投資が長続きせずに途中でやめてしまう人がたくさんいます。
投資信託の平均保有期間はたった数年程度と言われています。多くの方は数十年先の老後資金の準備を目的にしているにもかかわらずです。
また、2024年から大幅に拡充されたNISA(少額投資非課税口座)でも、金融庁の報告によれば非稼働口座(一度も買付けが行われていない口座)が多数あったとのデータもあります。
実は投資を長く続けることは簡単ではないのです。
したがって、投資では長期的に投資を継続するためのモチベーションの維持が重要になります。
以下では著者の経験も踏まえて、投資のモチベーションをどのように維持していけばよいのか解説していきます。
TOSHIの自己紹介
- 高校を中退した底辺サラリーマン個人投資家
- 投資歴は約8年で米国ETFを中心に運用
- 2023年の年間配当金は90万円以上
資産形成は退屈で長い道のり
投資を始めて資産形成をするのであれば長期間にわたって取り組む必要があります。
そもそも投資では毎年着実に資産を増やせるわけではありません。
資産がぐんぐん増える好況の時期もあれば資産が減ってしまう不況の時期もあります。
数十年と中長期で投資をするのであれば、平均して年率5%前後のリターンを期待できると言われているに過ぎないのです。
また、少額で投資を始めると最初のうちは投資の効果を実感することはできません。
例えば、10万円投資した場合と1,000万円投資した場合を考えてみましょう。
2つのケースでの5%のリターンは以下の通りです。
10万円 x 5%=5,000円
1000万円 x 5%=50万円
10万円の投資では5,000円しか増えません。これは一回外食に行けばなくなってしまう金額です。
一方で、1,000万円を投資していれば1年後に50万円程度のリターンになります。
この金額は多くの方の月収を超えるでしょう。独身であれば数ヶ月無収入でも生活できる金額です。
このように投資金額が大きくなることで投資の威力を強く実感することができます。
一旦この投資の凄さを身をもって実感するとどんどん投資をしたくなります。
しかし、残念ながら多くの方はここまで到達する前にモチベーションを維持できずに脱落してしまうのです。
したがって、資産形成では投資の成果が出てくるまでいかにモチベーションを維持して取り組めるかが鍵になります。
投資のモチベーションを維持するためには?
それでは投資のモチベーションを維持するためにはどうすればよいのでしょうか?
以下では著者の投資経験も踏まえていくつか解決策を提案していきます。
小さな目標を作る
資産形成をするなら目標を明確にすることが重要です。
例えば、「〇〇歳までにXX万円の老後資金を作る」などです。
一方で、高すぎる目標を立ててもあまりに長い道のりであるためモチベーションの維持が難しくなります。
これはダイエットと同じです。最初に意気揚々と10kg痩せると高い目標を掲げても、そこまで到達するのはそれなりの年月が必要です。食事制限や運動を長期間にわたって取り組む間に諦めてしまうのです。
そこでおすすめなのが大きな目標とは別にマイルストーン(中間目標)を設定することです。
最初の中間目標を「貯金50万円」とか、「配当金1万円」など小さなところを目指すのです。このような目標であれば1年以内に達成することも十分できるでしょう。
そしてその次の目標として「金融資産100万円突破」とか「配当金3万円」などにステップアップしていきます。
こう言った小さな目標を1つ1つ達成していけば、いずれは自分が目標に掲げる最終的なゴールへ到達できます。
何十年先に達成できる目標のみでは退屈です。小さな成功体験を積み上げていくことで遠い道のりを乗り切ろうという作戦です。
定期的にバイブル本を読む
定期的に投資のバイブル本を読んで投資方針を整理することも重要です。
なかなか成果が出ない状況が続くと「自分の投資方針は間違っているのではないのか?」という気持ちになり、周りの意見に流されてしまいます。
そこで投資本を定期的に読み直して自分自身が進むべき道を再確認するのです。
ただし、一点注意点があります。
巷では投資に関わる本が多数発売されています。しかし、手あたり次第に投資本を読むことはおすすめできません。
なぜなら、それぞれの本の主張が違っていた場合に、どれを信じればよいか分からなくなってしまうからです。
そこで、おすすめなのは投資の名著と言われるような本を繰り返し読むことです。例えば、以下のような本が候補になるでしょう。
ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 株式投資の不滅の真理 (日本経済新聞出版)
何十年と読まれ続けている本には理由があります。著者のようなぽっと出の投資ブロガーとは説得力が違います。
定期的に投資のバイブルとも言える本を読み返すことで、自身の投資の方向性を再認識し、やる気を維持していくのです。
投資を楽しくする一工夫
多くの方は会社から一定のお給料をもらってその一部をコツコツ投資に回しているはずです。
しかし、このような投資を何十年と続けるのは単調でつまらないものです。
そこで日々の投資に以下のような一手間を加えることで投資のモチベーションをアップさせるのも面白いでしょう。
毎週積立に変更する
多くの方が実践されている王道の積立方法といえば、月1回の積立です。
「投資信託Aを毎月10日に2万円購入」などの形です。
しかし、これだと月1回しか投資をするイベントが発生しません。そのため、投資をしている感覚や実感が得にくいです。
そこでおすすめなのが毎週積立へ変更することです。
例えば、「毎週水曜日に投資信託Aを5,000円購入」などの設定へと変更するのです。
こうすることで投資のイベントを毎週発生させることができます。
毎週末に「今週も仕事を乗り切って投資にお金を回せた」という振り返りができます。
これが小さな達成感につながります。
月1回の積立の場合と比較して1回あたりの積立額は少なくして問題ありません。
重要なことは目標に向かって前に進んでいることを定期的に確認できるかどうかです。
配当金/分配金を受け取ってみる
配当金/分配金を受け取れる銘柄へ投資してみるのもおすすめです。
資産の最大化を目指すのであれば投資信託が一番効率的でしょう。なぜなら、投資信託の中には配当金を出さずに自動で再投資してくれる銘柄があるからです。
一方で、個別株への投資であれば配当金を受け取れます。また、分析が難しい個別株へ投資しなくても、上場投資信託(ETF)を活用すれば手軽に分配金を受け取ることができます。
一度配当金/分配金を受け取ったことがある方なら分かると思いますが、会社以外からの不労所得を受け取ることは本当に嬉しいものです。これが投資のモチベーションの維持へ大きく貢献します。
また、配当金/分配金の大きな利点の1つに株価の変動よりも安定する傾向があります。
数十%株価が下落した年でも、配当金の減配は限定的なことが多いのです。
したがって、資産形成の目標に資産額だけでなく配当金の受け取り額を加えるのがおすすめです。
複数の商品へ投資する
メインの投資商品以外にも気になる銘柄へ少額投資してみることです。
これは多くの方のアドバイスとは逆の意見になるかもしれません。
投資でよくあるアドバイスと言えば、「米国か全世界の株式を投資対象にする低コストな投資信託をひたすら購入し続ける」ことです。
例えば、以下のような銘柄です。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
全世界の株式を投資対象にすれば株式市場を広く網羅することができます。他の銘柄を購入せずともこの銘柄だけで十分だという意見もあるくらいです。
これは確かにその通りでしょう。しかし、1銘柄だけを購入し続けられるほど人は単純な生き物ではありません。
あれもこれも欲しくなるのが普通で、人は最初から合理的に動けるはずなんてないのです。
この欲求を抑えすぎると投資を続けるのがきつくなってしまいます。
もちろんたくさんの銘柄を保有することはおすすめできません。
自分の中でメインの投資対象を決めて、サブの投資銘柄としていくつか購入してみるのです。
そうすることで複数の銘柄のリターンを比較することもできます。リターンの違いを身をもって実感することで投資の知識も徐々に蓄積することができるでしょう。
大体投資を長く続けている人にはそれなりの失敗経験があるものです。
最初からゴールへ真っ直ぐ向かう必要はなく、徐々に学んで自分の投資スタイルを確立していけばよいのです。
重要なことは投資を続けること
本記事では投資のモチベーションを維持するための方法についてご紹介しました。
著者が提案したいくつかの方法は投資経験者から見れば否定的に感じる部分もあるかもしれません。
例えば、同じような投資商品を複数保有する必要はないし、週積立だろうが月1の積立だろうがリターンに大きな影響はないと言われています。できるだけ投資に時間をかけずにシンプルな投資手法にする方が理にかなっています。
しかし、重要なことは投資を長期間にわたって続けることです。
ゴールへ真っ直ぐ向かうような投資方法でうまくいくのであればそれで構いません。
しかし、もしうまくいかないのであれば本記事でご紹介したような方法を試してみるのも一案です。
投資のモチベーションを維持して投資を長く続ければ、いずれスケールメリットが出てきて投資の凄さを実感できるようになります。
そこまでくればもう投資のモチベーションの維持に悩むことは少なくなります。
もっと増やしてやろうとか、あとちょっとで経済的な自由を手に入れられるというゴールが見えてくるからです。
以上、ご参考になれば幸いです。