「フロンティア市場」という言葉をご存知でしょうか?
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称:オルカン)などを保有していれば、先進国や新興国の株式を幅広く保有することが可能です。
しかし、投資の世界では先進国にも新興国にも該当しない「フロンティア市場」というものがあります。実はオルカンを購入しただけでは、これらの国々へは投資することができません。
フロンティア市場に投資できる数少ない銘柄にFM(iシェアーズ フロンティア & セレクトEM ETF)がありました。しかし、このFMは上場廃止と償還が決定してしまいました。
FMの上場廃止と償還が決定しました!
FMの上場廃止と償還が決定しました。
FMを運用するブラックロックのHPによれば、ファンドの最終取引日は2025年3月31日、償還金の支払い開始日は2025年4月3日を予定しています。
上場廃止して償還するとは、ETFの運用をやめてお金を投資家へ返還することを意味します。
実は著者はこのFMを少しだけ保有していました。しかし、今回の上場廃止の知らせを受けて、売却を余儀なくされました。
しかも、数年間FMを保有していましたが、ほとんどリターンを得ることはできませんでした。
そもそもFMとは何?
FMの特徴はずばり数少ないフロンティア市場へ投資が可能な銘柄だと言う点です。
フロンティア市場とは?
先進国市場、新興国市場という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。
この両方へ投資する銘柄の代表格がオルカンです。オルカンは新NISAの積立設定ランキングで堂々の1位に君臨する超人気ファンドです。
その売りは全世界の株式へ分散投資ができることです。
しかし、実は全世界と言っても先進国と新興国の約45カ国へ投資しているに過ぎないのです。
投資の世界では先進国でも新興国でもないフロンティア市場が存在します。このフロンティア市場に位置付けられる国々の事例を以下に示します。
ベトナム、カザフスタン、ルーマニア、モロッコ、ナイジェリアなど
個人投資家がこれらの国々の個別株を購入しようとしても難しいでしょう。
ベトナム株であればネット証券大手のSBI証券が扱っていますが、カザフスタンの個別株を取り扱う証券会社はおそらく日本にはないはずです。
FMはこれらフロンティア市場へ投資ができる数少ない銘柄だったのです。
著者がFMを購入していた理由
ここでは著者がなぜFMを購入していたのかその理由をご紹介していきます。
FMを保有していた理由
- 全世界の株式へ分散投資がしたかった
- フロンティア市場は大きく伸びる可能性があると考えたから
著者は新NISAの積立投資枠を活用してオルカンを積立しています。そして、それとは別に老後資金の確保を目的にVTを保有しています。
しかし、上述の通りこれらの銘柄の投資対象は先進国と新興国のみで、フロンティア市場は含まれていません。
そう考えた時、実は全世界の株式を保有していないと感じたのです。
また、フロンティア市場のようなマイナーな国々へ投資している人は少ないはずです。
ですから、今のうちにそのような国へ投資できれば、先行者利益で後々大きく儲けられる可能性があると考えていました。
FMが償還されたことに対する教訓
今回FMの上場廃止と償還が決定したわけですが、そこから得られた教訓は以下2点です。
純資産総額が少ない銘柄は危険
お金の集まっていない銘柄、つまり純資産総額が少ない銘柄はやはり危険だという点です。
FMという銘柄を初めて聞いた方がほとんどでしょう。要はそこまで人気のないマニアックな商品なのです。
著者の場合はそこまで投資額が大きくなかったのでよかったですが、これが大金を投入していたら最悪でした。
純資産総額が少ない銘柄は償還の可能性が高くなります。いつ償還されるかヒヤヒヤしながら保有するのは長期投資に向いていません。
新しい銘柄を知るとついあれもこれも手を出したくなりますが、購入する際には純資産総額の確認が必要です。
大人しくオルカンやS&P500へ投資しておけばよかった
「フロンティア市場なら大きなリターンを狙える」と根拠のない自信を持って投資しましたが結果は惨敗でした。
実際にFMのリターンは以下の通り低調なものでした。
1年:11.32%
3年:-2.55%
5年:1.76%
10年:1.07%
注:2024年6月末時点
FMの10年リターンはたった1%程度しかありません。これなら債券へ投資して手堅く利子をもらった方がよかったくらいです。
全世界株式やS&P500指数であれば、10年リターンでも年率10%前後ありました。
そう考えるとわざわざマニアックなFMへ投資する必要性は全くありませんでした。
結果論ではありますが、全世界株式やS&P500指数への投資だけにしておいた方がよかったのです。
余計なものに手を出してしまったと強く感じています。
まとめ
本記事では上場廃止が決定したFMについてご紹介しました。
FMはフロンティア市場に投資できる数少ない銘柄でしたが、残念ながら上場廃止と償還が決定してしまいました。
著者も保有していたFMを全て売却して、別の銘柄へ投資し直しました。
新興国やフロンティア市場へ投資して一気に資産を増やそうという考えはうまくいかないものです。
まずは王道の銘柄を淡々と積み上げるのが良い選択になるでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。