投資には興味があるけど、どのように始めればよいか不安に感じていませんか?
2019年に「老後資金が2,000万円不足する」という金融庁のレポートが話題になりました。このようなことを耳にすれば、多くの方は老後資金の準備に不安を感じるでしょう。
一方で、投資を始めるには証券会社を選定したり、投資商品を選んだりしなければいけません。ネット上には多くの情報が溢れており、なかなか前へ進めない人も多いはずです。
そこで本記事では、私の約6年の投資経験をもとに、今から投資を始める方に向けて、まずどのように投資をスタートすればよいかまとめました。
2022年1月時点の最新の状況を踏まえて、どの証券会社に口座を開設し、どのような商品を購入すればよいのか、具体的な会社名や商品名も交えてご紹介していきます。
高校中退投資家Toshiの実績
- 投資歴約6年のサラリーマン投資家
- 30代で老後資金2,000万円を確保済み
- 2021年の年間配当金は50万円以上
投資の始め方ガイド(2022年度版)
老後資金の確保が目的なら、投資の始め方は至ってシンプルです。
以下では、投資をこれから始める「初心者」の方にとって最適な商品、投資手法をご紹介していきます。
初心者が投資を始める際のポイント
- 証券会社は「SBI証券」を選択しよう!
- まずは「つみたてNISA」を活用することを考えよう!
- 最初は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の購入だけでよし!
- 老後資金の準備は「つみたてNISA」だけでほぼ十分!
① 証券会社の選定
証券会社はSBI証券を選択しよう!
証券会社はネット証券大手の「SBI証券」を活用しましょう。昨年の記事では同じくネット証券大手の「楽天証券」を推していました。
しかし、下記記事でもご紹介しました通り、楽天グループは最近サービスの改悪を続けています。
逆にSBI証券は楽天証券に対抗してクレジットカード決済でポイントがつくサービスを開始するなど優れたサービスが残っています。したがって、2022年1月時点ではSBI証券に軍配が上がると判断しました。
なお、銀行員に相談して投資を始めようとしてはいけません。銀行員は自分達の利益を確保するために、手数料の高い商品を勧めてくるからです。そういった勧誘がないネット証券で投資をスタートさせましょう。
口座開設はネットで完結
SBI証券の口座開設は非常に簡単です。郵送手配の必要もなくネット上で完結させることができます。
ご参考:SBI証券の口座開設HP
なお、ウェブで申し込みを完結させるために「マイナンバーカード」を準備しておきましょう。通知カードと運転免許証でも手続きができますが、マイナンバーカードなら1枚だけの提出でOKです。
つみたてNISAの口座開設も一緒に行いましょう!
SBI証券の口座を開設する際にNISA口座も一緒に開設しましょう。
NISAは「少額投資非課税制度」のことを言います。このNISAを活用することで、購入した投資商品の売却益に対して通常約20%かかる税金が決められた期間内であれば非課税になります。
難しいことは抜きにして「税金を払わなくて済むお得な制度」です。
NISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」があるのですが、投資経験が少ない方は投資枠が少なく非課税期間の長い「つみたてNISA」を活用するのがよいです。
なお、「一般NISA」と「つみたてNISA」の違いについて興味のある方は以下の記事を御覧ください。私のような変人は「一般NISA」を選択していますがかなり特殊なケースです。
② 投資商品の選定
続いて一番迷うであろう「どの商品に投資すべきか」という点について解説します。
結論から言うと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という商品を購入すれば問題ありません。
以下では、この商品を選ぶ理由について解説していきます。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」へ投資する理由
- 全世界の株式に分散投資が可能
- 信託報酬が最安クラス
- 資産規模が十分
全世界の株式に分散投資が可能
この投資信託は全世界の株式を投資対象にする商品です。
老後資金は当然ながら老後に使うお金です。何十年という長い期間をかけて商品を保有することになります。
この場合、債券ではなく株式100%の商品をお勧めします。なぜなら、過去のデータから債券よりも株式の方がリターンが大きいからです。
