「月数万円の投資ではどうにもならないよ!」
こんな風にお考えではないでしょうか?
SNSなどのネット上では月数十万円を投資に回している方がうじゃうじゃいます。そんな方達を横目にすれば、自分は大して投資にお金を回せないので投資なんて意味がないと考えがちです。
しかし、実はそんなことはありません。月数万円からの投資でも時間をかければ大きく資産を増やすことができます。
一般的な収入の世帯でも目指せるのはおそらく月5万円くらいまでの投資でしょう。本記事ではこの月5万円の投資の威力について解説していきます。
どれだけお金が必要なのか?
まず考えるべきなのが一体どれだけのお金が必要なのかという点です。
まずはこの部分を明確にして資産形成のゴールを意識しておく必要があります。そうでなければ月5万円の投資で十分なのか判断することができないからです。
資産形成の目的は人それぞれですが、多くの方は漠然と老後資金の準備のために資産形成が必要だと考えているかもしれません。
またはお子さんがいれば大学などへ進学した場合の教育資金を確保としたいと考えているでしょう。
以下ではそれぞれの目的別に必要なお金がいくらなのか整理していきます。
① 老後資金
資産形成の目的の代表格になるのが老後資金の確保です。
老後資金と言って真っ先に思いつくのが2019年に話題になった老後2,000万円問題です。
年金だけで賄いきれない分を貯金から取り崩していくと、死ぬまでに約2,000万円ものお金が必要になるかもしれないという金融庁のレポートが発端でした。
こちらはあくまで想定の試算ですので、全ての人が2,000万円もの大金が必要なわけではありません。
しかし、老後資金を準備する上でこの2,000万円は一つの基準になる金額と考えてよいでしょう。
② 子供の教育資金
お子さんがいらっしゃる方であれば、高校や大学などの教育資金の確保を目的に資産形成を検討する方もいるでしょう。
特にお子さんが大学生活のために一人暮らしをするなんてことになったら、まとまったお金が必要になるのがイメージできます。
日本政策金融公庫の令和3年度「教育費負担の実態調査結果」によれば、高校入学から大学卒業までにかかる教育費用は子供一人あたり942万円との試算があります。
つまり、子供一人当たり約1,000万円もの教育資金が必要になるのです。
しかも大学から子供が一人暮らしされるのであれば、仕送り額として年間平均95万円が別途必要との試算です。大学4年間なら約400万円です。
お子さんが公立に行くのか私立に行くのかにもよります。しかし、高校から大学卒業までに1,500万円近いお金がかかる可能性もあると考えておく必要があります。
③ 早期退職を目指す場合
昨今では定年を待たずに会社を辞めて悠々自適に生活するFIRE(経済的自立と早期退職)が注目を集めています。
もしこのFIREを検討しているのなら、目安にしたい金融資産は5,000万円です。
5,000万円を年率4%で運用できれば、年間当たり約200万円、月当たり約17万円の資産所得が手に入ります。
総務省実施の家計調査年報(2021年)によれば、単身世帯の生活費の平均は16万円/月程度と言われています。
したがって、5,000万円の資産があれば資産所得だけで生活が可能です。
月5万円の積立投資の威力とは?
上述の通り、子供の教育資金にしろ老後資金にしろ、資産形成をする上では数千万円規模のお金を作る必要があります。
お金を銀行に預けていてもほとんど利子はつきませんから、投資をうまく活用していく必要があるでしょう。
特に長期で株式へ投資できれば年率で4%~6%程度のリターンをが期待できると言われています。
日本の年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も外国株式の期待リターンとして5%前後を設定していますので、上記は十分実現可能なリターンだと考えられます。
シミュレーション結果
ここでは月5万円を投資し続けた場合にどの程度まで資産を増やすことができるのかご紹介します。
下表は投資期間別、投資リターン別の資産額を示した表です。
15年 | 20年 | 25年 | 30年 | 35年 | 40年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
0% | 900 | 1,200 | 1,500 | 1,800 | 2,100 | 2,400 |
4% | 1,230 | 1,834 | 2,571 | 3,470 | 4,569 | 5,910 |
5% | 1,336 | 2,055 | 2,978 | 4,161 | 5,680 | 7,630 |
6% | 1,454 | 2,310 | 3,465 | 5,023 | 7,123 | 9,957 |
注:単位は「万円」
リターンは貯金のみで貯めた場合を0%/年、株式投資で得られるリターンを4%/年~6%/年に設定しました。
貯金のみでは月5万円を35年近く貯め続けなければ、老後2,000万円を貯めることができません。
その間に子供の養育費なども別途必要なわけですから、月5万円の貯金ではかなりきつい計算です。また、FIREは夢のまた夢の世界です。
一方で投資をしていれば30年後には投資元本の倍近くまで増やすことができます。さらに投資期間を40年まで確保できれば、6%のリターンで約1億円まで到達します。
このように投資期間をできるだけ確保できれば、月5万円の投資でも大きく資産を増やすことができます。
年代別の考え方
それでは投資を始める年代別に月5万円の投資で十分なのか検討していきます。
20代の場合
20代で投資を始めるのであれば老後までに40年前後もの期間があります。
