配当金生活やセミリタイア生活をする際に気になるのが、預金/貯金をどれくらい確保しておくべきかという点です。
大部分は株や債券へ投資して運用することになるでしょう。しかし、投資の世界では必ず株価が低迷する時期があります。
安全資産である現金を一定額保有しておくことで、安定したセミリタイアや配当金生活を送ることができるのです。
そこで本記事ではセミリタイア生活、配当金生活でどの程度の現金を保有しておくべきなのか解説していきます。
セミリタイア/配当金生活に必要な資金
まず考えたいのが、セミリタイアや配当金生活を送るにはどの程度の資金が必要なのかという点です。
セミリタイア生活や配当金生活を考えているなら、金融資産5,000万円が一つの目安になるでしょう。
もちろん、各々の生活費は異なりますし、お子さんがいるかどうかなどの家族構成も影響します。
しかし、著者の感覚としては5,000万円という金額が一つの区切りになるものと確信しています。
その理由を以下にまとめていきます。
最低限の生活資金が得られる
5,000万円を投資で運用すれば200万円近い資産所得が得られます。
投資対象が株式であれば年率4%~6%程度のリターンが期待できると言われています。
セミリタイアやFIREを目指している方に有名なのが4%ルールです。
4%ルールとは?
リタイア時の投資資産の4%を毎年取り崩しても、30年後に資産が枯渇しなかったという研究結果がベースになる考え方。
この4%ルールで考えると、以下の通り月17万弱の資産所得を毎年得ても、資産は枯渇せずに生活できることになります。
5,000万円 x 4% = 200万円
200万円 ÷ 12ヶ月= 16.7万円
一方で、総務省が実施した家計調査年報によれば、平均の生活費は以下の通りです。
5,000万円の資産があれば、単身世帯では理論上は資産所得のみで生活できることになります。
また、二人以上世帯でも生活費の大部分を資産所得で賄うことができます。
数億円貯めるには時間がかかりすぎる
巷では数億円なければ早期退職できないと主張される方もいます。
もちろん、お金はあればあるほどよいに決まっています。
しかし、目標資産額が増えれば増えるほどお金を貯めるのにかかる時間も長くなります。
例えば、月に10万円を投資に回し続けた場合を考えてみましょう。
先にご紹介した年率4%のリターンが得られたとすると、なんと1億円貯めるのに約37年もかかるのです。
月10万円もの大金を投資に回し続けても、目標とするセミリタイア資金が準備できた頃にはもう定年です。
これではただ老後資金の準備をしたにすぎません。
つまり、一般的な収入の方にとって数億円という資産を貯めて早期退職することは現実的ではないのです。
年齢が高ければ資産はあまりいらない
当然ながら20代の若い方と老後が近い50代では年金受給開始までの期間が違います。
例えば、現在50歳の方であれば15年後には年金が受け取れます。この方の場合、5,000万円という資金すらいらない可能性が高いでしょう。
仮に資産運用をせずに250万円(月20万円以上)を毎年使い続けたとしても、65歳時点で以下の資産が残ります。
250万円 x 15年=3,750万円
5,000万円 − 3,750万円=1,250万円
資産運用せずとも1,000万円以上の資産を保有して年金生活に突入できます。
このように年齢によってはセミリタイア資金はそこまでいらないのです。
セミリタイア生活における目安の貯金額
それでは5,000万円近くの投資資金だけを用意すればよいのでしょうか?
答えはNoです。
投資で5,000万円を運用すると同時に考えておきたいのが、預金をどれだけ持っておくかという点です。
銀行口座にお金を預けたとしても利子は雀の涙ですし、預金が少なすぎると何かあった時に身動きが取れずに大変です。
投資では運用がうまくいく時もあれば株価が低迷する時期もあるからです。
生活防衛資金はどれくらい必要?
一般的には月の生活費の6ヶ月~2年分を現金で保有しておくとよいと言われます。
いわゆる生活防衛資金というものです。
会社からの給料がなくなるセミリタイア生活や配当金生活では、資産形成時よりも多めに現金を保有する必要があるでしょう。
おすすめは常に2年程度の生活費を貯金/預金で保有しておくことです。
先にご紹介した総務省の調査結果をもとにすれば、独身なら400万円程度、二人以上世帯なら700万円程度です。
上記から500万円程度が一つの目安になるでしょう。
預金/貯金の保有額が少なすぎないか?
