記事ではVTとオルカンの違いについてご紹介しました。
VTとオルカンは連動を目指す指数に違いはあるものの、上位の構成銘柄に大きな違いはありません。リターンもほぼ同じですから、指数の違いはそこまで意識する必要はないでしょう。
手数料や投資のしやすさなどを考えれば、初心者の方には「オルカン」の方がおすすめです。
以上、ご参考になれば幸いです。