投資・資産形成

VYMへの投資は初心者におすすめできる?

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

投資初心者が高配当株投資をすることに否定的な意見があるのは事実です。

しかし、高配当株から受け取る配当金は資産形成のモチベーションの維持に非常に効果的です。

高配当株投資家の間で人気の銘柄にVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)があります。こちらの銘柄であれば過去の実績からは分配金の増配と株価上昇の両方を狙うことができます。

そこで本記事では、投資初心者にVYMへの投資をおすすめできるかどうかというテーマで解説していきます。VYMは初心者の方が手を出しても後悔しにくい銘柄だと言えるでしょう。

初心者に高配当株投資はあり?

VYM_初心者投資を始めたばかりの初心者だけど高配当株投資に興味があるという方はたくさんいるでしょう。

高配当株投資はその名の通り配当利回りの高い銘柄へ投資する手法です。

配当金はたとえあなたが寝ていようが何だろうが定期的にお金が入ってくる完全な不労所得です。ですから、この配当金を受け取るという行為は格別なのです。

著者は投資を始めて7年が経過しましたが、今も配当金を受け取るたびに幸せな気分になります。配当金の受け取りが投資を継続するモチベーションになっているのです。

老後資金の確保はインデックス投資が主流

老後資金など何十年も先の資金を作るにはインデックス投資が主流です。

ニューヨークダウや日経平均のような株価指数に連動する商品を購入していく手法です。日本では全世界株式S&P500などの米国の株価指数へ連動する投資信託が人気を集めています。

配当を出さない投資信託であれば、配当金もファンド内で再投資されますから効率的に資産を増やすことができます。

そのため、一般的にはインデックス投資から投資をスタートすることが勧められます。

高配当株投資を否定できない

しかし、初心者から高配当株投資をすることは否定できません

なぜなら、インデックス投資は退屈すぎて続けられない人が多いからです。

投資で重要なことの1つは株式市場に長くいることです。途中で投資を辞めてしまってはお金を増やす機会を失ってしまいます。

その点、高配当株投資は一定の配当金を受け取ることができ、モチベーションを維持しやすい投資手法です。したがって、初心者の方でも高配当株投資をしてもよいと著者は考えます。

一方で、問題は銘柄選びです。個別株の選定は初心者にとってハードルが高くなります。

そこで本記事でおすすめしたいのがVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)という銘柄を購入することです。

VYMとは?

VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)は米国の高配当株を集めた銘柄です。

以下にVYMの概要をまとめます。

銘柄名 バンガード・米国高配当株式ETF
ティッカーシンボル VYM
投資方針 大型株を中心に予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄で構成。
銘柄数 466
株価 101.36ドル/株
配当利回り 約3.2%
信託報酬 0.06%/年
純資産総額 $46.5 billion

注:配当利回りは2022年の年間分配金で算出。2023年5月31日時点の情報を基に作成。

VYMは米国の高配当株400銘柄以上に幅広く投資が可能な米国ETF(上場投資信託)です。

手数料はたったの0.06%ですから、仮に100万円投資したとしても600円の手数料しかかかりません。

そのため、VYMは米国ETFの中でも人気商品の1つで、運用額は日本円換算でなんと6兆円を超えます

VYMの構成銘柄

VYMは米国の400以上の高配当銘柄へ投資できる商品ですが、投資割合の高い銘柄トップ10は以下の通りです。

順位 銘柄 構成比
1 Exxon Mobil Corp. 3.24 %
2 Johnson & Johnson 3.20 %
3 JPMorgan Chase & Co. 3.16 %
4 Procter & Gamble Co. 2.65 %
5 Broadcom Inc. 2.63 %
6 Home Depot Inc. 2.34 %
7 Merck & Co. Inc. 2.18 %
8 Chevron Corp. 2.02 %
9 PepsiCo Inc. 1.90 %
10 AbbVie Inc. 1.77 %

出典:バンガードHPをもとに作成(2023年6月末時点)

1位はエクソンモービルで「スーパーメジャー」と呼ばれる世界的な石油会社です。

2位のジョンソン・エンド・ジョンソンはヘルスケア関連の製品を扱う企業で、コンタクトレンズの「アキュビュー」などが有名です。

3位はJPモルガン・チェースで世界有数の金融会社です。日本にも支店があり世界中でビジネスを展開する企業です。

このようにVYMへ投資することで、世界中でビジネスを展開し、安定的に利益を出している優良銘柄を間接的に保有することが可能です。

一方で、Google(Alphabet)などの巨大IT企業は含まれていません。こちらは株価の上昇は期待できるもののあまり配当を出さない銘柄だからです。

セクター

VYMのセクター比率を下表にまとめます。

1位は金融セクターで約20%です。景気敏感セクターであるものの、安定的に配当を出すセクターです。そして、2位と3位の生活必需品とヘルスケアは不況にも強いセクターです。