月5万円の積立投資を40年継続すれば、リターン4%でも約6,000万円もの資産を作ることができます。老後資金としては十分すぎる金額でしょう。
また、子供が生まれる前から投資を始められれば、子供が中学を卒業するまでの15年間で十分1,000万円以上の資産を作ることができます。大学への進学も選択肢に入れることができます。
仮に独身の方であれば25年から30年程度投資を続けることでFIREが見えてきます。退職金なども加味すれば5,000万円へ40代でも到達する可能性があります。
30代の場合
30代の場合は老後までに30年前後の投資期間があります。
こちらも月5万円の投資を30年続けると4,000万円前後の資産を作れますので、老後資金は問題ありません。
また、子供を持つ時期にもよりますが、40代後半から50代には1,000万円以上の運用額に育っているはずです。子供の大学生活の費用としても十分足りる金額でしょう。
一方で、FIREに必要な5,000万円を目指すのであれば、月5万の投資では50代後半から60代と定年間近になってしまいます。
30代からFIREを目指すのであれば月5万円の投資では少ないと言わざるを得ません。
40代~50代の場合
40代以降から投資を始めるのであれば、老後までに10年〜20年近い投資期間を確保できます。
これらの年代の方々は基本的には老後資金の確保が目的になってくるでしょう。
月5万円の投資を20年継続すると約2,000万円の老後資金を作ることができます。ちょうど老後2,000万円問題を解決できます。
一方で、50代から投資を始めるのであれば十分な投資期間は取れないかもしれません。
それでも10年程度の投資期間をなんとか確保できれば、1,000万円程度の資金を作れる可能性があります。これでも老後の大きな足しになるはずです。
新NISAを活用すれば税金はほぼゼロ!
投資の収益には約20%の税金がかかります。
30年程度運用して2,000万円の値上り益があったと仮定した場合、支払う税金はなんと約400万円にも及びます。
しかし、この問題も2024年から始まる新NISAを活用することでほぼ解決できます。
NISA(少額投資非課税制度)は投資にかかる税金が非課税になる税制優遇制度です。実は2024年から一人当たりの非課税投資枠が1,800万円まで大幅に拡充されます。
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 360万円/年 | |
240万円/年 | 120万円/年 | |
非課税期間 | 無期限 | |
最大利用可能額 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
開始時期 | 2024年〜(恒久化) | |
対象商品 | 株式・ETF・投資信託など | 一部の投資信託・ETF |
1,800万円という投資枠は月5万円の投資を30年継続しなければ使い切ることができない金額です。
30歳で投資を始めたとすれば30年後には60歳です。つまり、多くの方はこの非課税枠の中だけで投資をすることになるので、税金をほぼ払う必要がありません。
夫婦合わせれば3,600万円の非課税枠!
もし夫婦で資産形成に励むのであれば、それぞれがNISA口座を開設すれば、非課税投資枠は3,600万円になります。
1,800万円 x 2口座 = 3,600万円
仮に月5万円の投資を40年継続したとしても、投資元本の合計は2,400万円にしかなりません。
一般的な方であれば非課税枠を超えて投資をすることはないと考えてよいのです。
投資資金を捻出するには?
そうは言っても「月5万円を投資に回すお金なんてないよ!」という方が大半でしょう。
昨今の増税も影響して給料が増えたとしても税金でほとんど持っていかれてしまいます。
一方で、家計を見直すことで無駄な支出を見つけることができるかもしれません。自分が気づいていないだけで削減できるものはいくらでもあるものです。
例えば、以下のような項目をチェックしてみてはいかがでしょうか?
- 不要な保険の解約
- 格安SIMへの変更
- 電気/ガス会社の見直し
- 家賃の節約(ルームシェアや実家に住むなど)
- 使っていないサブスクの解約
- キャッシュレスにしてポイントを貯める
ざっと挙げただけでも支出を削減できそうな項目はいくらでもあります。
著者も何かと話題の楽天モバイルに変更して携帯代を節約しています。しかもデータ無制限なので、テザリングを活用することでPCなどのインターネット代も発生しません。通信費は約3,000円/月のみです。
また、電気やガス会社も自由に選択することができます。一人暮らしであまり使わないのであれば基本使用料が0円の会社へ変更するのも一つの手です。
その他にも支払いをキャッシュレス払いにしてにポイントを有効活用するなどやれることはいくらでもあります。
副業で今すぐ結果を出せと言っているのではありません。節約は今すぐにできることばかりですから、どんどん行動して投資資金を確保していきましょう。
まとめ
本記事では月5万円の投資の威力についてご紹介しました。
月5万円は一般家庭でも十分目指せる投資額の水準です。しかし、この程度の投資額であっても数十年と積立を継続できれば、老後資金や子供の教育資金などを十分確保することができます。
20代など若いうちから投資を始めれば、もしかしたら使いきれないほどの資産を老後に準備できるかもしれません。
しかも、2024年からはNISAが大幅に拡充されるため、税金の心配をする必要はありません。月5万円の投資を目指して資産形成に励んでみてはいかがでしょうか?
以上、ご参考になれば幸いです。