2年分の現金を保有するだけでは全然足りないとお考えの方も多いでしょう。
仮に5,000万円を投資で運用しながら500万円を別途預金で保有するケースでは、現金比率はたった9%程度です。
しかし、以下のような理由から貯金/預金はそこまでいらないと考えます。
配当金を受け取れる
5,000万円を個別株やETF(上場投資信託)で運用しているのなら、定期的に配当金を受け取ることが可能です。
したがって、生活費の一部は自動的に受け取る配当金で賄うことになります。
配当金の特徴の1つとして、不況時でも減配しにくいというものがあります。
配当金は株価の変動と比較して大きく減らないため、毎年受け取る配当金は予測しやすいのです。
したがって、不況時でも必要以上に現金に手をつけることはありません。
仮に不況時に配当金が半分になっても、残り半分を預金から賄えばよいのです。
生活費の2年分を現金で保有していても、配当金のおかげで実際にはそれ以上の期間を生活することが可能です。
インフレの進行
今後は日本でもインフレが進行していく可能性が高いです。
インフレは日用品やサービスの値段が上昇することを意味します。
最近は食料品なども含めて多くの品物が値上げされており生活が苦しくなったと感じている方も多いはずです。
したがって、もし預金として銀行にお金を預けておくだけでは、現金の実質的な価値はどんどん低下してしまいます。
そう考えると投資への比率を一定以上まで高めておく必要があります。
あまりにも多くの貯金/預金を保有することは将来資金繰りに大きな影響を与える可能性があるのです。
節約や収入源の確保
会社を辞めて全く働かない生活は長続きしないでしょう。
会社から解放されたい一心で配当金生活やセミリタイアを目指している方も多いかもしれません。
しかし、セミリタイア生活では自由に使える時間が一気に増えます。
多くの方は退屈な毎日に飽きてしまい、再就職したりスモールビジネスを立ち上げたりするものです。
時間があるので自炊するなど今まで以上に節約に取り組むこともできるでしょう。
その結果、節約で生活費が少なくなったり労働でちょっとした収入があるなど当初の想定よりも支出が下がることもありえるのです。
結果として、預金にはほとんど手をつけない可能性があります。
生活スタイルが確立されている
資産5,000万円をコツコツ貯めてきた方は生活スタイルが確立されています。
5,000万円もの資産を作るにはそれなりの時間がかかりますので、節約して給料の一部を投資に回すという作業を長期間に渡って続けてきた方がほとんどなはずです。
そういう方々は質素倹約の生活スタイルが体に染み付いており、そう簡単にお金を散財するスタイルにはならないのです。
また、投資でお金を増やせることも知っています。
その結果、会社を辞めてもむしろ節約しすぎてお金が増えたという方が出てくるのです。
暴落に仕込む必要はない
貯金/預金を保有していれば暴落時に投資でお金を増やせる可能性があるのも事実です。
そのため、暴落に備えてキャッシュポジションをある程度高めておくことを推奨する方もいるでしょう。
しかし、こちらもあまり考える必要はありません。
そもそもすでにセミリタイア生活や配当金生活をしているのであって、もうこれ以上お金を無理に増やす必要はないからです。
暴落時に投資をして儲けてやろうと考えるのではなく、セミリタイア生活や配当金生活をいかに継続的に送っていくかだけを考えればよいのです。
暴落時の買い増しに欲を出す必要はもうないのです。
結論
結論として、セミリタイアや配当金生活を送る際にはご自身の生活費の2年分程度を現金として保有しておくことがおすすめです。
そうすることで不況時に運用資産の売却を抑えることができるし、突発的な支出に対しても対応できます。
確かに不況が長引く可能性も十分あります。しかし、今までしっかり資産運用されてきた方であれば、そう簡単に生活が破綻することはないでしょう。
自由な時間が増えてより節約できますし、簡単な労働で多少の収入を得られるかもしれません。
このようなことを考えれば、セミリタイア生活に突入しても保有する預金にはほとんど手をつけない可能性が高いのです。
多くの場合、資産を維持するどころか増やしながら生活することができるでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。