また、初心者の方は特定の国へ投資する商品は避けた方がよいでしょう。例えば米国のみへ投資する商品などです。
仮に米国経済が問題を抱えた際に別の商品に乗り換える必要が出てくるのですが、投資に慣れていない方は慌てふためいてしまうでしょう。
全世界へ投資する商品なら商品乗り換えの心配はありませんから、安心して長期間保有できます。
信託報酬が最安クラス
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は商品を運用する手数料(信託報酬)が安いというメリットがあります。
投資信託は投資家からお金を集めて株や債券などを運用してくれるものです。当然ながら対価として手数料を支払う必要があります。この手数料を負担するのは商品を購入する我々ですから、できるだけ安いものを選ぶのがベターです。
2022年時点で「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の手数料は年率0.1144%と業界最安値クラスです。仮に100万円分を保有していたとしても年間たった1,144円を支払うだけで、世界各国の株式を勝手に購入して運用してくれるのです。
また、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、もしライバル会社がもっと安い手数料の商品を出したら、それと同等クラスの手数料に引き下げる方針を示しています。
したがって、今後も最安クラスの手数料で商品を保有し続けられる可能性が高いです。
資産規模が十分にある
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は十分な資産規模があります。
資産規模が十分にあることは重要です。なぜなら、資産規模が小さい不人気商品は、商品の販売や運用が停止される可能性があるからです。
この商品は2022年1月時点で4,000億円以上もの資産規模があります。2020年の年末には700億円程度でしたから、急速に資産を伸ばしています。
実際にSBI証券や楽天証券の投資信託人気ランキングでも常にトップ10に入ってくる商品です。これだけの資産を集めている人気商品ですから、そう簡単になくなることはないでしょう。
③ 商品購入の設定方法
まずは「つみたてNISA」を埋めるべき!
まず第一にやるべきなのは「つみたてNISA」で定期積立の設定をすることです。「つみたてNISA」の概要を簡単に示します。
- 非課税期間:20年
- 非課税枠:40万円(年間)
- 対象商品:一定の公募等株式投資信託(金融庁指定)
「つみたてNISA」は資産形成のために国が用意してくれた制度です。なんと言っても投資の値上り益にかかる税金が0円になるメリットがあります。
年間40万円までの投資が可能ですから、1ヶ月当たりの投資金額は33,333円です。もちろん、そんなに投資資金を用意出来ないという方は月1万円の投資だって構いません。
まずはこのお得な制度をフル活用することを考えましょう。
余裕がある方は確定拠出年金を活用しよう!
「つみたてNISA」は1ヶ月当たり33,333円の投資までしかできません。
もしこれ以上の投資資金を用意できるのなら、追加で確定拠出年金の活用を検討しましょう。
「確定拠出年金」はお勤めの会社で加入できる「企業型確定拠出年金」と個人で加入する「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の2つがあります。
このうち、iDeCoの方は基本的に誰でも加入することができます。iDeCoもつみたてNISAと同様に非課税で運用できるというメリットがあります。
一方で、デメリットの1つが基本的に老後(60歳)までお金を引き落とせないという点です。
人生には結婚、出産、病気など様々なイベントがあります。iDeCoで運用しているとそういった時にお金はあるのに使えないという事態になりかねません。
そこでいつでも解約できるつみたてNISAをまず使い、それでも余裕があるのなら確定拠出年金を活用します。こうすれば、何かあった時に「つみたてNISA」で貯めたお金を使うことができます。
なお、確定拠出年金は自営業か会社員かなどによって掛け金の上限が変わります。しかし、どんな方でも基本的に1.2万円/月の投資が可能です。
仮に毎月1.2万円を満額投資した場合、つみたてNISAとの合計で月4.5万円になる計算です。
- つみたてNISA:月3.3万円の投資
- iDeCo:月1.2万円の投資
- 合計:月4.5万円の投資
④ 投資シミュレーション
それではつみたてNISAやiDeCoを活用することで、どの程度の資産を作ることができるのでしょうか?
