セミリタイア生活

5,000万円で逃げ切れるのか?いや逃げ切ろう!

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「50歳で5,000万円ありますが、会社を辞めても大丈夫でしょうか?」

ネット上ではファイナンシャルプランナー(FP)に対してこのような質問をされている方を見かけます。

しかし、多くのFPは「5,000万円では足りない」とか「もっと働いた方がよい」とアドバイスするのが一般的です。

確かにその通りでお金の面を考えれば長く働いた方がよいに決まっています。しかし、それではいつまで経っても会社を辞めることはできません

本記事では5,000万円で本当に退職して大丈夫なのか、そして逃げ切るにはどうすればよいのか解説していきます。

5,000万円で逃げ切れる?

5,000万円_逃げ切り結論として5,000万円の金融資産を保有していれば逃げ切れます

5,000万円以上の金融資産は野村総合研究所の基準で「準富裕層」と呼ばれます。2021年の調査では準富裕層以上の金融資産を保有する世帯は全体の9%程度しかいません。

準富裕層は高いハードルに感じるかもしれませんが、投資をコツコツされている方であれば届く可能性は十分にあります。

長期的な株式のリターンは4~6%/年が期待できると言われています。

仮に5%/年のリターンで毎月6万円の投資を30年続ければ、約5,000万円の金融資産へ到達できます。

もちろん簡単な金額ではありませんが、全く無理な投資額ではないでしょう。仮に会社に退職金制度があれば、もう少し少ない投資額でも5,000万円まで到達できるかもしれません。

しかし、これだけのお金を貯めたとしても、多くのの方は「会社を辞めるのは危険」、「絶対に失敗する」と言うのです。

果たして本当にそうでしょうか?

必要な生活費はどの程度なのか?

5,000万円で逃げ切れるかどうかを考える上で、まず大事になるのは今後どの程度の生活費が必要になるのかという点です。

ここで参考になるのが総務省が実施している家計調査です。本調査によれば令和4年(2022年)の平均生活費は以下の通りです。

単身世帯:161,753円

二人以上世帯:290,865円

出典:家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)