順位 セクター 構成比
1 金融 19.10%
2 生活必需品 13.60 %
3 ヘルスケア 13.20 %
4 資本財 11.80 %
5 エネルギー 10.40 %

出典:バンガードHPをもとに作成(2023年5月末時点)

配当利回り

VYMへ投資で3%程度の配当利回りを狙えます。

2023年5年31日時点の株価(101.36ドル/株)をもとに計算した配当利回りは以下の通りです。

① 2022年の年間分配金を基準

3.2518ドル/株÷101.36ドル/株→約3.21%

② 直近4回(2022年9月〜2023年6月)の分配金を基準

3.3356ドル/株÷101.36ドル/株→約3.29%

VYMがなぜ初心者に向いているのか?

ここまでVYMの基本情報について説明してきましたが、なぜVYMが初心者におすすめできるのでしょうか?

以下ではその理由をVYMの特徴とともに説明していきます。

増配が期待できる

まずは増配が期待できる点です。

VYMは2006年に設定された銘柄ですが、過去の分配金推移は下図の通りです。

VYM年間配当金推移_2022年12月リーマンショックの影響もあり、2008年と2009年では一時的な減配を記録しました。

一方で、その後はコロナショックも含めて右肩上がりで増配しています。その期間はなんと12年にも及びます。

過去のデータからはよほどのことがない限り増配が期待できますので、長期保有でどんどん配当を増やすことができる銘柄です。

株価の上昇も期待できる

また、安定的な株価上昇が期待できる点も魅力です。

以下はVYMの設定来の株価推移ですが、右肩上がりで上昇していることが分かります。

VYM株価推移_230715

配当利回りが高い銘柄を集めた高配当株ETFでは、株価上昇はあまり期待できない傾向にあります。

しかし、VYMは過去10年で2倍近くまで株価が上昇していますので、値上り益も十分狙える銘柄です。

バランスがよい

上述の通り、VYMは配当もある程度受け取れるし、株価上昇も期待できるバランスの取れた銘柄です。

しかも、VYMに投資するだけで400銘柄以上と多くの銘柄へ分散投資ができます。

投資をしているとよく陥ることがあります。それは使わずに貯めることに注力しすぎてしまうことです。

節約や副業などに精を出して、今の生活を疎かにしてしまうのです。その結果、老後で一番お金持ちになり、使いきれないほどのお金を溜め込んでしまいます。

一方で、VYMは四半期ごとに強制的に配当金を出します。

配当金は日々の生活に使うと決め、株価上昇は老後資金への備えとする、こういった使いわけがしやすいのです。

仮に途中でもっと配当が欲しくなれば別の銘柄を検討すればよいし、配当にあまり興味がないのであれば、インデックス投資へ切り替えることも可能です。

米国高配当株ETFの比較

VYM以外にも米国の高配当株へ投資できる銘柄があります。

その代表格がHDVとSPYDという銘柄です。

HDV:iシェアーズ・コア高配当株ETF

SPYD:SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF

下表にVYM、HDV、SPYDのリターンの比較結果をまとめます。

VYM HDV SPYD
設定 2006年 2011年 2015年
銘柄数 400以上 約75 約80
配当利回り 3%前後 4%前後 5%前後
トータルリターン(5年) 8.46% 7.43% 4.83%
トータルリターン(10年) 9.90% 8.10%
経費率 0.06% 0.08% 0.07%

注:トータルリターンは2023年6月末時点の情報

配当利回りはSPYDやHDVの方が高い傾向にあります。しかし、配当と株価上昇の両方(トータルリターン)で考えるとVYMのパフォーマンスが最も高くなります

特に初心者の方はこれから投資を長く続けていく方々です。トータルリターンが高く、ほどよく分配金ももらえるVYMの方が後悔しない可能性が高いでしょう。

インデックスファンドとの比較

次に米国株へ投資する代表的なインデックスファンドとの比較です。

米国株へ投資する米国ETFとしては以下のような銘柄が人気です。

VTI:バンガード・トータル・ストック・マーケットETF

VOO:バンガードS&P 500 ETF

VTIは米国株式約4,000銘柄へ投資するETFです。一方で、VOOはS&P500という米国の株価指数へ投資するETFで、500銘柄を対象にしています。

これらの銘柄のリターンとVYMを比較すると以下の通りです。

VYM VOO VTI
設定 2006年 2010年 2001年
銘柄数 400以上 500 約3,900
配当利回り 3%前後 1.5%前後 1.5%前後
トータルリターン(5年) 8.46% 12.25% 11.31%
トータルリターン(10年) 9.90% 12.82% 12.28%
経費率 0.06% 0.03% 0.03%

