夢の配当金生活に憧れている方も多いでしょう。
この配当金生活を目指すなら、配当利回りの高い高配当株へ投資するのが一般的です。
一方で、個別株投資をするのなら銘柄分析が必須です。個別株の分析なんて難しいし自分には無理だと考え、諦めてしまう方がいるかもしれません。
しかし、配当金生活を目指すのに必ずしもそのような個別株へ手を出す必要はありません。
本記事では配当金生活がETF(上場投資信託)だけで十分目指せることについて解説していきます。
配当金生活とは?

配当金生活とは「株などから受け取る配当金で日々の生活費を賄う生活スタイル」を言います。
配当金は株を保有しているだけで受け取れる不労所得です。
仮に十分な配当金を受け取れるようになれば、もう働く必要はありませんし、投資に時間を取られることもありません。
また、昨今話題になることが多い老後資金も、年金に頼る必要がなくなります。
しかし、配当金生活を目指すのに大きな問題があります。
それは配当金生活の実現が簡単ではないということです。
特に個別株への投資はリスクもあり敷居が高いのも事実です。
一方で、著者は個別株の難しい分析をせずとも配当金生活を目指すことは可能だと考えます。
「ETF(上場投資信託)」を活用すればよいのです。
ETFは配当金生活の強い味方!
配当金生活を目指すのであれば、ETFを活用するだけでほぼ大丈夫です。
ETFとは上場投資信託のことを言います。
ETFは通常数十や数百と言った銘柄で構成されていますので、一般的に個別株よりはリスクが低いと言えます。
このETFには様々な種類の銘柄があります。
特に米国市場に上場する米国ETFは多種多様で、多くの選択肢があるのが魅力です。
これらの銘柄は条件に従って自動で銘柄を入れ替えます。ですから、こちらで銘柄を売却したりする必要はないのです。
例えば、米国の高配当株へ投資するVYM(バンガード・米国高配当株式ETF )があります。
この銘柄は米国に上場する高配当な約570銘柄(2025年9月時点)に投資します。
1つの銘柄を保有するだけで570銘柄へ投資ができるのです。全ての銘柄が一斉に倒産するようなことは考えられないので、個別株と比較してリスクは低い傾向にあります。
どんなETFを活用すればよいのか?
それではどんなETFで配当金生活を目指せばよいのでしょうか?
ここでは資産形成の初期と後期に分けて検討していきます。
① 資産形成初期
投資初期にいる方の場合は、配当金生活の実現はかなり先になります。
そのため、今すぐに配当金をたくさん受け取る必要はなく、長期的な視点で考えるべきです。
そのため、必ずしも配当利回りの高い高配当株にこだわる必要はありません。
なぜなら、高配当株ETFは全世界株やS&P500と比較してトータルリターンが劣る可能性があるからです。
資産形成の初期では長期的な視点で配当が増えているか、またトータルリターンを考慮して考えるのがよいでしょう。
そこでおすすめは以下2つのETFです。
全世界株ETF
全世界株式へ分散投資ができる銘柄を購入することです。
具体的には以下のような銘柄が該当します。
著者は両銘柄を保有していますが、特にVTは3,000万円以上運用しています。

投資対象が米国株であるS&P500指数の分配金利回りは1%ちょっとしかありませんが、VTの分配金利回りは意外に高く2%以上あります。
加えて、毎年のように増配されるため、購入単価に対する分配金利回りはどんどん上がっています。
著者は7~8年前からVTを購入してきましたが、購入単価に対する分配金利回りはすでに3%以上になっています。
これは高配当株ETFと遜色のない分配金利回りです。
増配株ETF
次に投資を考えたいのが増配株ETFへの投資です。
具体的には以下のような銘柄です。
VIGは米国の10年以上連続増配株、2014は5年以上連続増配株へ投資ができます。
したがって、よほどのことがない限り減配しないので、安定的に分配金を受け取り続けることができます。
また、ETFではなく投資信託ではありますが、最近話題のSBI/楽天SCHDへ投資するのも選択肢に入るでしょう。こちらもVIGと同じく10年以上連続増配の銘柄へ投資ができます。
上述したような銘柄へ投資することで、長期的にどんどん受け取る分配金を増やしていくことができます。
② 資産形成後期
資産形成がある程度完了している方、つまり資産的には配当金生活を目指せるレベルにいるのなら、もう少し配当利回りの高い銘柄への投資が選択肢に入ります。
生活に必要な配当金を計算してその分を高配当株ETFへ切り替えればよいからです。
具体的には米国高配当株ETFや日本の高配当株ETF(1489)を活用します。
米国高配当株ETF
米国高配当株ETFであるVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)、HDV(iシェアーズ・コア米国高配当株ETF)であれば、3~4%程度の分配金を受け取れます。

しかも、これらの銘柄は長期的には株価も分配金も上昇傾向にあります。
インフレにも負けない可能性が高いのです。
日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)
1489は日本の高配当50銘柄へ分散投資ができる銘柄です。
こちらも4%近い高い配当利回りがあります。
加えて、1489への投資には米国ETFにはないメリットがあります。
それが配当控除です。
日本株の場合は二重課税の是正のために配当控除という制度があります。
詳しくは割愛しますが、配当金生活では所得が下がるため、総合課税でこの配当控除を活用すれば、所得税や住民税を低く抑えることができます。
配当金に対する税金は現行では20%ですが、所得が少ない場合はほぼ取り返すことも可能です。
日本株は使い方によっては外国株よりもかなり有利になります。
配当金生活はETFだけでも十分!
上述の通り、増配系、全世界株系、高配当株系のETFを活用すれば、必ずしも個別株への投資は不要だと言えます。
もちろん著者も個別株を保有していないわけではありません。
ご紹介したETFの分配金利回りより高いケースもありますが、その分リスクも高いと言えます。
そのため、個別株への投資はあくまで趣味の世界だと考えています。
投資の勉強になる、あるいは投資の幅を広げるために保有しています。
配当金生活に必要な資金は?
最後に配当金生活に必要な資金を確認しておきましょう。
生活費は人によって大きく変わりますが、ここでは月20万円で生活する場合を想定してみたいと思います。
月20万円(年間240万円)の配当金を得ようとした場合、利回り3%で8,000万円もの資金が必要です。
しかも、この金額は税金を考慮していませんので、月20万円を全て使えるわけではありません。
このように配当金生活はETFだけで気軽に目指せるものの、そのハードルはめちゃくちゃ高くなります。
したがって、配当金生活の実現には相当な資金力と長期の投資期間が必要になります。
以上、ご参考になれば幸いです。