安定的に配当を受け取り続けたいと思いませんか?
VYM、HDV、SPYDなどの米国高配当株ETFは、高い配当利回りが魅力ですが不景気時には減配のリスクがあります。
そこでおすすめなのが、「バンガード米国増配株式ETF(VIG)」です。
本記事では、バンガード米国増配株式ETF(VIG)の魅力についてご紹介するとともに、米国高配当株ETFとの違いについても解説します。
VIGは、長期の投資期間を確保できるのであれば、選択肢の1つになる商品でしょう。
世界最強のETFである米国増配株式ETF(VIG)!
VIGの正式な名前は、バンガード米国増配株式ETF(Vanguard Dividend Appreciation ETF)です。投資対象は、過去10年間連続増配している米国株です。ただし、REIT(不動産投資信託)は除きます。
つまり、長期に渡って増配し続けている米国の優良企業へ投資するETFです。世界最大の経済大国である米国の企業の中でも、安定的に配当を出し続ける企業のみを投資対象にしているのです。
これが意味するところは、「よほどのことがない限り減配しない」ということです。
VIGの保有銘柄
では、VIGの投資対象になるのはどのような企業なのでしょうか。
VIGは2021年2月末時点で212銘柄が投資対象です。米国高配当株ETFであるHDVやSPYDは100銘柄以下ですから、銘柄数はそれなりに多い印象です。
下表に投資割合の高いトップ10の銘柄をまとめました。上位10社で全体の約35%を占めることも理解しておく必要があるでしょう。
銘柄 | 割合 | |
---|---|---|
1 | Microsoft Corp. | 4.65% |
2 | Walmart Inc. | 4.23% |
3 | Johnson & Johnson | 3.94% |
4 | Procter & Gamble Co. | 3.55% |
5 | UnitedHealth Group Inc. | 3.55% |
6 | Walt Disney Co. | 3.41% |
7 | Home Depot Inc. | 3.32% |
8 | Visa Inc. | 3.31% |
9 | Comcast Corp. | 2.53% |
10 | Abbott Laboratorie | 2.45% |
注:2021年1月末現在の情報を基に作成
上位銘柄の連続増配年数は、Walmart Inc.は47年、Johnson & Johnsonは57年、Procter & Gamble Co.は63年と、とんでもない年数です。
その他にも、マイクロソフト、ウォルト・ディズニー、ビザなどみなさんも馴染みのある企業がランクインしています。
また、セクター別で見ると、「一般消費財」と「資本財」が20%を超えています。意外にも、「ヘルスケア」や「生活必需品」といったディフェンシブ銘柄(景気に左右されにくいセクター)の割合はそこまで高くありません。
セクター | 割合 | |
---|---|---|
1 | 一般消費財 | 22.50% |
2 | 資本財 | 21.10% |
3 | ヘルスケア | 15.10% |
4 | テクノロジー | 12.90% |
5 | 生活必需品 | 9.10% |
6 | 金融 | 8.30% |
7 | 公共事業 | 5.00% |
8 | 電気通信 | 3.10% |
9 | 素材 | 2.90% |
注:2021年2月末現在の情報を基に作成
VIGは株価が上昇している
次にVIGの過去の株価の推移を確認してみましょう。
VIGの株価推移
- 2006年設定時→50ドル/株
- 2021年2月末→約140ドル/株
- 上昇率:約280%
VIGは2006年に設定されたETFですが、設定時の50ドル/株から約140ドル/株(2021年2月末)まで3倍近くも株価を上昇させています。年率に換算すれば7%以上のリターンです。
「連続増配」と聞くと配当に目が行きがちです。しかし、増配しているということは、事業を安定的に成長させている証でもあります。
VIGは株価の上昇(値上がり益)も十分期待できるETFです。
VIGの配当記録
それでは、肝心の配当について確認していきます。まず、VIGの配当利回りはさほど高くありません。1.5%〜2.0%程度のレンジです。
配当を期待する投資家からすると、少し物足りない利回りでしょう。
しかし、過去の配当金の推移は素晴らしいものがあります。下図に設定からの年間配当金の推移を示します。右肩上がりで配当が増えています。
また、より詳細な四半期ごとの配当金の記録を示します。
年4回の配当になった2007年〜2020年までの配当金で考えると、増配率は毎年8%弱と高い数値です。
ただし、VIGは2009年と2013年に減配を記録しています。ただ、減配と言っても「−4.6%」と「-1.6%」と大きなものではありません。過去に5%以上の減配を記録したことはありません。
この安定感は非常に魅力的です。減配の可能性が0ではないものの、前年と同程度の配当をもらうことはほぼ確実と考えることができます。
VIGと米国高配当株ETFの比較
高配当株投資をされている方にとっては、米国高配当ETFとの比較も気になるところではないでしょうか。
高校中退投資家Toshiも投資しているSPYD、VYM、HDVの3商品についてVIGと比較します。
VIG | VYM | HDV | SPYD | |
---|---|---|---|---|
設定年 | 2006 | 2006 | 2011 | 2015 |
配当利回り | 1.5〜2.0 | 約3% | 約3.5% | 4.0%以上 |
増配率 | 7.72%/年 | 6.03%/年 | 6.89%/年 | 1.9%/年 |
減配年 | 2009/2013 | 2009/2010 | 2016 | 2017/2020 |
増配/減配の幅(%) | -4.6〜20.3 | -19.1〜21.6 | -6.3〜17.5 | -6.5〜13.8 |
注:増配率(%/年)は設定年の翌年と2020年の比較により算出した。増配/減配の幅(%)は前年の年間配当金との比較から算出。
各ETFで設定された年度が違いますので、単純に比較することはできません。それでも、増配率で一番よい結果を示しているのがVIGです。
また、特筆すべきはリーマンショックでの減配が-4.6%に抑えられていることです。同時期を経験しているVYMでは、約20%の減配でした。
配当利回りで見劣りするものの、配当を安定的に出し続けるという点では、VIGは優れたETFと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
VIGは株価の上昇が狙えて、また毎年の増配も見込める優良ETFです。将来のことは誰にも分かりませんが、リーマンショックでも減配が限定的であったことには希望が持てます。
配当利回りが低いのが難点ですが、長期で保有すれば毎年の増配により購入単価との比較では配当利回りが上昇します。特に投資期間を長く確保できる方にとっては、有望な投資先の1つでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。