日本の証券会社から様々な「高配当株ETF」を購入することができます。
配当金を増やしたいとお考えの方なら、これらの高配当株ETFへの投資は有力な選択肢になります。個別株への投資はリスクが高く、管理も大変だからです。
高配当株ETFには米国を投資対象にするものから、新興国、日本、全世界など幅広い商品が存在します。
本記事では、それらの高配当株ETFの商品を比較するとともに購入戦略について検討していきます。
日本から購入可能な高配当株ETF一覧
主要な商品に絞れば、「高配当株ETF」の種類はそんなに多くありません。
大手ネット証券であるSBI証券や楽天証券を通じて購入可能な商品を下記にまとめます。
日本が投資先の高配当株ETF
- MAXIS 日本株高配当70マーケットニュートラル(1499)
- 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 (1489)
- 野村日本株高配当70連動型上場投信 (1577)
- ダイワ上場投信-TOPIX高配当40指数 (1651)
- One ETF高配当日本株 (1494)
米国が投資先の高配当株ETF
- iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF(HDV)
- バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)
- SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)
新興国が投資先の高配当株ETF
- ウィズダムツリー新興国株高配当(DEM)
全世界が投資先の高配当株ETF
- ウィズダムツリー世界株高配当ファンド(DEW)
やはり日本と米国を投資対象にする商品の選択肢が多いです。しかし、それ以外にも全世界や新興国を投資対象にする商品もあります。
これらの商品を組み合わせることによって、世界中の高配当株を購入することだって可能です。
高配当株ETFを比較してみよう!
それでは、それぞれの商品のリターンはどうでしょうか?
日本が投資先の商品からは「野村日本株高配当70連動型上場投信 (1577)」を、米国が投資先の商品からは「バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)」を選定して、各カテゴリーのパフォーマンスを比較します。
投資先 | トータルリターン | 配当利回り | ||
---|---|---|---|---|
3年 | 5年 | 10年 | ||
日本 | 0.23% | 6.26% | – | 3.07% |
米国 | 11.99% | 12.17% | 12.29% | 2.72% |
新興国 | 3.99% | 9.29% | 0.71% | 3.71% |
全世界 | 4.91% | 6.94% | 4.16% | 3.54% |
注:日本と米国は2021年5月末時点の情報、新興国と全世界は2021年4月末時点の情報を基に作成。配当利回りは2021年5月末時点の株価に対する2020年の年間配当金で算出。
トータルリターンを見ると、米国高配当株ETFの一人勝ち状態になっています。10年リターンで10%以上をキープしています。ただし、配当利回りは現在の株高を反映して低めです。
新興国の10年リターンはほぼ0%、全世界は約4%です。日本は設定から10年を超えていませんが、5年リターンは全世界と同じレベルです。
高配当株ETFの投資戦略は?
上記のリターンを踏まえて、高配当株ETFに対する高校中退投資家の考えをまとめます。
- 米国高配当株ETFは定期買付
- 日本株高配当株ETFは暴落時にスポット購入
- 新興国高配当株ETFは見送り
- 全世界高配当株ETFは見送り
米国が投資先の高配当株ETF
米国の高配当株ETFは最もパフォーマンスがよく、10年リターンを見ても安定感抜群です。私なら定期積立での購入を検討します。
もちろん、今後もこのパフォーマンスが続くとは限りません。しかし、過去のデータを見る限り、メインの投資先にすべきなのは米国で間違いありません。
下記記事でもご紹介したとおり、VYMやHDVは配当金だけでなく株価の上昇も狙える商品です。
株価が右肩上がりで上がっていく可能性が高いので、定期積立での購入でも損をする確率が低いはずです。
日本が投資先の高配当株ETF
直近5年のトータルリターンは6%程度で、あまり高くはありません。
また、3年リターンは0%付近ですので、過去のデータからは株価の上昇はほとんど期待できないでしょう。
あまりリターンは高くないのですが、日本人にとって日本の高配当株ETFを保有することには大きなメリットがあります。
- 配当控除が使える
- 為替リスクを考慮しなくてよい
多少リターンが低くても、日本株を保有すると税金面でかなり有利に働きます。また、配当金を円でもらえるので為替について考える必要がありません。
米国株への集中投資を避ける意味でも、日本の高配当株への投資を検討したいところです。
ただし、米国高配当株ETFとは違い、日本の高配当株ETFを株高で購入してしまうと損をする可能性が高くなります。したがって、大きく下落した際にスポット買いするような手法が適しているはずです。
新興国が投資先の高配当株ETF
新興国の高配当株ETFへの投資は見送りです。
理由としては、安定性に欠けるからです。
私はフィリピン株へも投資していますが、配当を大きく出す銘柄が次年度には全く出さないことがあります。配当金を安定的に出すためには「事業が安定している」必要があるのです。
新興国ではそのような銘柄が少ないので、高配当株においては新興国を投資対象にするのはリスキーでしょう。
全世界が投資先の高配当株ETF
全世界の高配当株へ投資する優良商品があればぜひ投資したいところです。
しかし、10年リターンで4%程度とぱっとしません。下記記事でもご紹介しましたが、DEWの投資国の割合は50%以上が米国です。
リターンに米国100%のVYMと大きく差が出ているわけですから、米国以外の企業が足を引っ張っていることになります。
したがって、現時点では米国の高配当株を主体に税制メリットのある日本の高配当株をトッピングするようなスタイルがおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
高配当株ETFと言っても様々な投資先があります。今回ご紹介した商品は全て日本の大手ネット証券から購入することができます。
現時点では米国の高配当株ETFが圧倒的なパフォーマンスを誇っています。やはり、米国を中心に投資していくのがよいでしょう。
また、不況時や株価下落時には税制優遇のある日本の高配当株ETFへも投資するのがおすすめです。米国への集中投資を防ぐことができますし、配当金を円で受け取れるので為替リスクを心配する必要がありません。
以上、ご参考になれば幸いです。