単身世帯を16万円/月、二人以上世帯を29万円/月と考えれば1年間に必要な生活費は以下の通りです。

単身世帯:192万円/年

二人以上世帯:348万円/年

あくまで平均的な生活費ではありますが、これらの金額は一つの基準になるはずです。

65歳からは年金がもらえる

毎月16万円や29万円の支出が死ぬまでずっと続くわけではありません。

現行の年金制度では65歳から年金を受け取ることができます。国民年金保険料を満額支払っていれば、年金は月7万円弱受け取ることができます。

国民年金:66,250円/月

注:令和5年4月から

実際にはここから介護保険料などが差し引かれるので、手取りの金額はもう少し低くなります。

一方で、会社員として働いていれば厚生年金保険料を払っているので、受け取る年金はもっと多い方が大半です。ここも人によって大きく変わります。

本記事では控えめに65歳から6万円/月の年金を受け取れるものと仮定します。

リタイア年齢に応じた必要な生活費

上述の平均的な生活費をベースに、早期退職の年齢に応じた65歳までに必要な生活費を示します。

単身世帯

40歳退職:25年✖️12ヶ月✖️16万円=4,800万円

45歳退職:20年✖️12ヶ月✖️16万円=3,840万円

50歳退職:15年✖️12ヶ月✖️16万円=2,880万円

55歳退職:10年✖️12ヶ月✖️16万円=1,920万円

二人以上世帯

40歳退職:25年✖️12ヶ月✖️29万円=8,700万円

45歳退職:20年✖️12ヶ月✖️29万円=6,960万円

50歳退職:15年✖️12ヶ月✖️29万円=5,220万円

55歳退職:10年✖️12ヶ月✖️29万円=3,480万円

次に65歳以降に必要な生活費です。

仮に80歳まで生きると仮定すると年金を受け取り始めてから15年程度生きることになります。

二人以上世帯の場合は夫婦共に年金を受け取れるはずですが、ここでは簡略化のために必要な生活費は単身世帯と同等と仮定します。

15年✖️12ヶ月✖️(16万円−6万円)=1,800万円

65歳までの生活費と合算すれば、今後必要となる生活費は以下の通りです。

単身世帯

40歳退職:4,800万円+1,800万円=6,600万円

45歳退職:3,840万円+1,800万円=5,640万円

50歳退職:2,880万円+1,800万円=4,680万円

55歳退職:1,920万円+1,800万円=3,720万円

二人以上世帯

40歳退職:8,700万円+1,800万円=1億500万円

45歳退職:6,960万円+1,800万円=8,760万円

50歳退職:5,220万円+1,800万円=7,020万円

55歳退職:3,480万円+1,800万円=5,280万円

この計算結果から考えれば、特に単身世帯で50歳以降に退職するのであれば十分逃げ切れるという結果になります。

確かに上記の計算ではインフレを考慮していませんし、あくまで家計調査による平均の生活費を基準にした計算です。

しかし、リタイア後に大体どの程度の生活費がかかるのかを考える目安になるでしょう。

5,000万円を運用しながら取り崩す

5,000万円を運用せずに取り崩していくのであれば、50歳以降の単身世帯しか「逃げきれない」ということになります。

しかし、資産運用をせずに貯金のみで5,000万円を保有するのは得策ではありません。せっかくそれだけの資産があるのであれば、投資をうまく組み合わせるのがよいでしょう。

資産運用することで、増税やインフレ、地政学的リスクなど様々なことに対応することができるからです。

利回り別の資産所得

5,000万円を投資で運用するとそれなりの資産所得を得ることができます。

以下は5,000万円を運用した場合に得られる利回り別の年間の資産所得です。

1%リターン:50万円

2%リターン:100万円

3%リターン:150万円

4%リターン:200万円

5%リターン:250万円

6%リターン:300万円

長期的な株式のリターンは年4~6%程度と言われていますから、上記利回りは十分に達成できるレベルであるでしょう。

税金を差し引く必要はあるものの、4%のリターンがあれば単身世帯の年間生活費192万円を資産所得が上回る計算です。つまり、計算上は永遠に生活できるのです。

しかも、65歳からは年金がもらえます。65歳時点で5,000万円以上の資産を保有したまま年金生活が送れます。

したがって、単身世帯は5,000万円の資産を保有している時点で基本的にいつでもリタイア可能と言えるのです。

単身世帯では何歳まで生きられるか?

それでは運用しながら取り崩していった場合、何歳まで生きられるのでしょうか?

下表に運用リターンと退職年齢別に何歳まで逃げ切れるかをまとめた表を示します。なお、資産所得の税率は20%と仮定しました。

退職年齢 年率リターン
1% 2% 3% 4% 5% 6%
40歳  71歳  80歳 95歳 100歳< 100歳< 100歳<
45歳 80歳  89歳 100歳< 100歳< 100歳< 100歳<
50歳 88歳 98歳 100歳< 100歳< 100歳< 100歳<
55歳 97歳 100歳< 100歳< 100歳< 100歳< 100歳<

控えめな3%のリターンだったとしても、45歳にリタイアしても100歳以上まで生きられます。

単身世帯は5,000万円あれば基本的に問題なくリタイアできると考えてよいでしょう。

二人以上世帯では何歳まで生きられるか?

次に二人以上世帯の場合で考えます。

二人以上世帯であっても50歳以降の退職であれば寿命まで生活することは十分可能です。

退職年齢 年率リターン
1% 2% 3% 4% 5% 6%
40歳 55歳 56歳 57歳 59歳 61歳 64歳
45歳 60歳  61歳 62歳 64歳 70歳 84歳
50歳 65歳 69歳  73歳 80歳 93歳 100歳<
55歳 81歳 85歳 93歳 100歳< 100歳< 100歳<

一方で、40歳にリタイアすると年金をもらう前に5,000万円を使い果たしてしまいます。

どうしても月29万円の生活費を維持したいのであれば、50歳以降まで待つ必要があります。

逃げ切る手段はいくらでもある!

