リーンFIRE(Lean FIRE)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
FIRE(Financial Independence, Retire Early)は経済的自立を達成して早期に会社を退職するというものです。
リーンFIREは数あるFIREの中でも、FIRE達成までの資金が少なく、短い期間で達成できるという利点があります。
一方で、リーンFIREする人達は仙人のようだと揶揄されることがあります。
そこで本記事ではこのリーンFIREに焦点を当てて解説していきます。
リーンFIREって一体何?
FIRE(経済的自立と早期退職)と一口に言っても様々な種類があります。
- ファットFIRE(Fat FIRE)
- リーンFIRE(Lean FIRE)
- コーストFIRE(Coast FIRE)
- バリスタFIRE(Barista FIRE)
- サイドFIRE(Side FIRE)
詳細な定義は他の記事に任せるとして、本記事ではこの中の「リーンFIRE」について深掘りしていきたいと思います。
リーンFIREは節約などを駆使して人よりも少ない生活費で生活し、退職した後は基本的に働かないスタイルです。
FIREと聞くと数億円などの資産を保有し、働かなくてもたんまりお金を使える生活を思い描くかもしれません。
しかし、こんなことができるのは一部の人間だけです。
会社員の生涯年収が数億円と言われる中、退職前に数億円もの資産を作れる人はそうそういません。
よほど給料が高いか、親からの相続があるなど、ごく一部の方に限定されてしまうでしょう。
FIREに必要な資産額
実際にFIREに必要な資産額を計算してみましょう。
資産運用の世界ではよく年間生活費の25倍の資産を貯めれば経済的自立を達成したと考えることが多いです。
月の生活費を20万円、25万円、30万円である場合に必要な資産は以下のとおりです。
月20万円→6,000万円
月30万円→9,000万円
月40万円→1億2,000万円
このように月40万円の生活費が必要なら、1億円以上もの資産を準備する必要があります。
生活費を極限まで下げる生き方
月の生活費が少なければ、経済的自立に必要な資産は少なく済みます。
そこでリーンFIREを目指している人は生活費を極限まで落としています。
総務省が実施している家計調査によれば、単身世帯の生活費は16万円/月程度だと言われています。
リーンFIREする人達はもっと少ないコストで生活しています。
例えば、月10万円で生活するような人達です。
この場合、先ほどと同様に考えると、FIRE達成に必要な資産を3,000万円ほどまで下げることができます。
生活費:月10万円
FIRE達成に必要な資産:3,000万円
当然1億円準備するよりも、3,000万円の方が貯める難易度は下がります。
このようにリーンFIREは節約などを駆使して極限まで生活費を落とすことで、少ない資産で時間をかけずにFIREの達成を目指すことができます。
リーンFIREを目指す人とは?
それではリーンFIREを目指す人とはどのような方達なのでしょうか?
それはとにかく働きたくない人、そして最短でFIREを達成したい人達です。
属性としては支出のコントロールがしやすい独身の方が多くなります。パートナーがいても理解がある人でなければいけません。
養育費などを考えれば、子持ちの方でリーンFIREすることはかなり難しいでしょう。
このようなことから20代や30代など若いうちにリーンFIREして自由な時間を確保している方もいらっしゃいます。
リーンFIREの何が悪い?
一方で、リーンFIREは仙人のようだと揶揄されることがあります。
リーンFIREを達成した人はお金をほとんど使わずに質素な生活をしているからです。
側から見れば、「一体何が楽しくてそんな生活をしているんだろう?」、「人生損しているのでは?」と思うのが普通です。
そこで以下ではリーンFIREが批判される理由について確認していきます。
できることが限られる
使える生活費が少ないので、できることが限られることはデメリットです。
仮に月10万円の生活費しかなければ、頻繁に外食したり旅行に行くことは難しいでしょう。
外食は極力控えて自炊中心、娯楽もお金がかからないものにするなど質素に生活する必要があります。
もしかしたら家賃を抑えるために地方移住が必要になるかもしれません。
限られた生活費しかないため、普段の生活でできることが限定されてしまうのです。
税制の変更で生活が破綻する恐れも
生活費を極限まで削ぎ落としているので、リーンFIREは税制の変更などに弱いという弱点があります。
税制がFIREに不利な制度へ変更されれば、途端にFIRE生活に大きな影響を与える可能性があります。
もっと余裕のある生活であれば、多少生活費を落とすとか、少し働くなどしてFIRE生活を継続することができるでしょう。
しかし、リーンFIREはすでに極限まで生活費を落としているため、金銭面での余裕はほとんどありません。
資産所得に対する税率が大幅に上がるなどの変更があれば、途端に生活が立ち行かなくなる恐れがあります。
キャリアを捨てることにも
リーンFIREは少ない資産で達成できるわけですから、働いている期間が短くなるケースが多いです。
FIRE達成までの期間が短いのはよいことですが、逆に会社で得られた経験や能力がそこまでないとも言えます。
長い人生を考えた時、もしかしたらFIRE生活に飽きて再就職する可能性もあります。また、FIRE後に何か新しく始めようと考えるかもしれません。
ずっとリーンFIREを継続できるのであればよいですが、そうでなければ社会人経験の少なさがデメリットになる可能性があります。
著者のリーンFIREに対する考え方
それではリーンFIREを目指すのは辞めた方がよいのでしょうか?
著者の意見は「リーンFIREしたいのであればすればよい」というのものです。
上述の通り、リーンFIREにデメリットがあるのも事実です。周りから批判される可能性も高いでしょう。
しかし、世の中には何をしても文句を言う人はいます。
数億円あってもFIREなんてできない、FIREしたら退屈でつまらない、そんな意見を聞くこともあります。
一方で、「会社員という働き方が合わない」、「どうしても仕事がつまらない」と感じる方は世の中にいらっしゃいます。
無理をして我慢しすぎた結果、体や精神を壊してしまっては元も子もありません。
実際に著者が勤める会社でもそうやって鬱になってしまった方が結構いらっしゃいます。
そうなるくらいならリーンFIREを達成して会社を辞めた方が良いケースだってあるのです。
リーンFIREに固執する必要はない
リーンFIREしたからと言って、リーンFIREし続けなければいけないなんてルールはありません。
最近ではFIRE失敗というネット記事や動画を見かけることがあります。せっかくFIREできたにも関わらず、金銭面での失敗や孤独な生活に耐えきれずに再就職する人がいるそうです。
しかし、それは普通のことです。
その状況に置かれて初めて気づくことはたくさんあります。また、心境の変化だってあるでしょう。
FIREしてやっぱり自分は働きたいと感じたのなら働けばよいのです。
仕事を辞めたことで何か興味があることが出てきて、小さく起業することだって一つの選択肢になるはずです。
リーンFIREできる人はすごい
そもそも普通の人は生活費を極限まで落とすことができません。
質素倹約な生活を何年も続けて、数千万円もの資産を作るのはすごいことです。
リーンFIREできるのはある意味そういった才能がある人達だとも言えるでしょう。
リーンFIREへの批判はあるかもしれませんが、自信を持って自分が目指す生き方を実現していけばよいのではないでしょうか。
以上、ご参考になれば幸いです。