「iDeCo」や「確定拠出年金」という言葉をご存知でしょうか?
知らない方は老後資金の準備について黄色信号かもしれません。でもご安心ください。実は私も投資を始める前は全く知りませんでした。
本記事では老後資金の準備に有効な「確定拠出年金」、特に個人型の確定拠出年金であるiDeCoについて簡潔にご紹介します。おすすめの投資商品などについてもご紹介しますので、ご参考にしていただければ幸いです。
少子高齢化で将来的に公的年金の支給額が減ることが予想されます。しっかり制度を理解して、有効に活用していきましょう!
「確定拠出年金」は老後資金の準備に欠かせない制度!
自営業、フリーランスには必須の制度!
日本には全国民が加入する「国民年金」があります。国民年金の保険料を20歳〜60歳まで40年間満額納めたとしても、老後にもらえる年金はたった月額65,141円(令和2年度の場合)です。
また、現在の年金支給は基本的に65歳からですが、少子高齢化で財源がないため今後はもっと遅くなることが予想されます。
そのため、国は老後資金の準備のために「確定拠出年金」の制度を整備しています。この制度を活用して、「自分で老後資金を準備しろ」という国からのメッセージです。
月6万円で生活するのは至難の業でしょう。国民年金しか支給されないフリーランスや自営業者の方は、「確定拠出年金」の活用は必須です。
なお、会社員の方は、国民年金にプラスして厚生年金にも加入するため、年金支給額はもう少し上がります。後述する「つみたてNISA」の活用を第一に検討するのがよいでしょう。
確定拠出年金には「企業型」と「個人型」がある
確定拠出年金は「自分年金」のようなものです。加入者である我々が、毎月一定額の掛け金を拠出して自分で資産運用します。
なお、確定拠出年金は企業型と個人型(iDeCo)の2つに分けられます。
企業型は会社員の方が加入するもので、企業が制度を導入していなければ加入することができません。
一方で、iDeCoにはほとんどの方が加入可能です。そこで、本記事では「iDeCo」に焦点を絞ってご紹介していきます。
なお、企業型の確定拠出年金は、下記記事でもご紹介しています。興味のある方はぜひご覧ください。
iDeCoの概要
iDeCoは税制面で大きなメリットがありますが、実は少し癖のある制度です。ここでは、制度の概要について整理しておきましょう。
iDecoの概要(メリット、デメリット)
- 掛金に限度額が設定されている
- 税制面で大きな優遇
- 60歳まで引き出しができない
- 一度加入したらやめられない
① 掛金に限度額が設定されている
iDeCoに拠出できる金額は人によって異なります。例えば、国民年金のみの自営業者の限度額は高いのですが、厚生年金に加入しているサラリーマンの限度額は低くなります。
自営業者等の方は、最大68,000円/月まで拠出できることを覚えておきましょう。なお、68,000円/月はあくまで上限ですから、月2〜3万円などでも大丈夫です。
拠出限度額(月) | 拠出限度額(年) | |
---|---|---|
自営業者等 | 68,000円 | 816,000円 |
会社員 | 12,000円〜23,000円 | 144,000円〜276,000円 |
公務員 | 12,000円 | 144,000円 |
専業主婦(夫) | 23,000円 | 276,000円 |
注:2021年1月時点。iDeCo公式サイトを基に作成。
② 税制面で大きな優遇
iDeCoの最大のメリットは税制面で優遇されることです。掛金、運用、受け取りの3段階で税制面のメリットがあります。
- 掛金:全額所得控除の対象
- 運用:運用益が非課税
- 受け取り:公的年金等控除/退職所得控除の対象
掛金
拠出した金額は全額が所得控除の対象となります。つまり、その分所得がなかったものとみなされるので、所得税や住民税が安くなるのです。
運用
運用時は通常20%程度の税金を支払う必要がある運用益の税金が免除されます。
例えば、100万円掛金を出して120万円まで資産を増やすことができたとします。20万円の運用益のうち、通常は4万円程度(約20%)を税金として納める必要があります。この税金が非課税になるのです。
受け取り
受け取り時は一時金としてまとめて受け取る場合は退職所得控除の対象に、年金で受け取る場合には公的年金等控除の対象になります。
特にフリーランスや自営業者の方は退職金もありませんし、もらえる年金も少ないです。受取時に支払う税金はほとんど発生しないと考えてよいでしょう。
② 60歳まで引き出しができない
iDeCoは老後資金の確保が目的ですから、老後まで運用したお金を使用できないというデメリットがあります。
「子供の教育資金のために急な出費が必要になった」
「怪我をして入院することになった」
人生では様々な場面でお金が必要になるでしょう。しかし、iDeCoにお金があるのに使えないという状態になってしまいます。
③ 一度加入したらやめられない
もう1つのデメリットが、「一度加入したら解約できない」という点です。
掛金を少なくすることは可能ですが、途中でやめることはできません。後述しますが、iDeCoの運用には、手数料が発生します。
たとえ、リストラにあって掛金を拠出することができなくなっても、手数料を払い続ける必要があります。
上述のとおり、iDeCoは少し使いにくい制度であることは事実です。しかし、老後資金として割り切って運用できるのであれば、非常に優れた制度です。フリーランスや自営業の方は活用を検討すべきでしょう。
iDeCoの運用方法
では、どうやってiDeCoに加入して運用していけばよいのでしょうか?