若くして会社を辞めるのであれば、確かに二人以上世帯は5,000万円では足りないという結果になります。

しかし、いくらでも逃げ切る手段はあります

以下ではその考え方を解説していきます。

生活費を下げればよい

理論上は資産運用していればかなりの確率で無収入でも逃げ切れます。

しかし、金融市場には不況も好況もあります。

そこで相場が難しい時期やご自身の想定が変わった場合は少し節約して生活費を下げればよいのです。

家族構成にもよりますが、二人世帯以上の生活費は約30万円とかなり高額です。

お得な情報を集めて実践する、あるいは今までの支出を見直すだけでもそれなりに生活費を落とせるはずです。

また、会社を辞めれば住む場所を自由に選べますから、家賃の安い地方へ移住するのも1つの手です。

仮に生活費を月5万円抑えて24万円にするだけでも逃げ切れる確率はグッと上がります

この場合、40歳のリタイアでも5%のリターンがあれば80歳まで生きることが可能になります。

何も月数万円で生活しろと無謀なことを言っているのではありません。月20万円程度で生活している二人以上世帯なんていくらでもいます。生活費を月数万円下げるだけでよいのです。

本気になれば数万円くらい普通に稼げる

上記では全く収入がない、全く働かない想定でした。それでも十分逃げ切れることを説明してきました。

しかし、人生何があるか分かりません。もし仮に何かしら厳しい局面がやってきたのであれば、節約同様に簡単な仕事をするのも1つの手です。

週1回程度アルバイトをするとか、健康のためにウーバーイーツをやってみるとか、それだけでも逃げ切れる確率が格段に上がります。

また、収入が少ないのでほぼ税金を取られることもありません。

最近はウェブ上で手軽に稼げる手段が増えてきています。

何も大学生に混じって力仕事をしろと言っているのではありません。自分のできる範囲で月数万円程度稼ぐだけでよいのです。

若いのならやり直しも効く

50歳以上で5,000万円を保有していればほぼ問題ありません。

ただ、もっと若い40歳などでリタイアするのであれば、資産運用の状況次第では不安もあります。

しかし、若くして会社を辞めることにもメリットがあります。

それはやり直しがきくと言うことです。

再び働き始めるにしても40歳前半であれば体力も十分ある時期ですので仕事の選択肢が違います。

節約にしろ簡単な仕事にしろ50代後半など年齢を重ねてからよりもやれることがたくさんあります。

ですから、40歳などの若くしてリタイアに踏み切ったとしても結果的に問題ないのです。

何もやらないことはない

40歳でリタイアしたら老後まで何もしないで生活するとは到底思えません

リタイア期間が長ければ心境の変化は当然あるでしょう。

ダラダラしていたければずっとそうしていればよいですが、何もしないことにそのうち飽きるはずです。

そのように感じたらやりたいことにチャレンジすればよいのです。いくらなんでもリタイアしてから数十年間一円も稼げなかったということありえないでしょう。

世間の声は保守的すぎる!

上述の通り、5,000万円あれば基本的に逃げ切ることが可能です。と言うか逃げ切ればよいのです。

多少金銭的に厳しい局面が来たとしても、先にご説明した通り節約やちょっとした収入でなんとでもなります

「5,000万円ではリタイアできない」というのが本当ならば、大半の日本人は詰んでいます。

なぜなら、5,000万円以上を保有している世帯なんてほとんどいないからです。

もちろん人生において絶対はありません。

増税も考えられるし、年金がもらえる時期も遅くなるでしょう。

不安になる気持ちも分かります

しかし、もしそうなら事故に遭うから家から一歩も出ないと言っているようなものです。

何も100万円でリタイアできると無謀なことを言っているのではありません。数字上も5,000万円の資産があれば十分逃げ切れる金額なのです。

具体的な投資商品のご紹介

最後に具体的な投資商品をご紹介します。

おすすめなのは全世界の株式へ投資可能な「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託です。

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この商品をコツコツと積み上げて、5,000万円まで資産を増やしていくのです。そして、会社を退職したら毎年数%ずつ取り崩しながら生活費にするのがよいでしょう。

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VYMで配当金生活を目指す理由とは?高校中退投資家TOSHIは最近VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)という銘柄への投資に力を入れています。本記事ではこのVYMへの投資でセミリタイアや配当金生活を目指している理由と、配当金生活を達成するために必要な投資額をご紹介していきます。VYMへの投資を検討されている方は必見です。...

以上、ご参考になれば幸いです。

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