投資信託やETF(上場投資信託)をコツコツ定期買付している方にとって最大の悩みは「投資が退屈すぎる」という点です。
初心者からのステップアップのために個別株投資へも挑戦してみたいと考えている方もいるでしょう。
一方で、投資信託やETFと違って個別株への投資には財務分析などを行い慎重に投資対象を選定する必要があります。なぜなら、個別株への投資はリスクが高く、下手をしたら倒産などで大きく損失する可能性があるからです。
そこで本記事では財務分析をするなら知っておきたい指標であるROA(総資産利益率)について解説していきます。
この記事をきっかけに財務分析への第一歩を踏み出していただければ幸いです。
総資産利益率(ROA)とは?
総資産利益率は英語ではReturn On Assetと言い、頭文字を取ってROAと言います。
「総資産利益率」は「ROA」と略されることが多いため、ROAと言われたらどんな意味かぱっと出てくるようになるのが理想です。
まずはそんなROAの定義から見ていきましょう。
ROA=当期純利益/資産(単位は%)
つまり、企業が持っている資産に対してどれだけの利益を生み出しているのかを表す指標です。
なお、分子は「当期純利益」と記載しましたが、場合によっては「営業利益」や「経常利益」になる場合もあるので注意が必要です。
ROAは高い方がよい?
それではROAがどういう状態であれば良い企業と言えるのでしょうか?
定義からも分かるようにROAは資産に対して利益をどれだけ生み出しているかを示す指標です。
したがって、
ROAが高い→効率的に利益が出ている会社
と考えることができます。
つまり、一般的にはROAが高い方がよいということになります。
日本企業の場合、ROAの目標を5%前後に設定することが多いと言われています。もちろん業種にもよるので一概には言えませんが、5%を一つの目安として頭に入れておくのが良いでしょう。
ROAは分解して考えてみよう!
ROAを指標として考える場合、分解して分析に使うとより企業の特徴を掴むことができます。
ROAを分解すると「当期純利益率×総資産回転率」であると考えることができます。
ROA=当期純利益率(当期純利益/売上高)×総資産回転率(売上高/資産)
仮にA社とB社がROA5%で同じだったとしても、当期純利益率と総資産回転率が異なる場合があります。
A社:5% (当期純利益率) × 1回(総資産回転率)
B社:2.5% (当期純利益率) × 2回(総資産回転率)
当期純利益率は売上に対する利益を表す指標ですから、収益性の高さを判断できます。また、総資産回転率は効率性を表す指標です。
したがって、A社は「利益率がB社にくらべて高いものの効率性は悪い」、逆にB社は「利益はA社より低いものの効率性は高い」ということになります。
このようにROAを分解して考えることで会社の特徴や戦略などを把握することができます。また、ここから将来性の分析などにもつなげることができるでしょう。
なお、一点注意が必要なのは業界を超えた比較が難しい点です。業界が違えば各指標の数値も大きく変わってきます。同業他社の中で比較・分析するのがおすすめです。
まとめ
本記事では財務分析の基礎的な指標である総資産利益率(ROA)について基本的事項をまとめました。
ROAだけを分析しても詳細な企業分析はできませんが、一つの指標として抑えておくと非常に便利です。
個別株分析はハードルが高いと感じるかもしれませんが、ROAのような指標の意味が分かってくると投資が面白く感じるものです。こういった指標を1つ1つ覚えていき、個別株の分析ができるようになりましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。