iDeCoを活用するには、自分で「銀行や証券会社」を選定して口座を開設しなければいけません。また、「運用商品の選定」も行わなければいけません。投資をしたことがない方にとっては「大きなハードル」です。
私も投資を始めた際はどんな商品があるのかさっぱりわかりませんでした。そこで、今からiDeCoを始める方向けに、おすすめの証券会社や投資商品についてご紹介していきます。
証券会社の選定
iDeCoを運用する証券会社の選定は重要です。なぜなら、証券会社によって手数料や運用できる商品が異なるからです。
ずばり私のおすすめは「SBI証券」か「楽天証券」です。どちらの証券会社も運営管理機関手数料が0円で無駄な手数料を支払う必要がありません。
iDeCoの運用中にかかる手数料
手数料 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
加入・移換時手数料 | 2,829円 | 1回のみ発生 |
口座管理手数料 | 171円/月 | 掛金を拠出しない場合は66円/月 |
運営管理機関手数料 | 0円〜数百円 | 各運営管理機関によって異なる |
出典:2021年1月時点。iDeCo公式サイトを基に作成。
維持手数料はどこの銀行や証券会社に口座を開設しても発生する費用です。一方で、運営手数料は各会社が自由に決定します。したがって、この手数料が安い会社に申し込みするべきです。
なお、SBI証券と楽天証券は、iDeCo以外で投資をするのにも最適の会社です。様々な証券会社に口座開設をして管理が煩雑になるという心配もありませんので、SBI証券か楽天証券のどちらかに申し込みをするとよいでしょう。
ご参考:SBI証券の口座開設URL、楽天証券の口座開設URL
商品の選定
2021年1月現在で、SBI証券では83商品、楽天証券では32商品を取り扱っています。この中から投資商品をご自身で選定する必要があります。
どれを選べばよいか分からないという方のために以下でおすすめの商品をご紹介します。
SBI証券と楽天証券のiDeCoおすすめ商品
投資対象 | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
全世界 | SBI・全世界株式インデックス・ファンド | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド |
これらの商品は、全世界の株式へ分散投資できる商品です。老後までの運用期間が長いので、債券などの他の資産と比較して高いリターンが期待できる株式100%のものを選定するのがよいでしょう。
また、運用期間が長いので手数料も重要です。これらの商品は運用会社などに支払う信託報酬が安いのが魅力です。安心して長期間運用ができる商品です。
なお、商品の選定ポイントについては、下記記事でも解説しています。
「つみたてNISA」の活用も検討しよう!
iDeCoには老後まで引き落とせない、途中でやめられないなどのデメリットがあることもご紹介しました。
もし、iDeCoにメリットを感じないのであれば、「つみたてNISA」の活用を検討しましょう。
「つみたてNISA」はiDeCoと同様に運用益が非課税というメリットがあります。掛金に対する税制優遇はありませんが、iDeCoのように老後まで引き落とせないという制限はありません。
つみたてNISAの概要については下記記事でもご紹介していますので参考にしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はiDeCo(個人型確定拠出年金)の活用についてご紹介しました。
老後資金の準備を進めたい方はぜひ参考にしてください。特に、厚生年金に加入していない自営業やフリーランスの方には必須の制度であると考えます。
若いうちからコツコツと積み立てをすると大きく資産を構築することができます。老後資金に困らないように、早めに対策をしていきましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
高校中退投資家Toshiは、セミリタイア後もiDeCoを有効活用していくつもりです。