ケース① つみたてNISAを満額積み立て
ここでは簡単なシミュレーションを通じて、「つみたてNISA」が老後資金の準備にどれだけ有効なのか示します。
将来のリターンを決めるのは難しいのですが、株式100%の商品であれば4〜5%/年のリターンは十分に期待できるでしょう。
「つみたてNISA」の非課税期間は20年ですので、20年投資を継続したケースを考えます。
つみたてNISAを活用して20年間投資を継続した場合
リターン | 投資元本 | 運用収益 | 合計 |
---|---|---|---|
4% | 7,999,920円 | 4,225,779円 | 12,225,699円 |
5% | 7,999,920円 | 5,701,065円 | 13,700,985円 |
6% | 7,999,920円 | 7,401,289円 | 15,401,209円 |
年率4〜5%のリターンであれば、1,200万円〜1,400万円程度の老後資金を貯めることができます。
投資期間が20年以上を確保できる若い方であれば、つみたてNISAの非課税期間終了後も投資信託を保有し続けることで、2,000万円近い資産を構築することができるかもしれません。
ケース② iDeCoを追加した場合
次につみたてNISAに加えて「iDeCo」を活用した場合のシミュレーション結果を確認してみましょう。
リターン | 投資元本 | 運用収益 | 合計 |
---|---|---|---|
4% | 2,880,000円 | 1,521,296円 | 4,401,296円 |
5% | 2,880,000円 | 2,052,404円 | 4,932,404円 |
6% | 2,880,000円 | 2,664,491円 | 5,544,491円 |
iDeCoで月1.2万円を20年間積み立てるだけで、400万円以上の自分年金を作ることができます。
したがって、つみたてNISAとiDeCoだけで、2,000万円近い老後資産を準備することが可能なのです。
共働き夫婦であれば、それぞれ2万円ちょっとを毎月出し合えばよい金額です。決して確保できない投資金額ではないでしょう。
⑤ その他
初心者からの脱却
今回は全世界株式へ投資する商品1つだけをシンプルに運用する方法をご紹介しました。
まずはこの方法で数年投資を継続しましょう。その後、他の商品や投資対象(債券など)に興味を持ち始めたのであれば、その時にまた考えればよい話です。
「投資についてはあまり時間を割きたくない!」という方は今回ご紹介した方法で投資を継続するだけで十分合格点を狙えます。
FIREへの道
「どうしても会社を辞めたい」、「月10万円以上の投資資金を確保できる」という方は、ステップアップとしてFIRE(経済的独立と早期退職)を目指すという選択肢もあります。
シミュレーションでお示しした通り、月5万円弱を20年間投資するだけで2,000万円の老後資金の確保が可能です。
一方で、私のように一刻も早く会社をやめたいと考える方もいらっしゃるでしょう。もしこのような意識を持っているのであれば、節約や副業をして月10万円以上の投資資金を確保してください。
つみたてNISAとiDeCoで4.5万円/月を投資して、残りの5.5万円/月で投資を継続すれば、年率5%のリターンで約2,300万円を作ることができます。
総資産は4,000万円近くになりますから、FIREが見えてくるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「つみたてNISA」や「iDeCo」を活用するだけでも相当な資産を形成することが可能です。少なくとも老後資金としては問題ないでしょう。
最近は金融所得への増税も騒がれていますが、これらの優遇制度は増税の影響を受けない可能性が高いです。ぜひこういった制度を活用して資産形成をしていくのがよいです。
また、FIREを目指すのであればできるだけ早くに投資をスタートさせることが重要です。20代に投資に出会うことができれば、一般的な年収の方でも30代~40代でFIREが見えてくるからです。
以上、ご参考になれば幸いです。