NISA(少額投資非課税制度)を活用して投資をするならどんな銘柄を選べばよいのでしょうか?
多くの方はランキング上位の人気銘柄を投資対象としてまず検討されるでしょう。しかし、ランキング上位でも長期積立に向かない商品はたくさんあります。
そこで本記事では大手ネット証券であるSBI証券と楽天証券のNISAで購入されている人気銘柄のランキング(2023年8月)を解説していきます。NISAで投資する際の商品選定の参考にしていただければ幸いです。
なお、2023年7月のランキングは下記記事でもご紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
2023年8月のNISAランキング
2023年8月のSBI証券と楽天証券のNISAランキングは以下の通りです。
順位 | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
1 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
2 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
3 | SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 楽天・全米株式インデックス・ファンド |
4 | SBI・V・全米株式インデックス・ファンド | eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) |
5 | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | eMAXIS Slim先進国株式インデックス |
6 | ピクテ-iTrustインド株式 | iFreeNEXT インド株インデックス |
7 | 野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド |
8 | SBI・全世界株式インデックス・ファンド | auAMレバレッジ NASDAQ100 |
9 | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | キャピタル世界株式ファンド |
10 | eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | iFreeレバレッジ NASDAQ100 |
出典:SBI証券HP及び楽天証券HPより作成。SBI証券は8月のつみたてNISAの積立設定金額ランキング、楽天証券は8月のNISAの積立設定金額ランキング。
SBI証券のランキングでは先月から2銘柄入れ替えがありました。「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」が新たにランクインしました。
楽天証券では「キャピタル世界株式ファンド」の1銘柄のみが新たにランクインしました。
赤字で示した6銘柄ずつがどちらかのランキングにしか入っていない銘柄です。両方のランキングに入っているのはeMAXISシリーズの4銘柄となりました。
ランキング上位商品のご紹介
今月はSBI証券の7位にランクインした「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」をご紹介していきます。
野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)
「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」は2023年7月10日に設定されたばかりの新しい投資信託です。
本銘柄は名前の通り全世界の株式へ投資できる銘柄です。実はこの銘柄が発売されるとかなりの衝撃がありました。
なぜなら、信託報酬が今までにないくらい安かったからです。
同様のコンセプトの商品に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)があります。こちらは8月のランキングでもSBI証券の1位、楽天証券の2位と不動の人気を誇る商品です。
オルカンは2023年8月末で1.4兆円を超える純資産総額があります。日本の投資信託で純資産総額が1兆円を超えるの銘柄は数える程しかありません。
そんなオルカンと「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」の信託報酬は以下の通りです(2023年7月末時点)。
eMAXIS Slim:年率0.11330%以内
野村:年率0.05775%
なんと約半分の信託報酬を打ち出してきたのです。同じコンセプトの商品ですから、信託報酬が安い分だけ投資家の利益が高くなる可能性があります。
したがって、オルカンを保有されている方の中には、本銘柄へ乗り換えようと考える人も出てきたのです。
国別投資割合
「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」の国別の投資割合を下表に示します。
全世界の株式が投資対象と言っても約60%が米国への投資になります。2位の日本でさえ5.5%と一桁台です。
順位 | 国 | 比率 |
---|---|---|
1 | 米国 | 60.4% |
2 | 日本 | 5.5% |
3 | イギリス | 3.5% |
4 | カナダ | 2.9% |
5 | フランス | 2.8% |
6 | スイス | 2.7% |
7 | ドイツ | 2.2% |
8 | アイルランド | 1.9% |
9 | オーストラリア | 1.8% |
出典:野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)のマンスリーレポートをもとに作成(2023年7月末時点)
セクター別の割合
次にセクター別の投資割合を下表に示します。
「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」のマンスリーレポートではセクターが細かく分類されていますが、基本的には情報技術が上位に多く入っています。
順位 | セクター | 構成比 |
---|---|---|
1 | ソフトウェア | 6.7% |
2 | 銀行 | 6.5% |
3 | 半導体・半導体製造装置 | 6.3% |
4 | コンピューター・周辺機器 | 5.6% |
5 | 医薬品 | 4.6% |
6 | 石油・ガス・消耗燃料 | 4.3% |
7 | インタラクティブ・メディアおよびサービス | 4.0% |
8 | 保険 | 2.9% |
9 | 大規模小売り | 2.7% |
10 | 資本市場 | 2.7% |
出典:野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)のマンスリーレポートをもとに作成(2023年7月末時点)
オルカンも信託報酬の引き下げで勝負!
「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」に対抗してオルカンも信託報酬の値下げを実施します。
2023年9月8日からの信託報酬は以下の通りです。
0.05775%以内
「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」と同水準まで信託報酬を落としたことになります。
こうなると運用実績のあるオルカンからわざわざ銘柄を変更する必要はなくなるでしょう。
ただし、信託報酬以外にも発生するコストはありますので、「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」の運用成績を引き続きウォッチしていく必要があるでしょう。
まとめ
本記事では2023年8月のNISA人気ランキングをご紹介しました。また、SBI証券の7位にランクインした「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」の詳細を解説しました。
「野村-はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」は全世界の株式へ低コストで投資できる銘柄です。
しかも、信託報酬は人気ランキングで常に上位の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の約半分と圧倒的低コストです。一方で、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」もこれに対抗して同水準まで信託報酬を下げてきました。
まだ運用期間がほとんどありませんから、オルカン保有者は無理に本銘柄へ乗り換える必要はないでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。