注:トータルリターンは2023年6月末時点の情報

VTIやVOOの配当利回りは1%台とVYMの半分程度しかありません。

一方で、過去の傾向からは大きな株価上昇が期待でき、トータルリターンはVYMと比較して高い傾向にあります。

これにはVYMの投資対象でないGoogle (Alphabet)などのIT企業が多く含まれているためでしょう。

長期的な視点で考えれば、やはりVTIやVOOの方が大きなリターンを手にできる可能性があります。

しかし、配当を受け取りながら使っていきたい、あるいは投資継続のモチベーションを維持したいという方には、配当利回りも高く値上り益も期待できるVYMの選択も悪くありません。

VYMへ投資する注意点

ここではVYMへ投資する際に注意すべき点についてご紹介します。

二重課税の問題

VYMのような米国株への投資で問題になるのが二重課税です。

分配金を受け取る際の税金は、米国で先に10%が差し引かれ、その後日本の税金20.315%が引かれることになります。

したがって、1万円の配当金を受け取った場合の税引後配当金は以下の通りです。

日本株の場合:10,000円✖️(100%-20.315%)=約7,969円

米国株の場合:10,000円✖️(100%-10%)✖️(100%-20.315%)=約7,172円

つまり、本来は約80%の手取りであるはずが、米国株の場合は約72%まで下がってしまうのです。

確定申告で外国税額控除という制度を適用することによって税金を一部取り返すことは可能です。

しかし、所得が少ない方は取り返せる金額が少ないですし、何より会社員で確定申告をしたことがない方にとっては面倒な手続きになるでしょう。

投資信託はおすすめしない

VYMの投資信託を購入することはおすすめできません。

VYMを間接的に購入できる投資信託には以下の銘柄があります。

SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド

楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド

VYMを直接購入しようとすると、1株でも1万円以上の購入資金が必要です。また、米国株を購入するために米国ドルを準備するのにも手間がかかります。

一方で、これらの投資信託を活用すれば日本円で100円から購入することができます。ご自身の懐に合わせて金額を調整できるので、初心者の方は手を出したくなります。

しかし、VYMの魅力の1つとしてご紹介した分配金は、投資信託では受け取ることができません。

VYMを保有するならやはり分配金を受け取ることに大きな意義があります。配当金を受け取れない投資信託ではその魅力は半減してしまうでしょう。

VYMへの投資方法

VYMへの投資をお考えならネット証券大手のSBI証券を活用するのがおすすめです。

理由は以下の通りです。

  • 米国ETFの定期積立サービスが利用できる
  • 住信SBIネット銀行で格安で米ドルを調達できる

株価が右肩上がりで上昇しているVYMであれば、タイミングをあまり気にせずに定期的に購入するスタイルも成り立つでしょう。

そこで、毎週や毎月のペースでVYMの自動買付をするのがおすすめです。

SBI証券には米国株の定期買付サービスがあるため、一度設定してしまえばVYMを購入し続けられます。

【完全ガイド】SBI証券で米国ETFを定期買付する方法!投資信託のように米国ETFを手軽に定期買付したくありませんか? 米国ETFには信託報酬が安く、多くの資金を集めている優良ETFがたくさんあります。一方で、投資信託のように積立設定をできる金融機関は限られています。本記事では、米国ETFの定期買付が可能なSBI証券での設定手順を徹底解説します。本記事を参考にぜひ米国ETFを手軽に購入していただければ幸いです。...

VYMを保有した結果

ここでは著者が実際にVYMを保有してどれだけ儲かっているのかご紹介します。

結論から言えば2023年7月時点で100万円以上の含み益があります。

VYM_購入実績

著者は一般NISAを活用して2019年からVYMをコツコツ購入してきました。買付額は360万円ほどですが、利益が116万円乗っている状態です。

実際には値上り益以外にも四半期ごとに配当金も受け取っていますから、トータルではさらに儲かっていることになります。

まとめ

本記事ではVYMという銘柄を初心者におすすめできるかどうかというテーマで解説しました。

VYMは配当金もある程度もらえますし、株価の上昇も期待できます。そして米国の高配当銘柄へ広く分散投資が可能ですから、初心者にもおすすめできる銘柄だと言えるでしょう。

VYMへ投資すれば、配当を受け取って投資の楽しさを知り、投資へのモチベーションを高めることができます。

高配当株投資をしてみたい、だけど何へ投資してよいかわからないという方は、VYMの投資からスタートするのも一案でしょう。

以上、ご参考になれば幸いです。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA