投資・資産形成

知らないと損!米国株投資における「外国税額控除」の仕組み

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米国ETFなどの海外株式へ投資されている方は、配当金を受け取る際に日本と海外の両方で税金を取られています。

これを二重課税と言いますが、「外国税額控除」という仕組みを活用することで、一部の税金を取り戻すことができます。

しかしながら、この「外国税額控除」の仕組みや手続きについて、きちんと理解されている方は少ないのではないでしょうか。実は私もその1人でした。

米国ETFを保有しているにもかかわらず、今まで「外国税額控除」の手続きをしたことがありません。

そこで、本記事では「外国税額控除」に係る基本情報についてご紹介します。

「外国税額控除」の仕組みについて理解されていない方は、ぜひ一緒に勉強していきましょう。

高校中退投資家Toshiの実績

  • 投資歴約5年のサラリーマン投資家
  • 米国ETFを中心に2,000万円以上を投資で運用
  • 月の平均配当金は3万円以上

「外国税額控除」って一体なに?

「外国税額控除」は、外国と日本で二重に課税されることを避けるために設定された制度です。

外国税額控除:外国で生じた所得に対して、その国の所得税に相当する税金が課された場合、一定の外国所得税を日本で支払う所得税から控除(差し引く)できる仕組み。

米国株取引をしている人は、米国株から受け取る配当金がまさにその一例です。

米国株の配当金は、まずアメリカ側の税金が10%引かれ、その10%の税金が引かれた後に、日本の税金(20.315%)が課税されます。したがって、下式の通り、実際に受け取る配当金は約72%になってしまいます。

(1-10%)x(1-20.315%)=71.7165%

日本株の配当金には日本の税金である20.315%しか課税されません。したがって、約80%の配当金を受け取ることができます。

つまり、米国株は日本株に比べて、約8%も税金を多く支払っていることになります。

「外国税額控除」の仕組み!

「外国税額控除」を活用することで一定の税金は取り戻せるものの、二重課税の全てを取り戻せるわけではありません

外国税額控除額の計算は下式によって算出されます。

所得税の控除限度額=その年の所得税額 x(その年の国外所得金額/その年の所得総額)

計算式より、「その年の所得税額」が基準になっていることが分かります。つまり、所得税を支払う額の少ない方(稼ぎが少ない)は、あまり二重課税分を取り戻せないことを意味します。

一般的に、所得総額が400万円だとすれば、所得税は大体9万円程度であると言われています。

仮に米国株から受け取る配当金が30万円だとすると、計算される「所得税の控除限度額」は1万円にも満たないのです。

二重課税された約2.4万円 (30万円 x 8%=2.4万円)の全額は取り戻せないことになります。

よほどの高所得者であれば話は別ですが、基本的には「全額は取り戻せない」と考えた方がよいでしょう。

「外国税額控除」の手続きはどうすればいいの?

「外国税額控除」の適用を受けるには「確定申告」が必要です。

会社員の方は基本的に会社が税金関係の手続きをしてくれます。そのため、年末調整の手続きだけで済ませている方がほとんどではないでしょうか。

「確定申告」のハードルは少し高いかもしれませんが、手続きはそこまで複雑ではありません。

「外国税額控除」の手続きのために必要な書類は下記2点です。

  • 特定口座年間取引報告書
  • 外国株式等 配当金等のご案内 (兼)支払通知書

なお、SBI証券であれば、「特定口座年間取引報告書」は1月中旬に送られてきます。「外国株式等 配当金等のご案内 (兼)支払通知書」は配当金を受け取るたびに発行されます。したがって、電子データを全てダウンロードして1つのフォルダにまとめておくのが良いでしょう。

上記の書類には、受け取った配当金や差し引かれた税金の金額が記載されています。これらの情報を、国税庁のホームページで入力していくことで自動で控除額を計算することができます。

具体的には、下記の「外国税額控除に関する明細書」を作成していくことになります。

なお、特定口座年間取引報告書には、外貨の金額が記載されていません。したがって、「外国株式等 配当金等のご案内 (兼)支払通知書」も併せて確認する必要があります。

1つ1つ支払通知書を確認していく必要がありますので、複数の海外株式を保有されている方は結構大変でしょう。

高校中退投資家Toshiの場合は、数種類の米国ETFしか保有していません。しかし、年4回の配当がありますから、20枚近い「外国株式等配当金等のご案内 (兼)支払通知書」を確認する必要があります。外国株の数を増やすのも少し考えなければいけません。

ただし、入力の手順等は、国税庁のホームページでかなり詳しく説明されていますので、1回経験すれば申告自体はそこまで難しくないでしょう。

「外国税額控除」の注意点

取り戻せる税金が少ない場合は、確定申告をしない方が良い場合もあります

例えば、サラリーマンのような給与所得者であれば、給与所得と退職所得以外の所得金額が20万円を超えなければ、確定申告は不要です。例えば、副業などで15万円程度稼いでいたとしても、所得税の確定申告は不要になります。

しかし、確定申告で「外国税額控除」の申請をするのであれば、これらの副業の収入も申告する必要が出てきます。

極端な例を挙げれば、「外国税額控除」で数百円しか戻ってこないのに確定申告すると、副業の所得のせいで所得税が増えてしまう可能性があります。

ご自身の置かれている状況に応じて、「外国税額控除」を活用するかしないか検討いただければ幸いです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では、「外国税額控除」の基本的な概要について解説しました。税金の制度は本当に複雑で難しく、また毎年のように改正されます。最新の情報を常にチェックしておく必要があります。

「あえて国民に分かりにくくしているのではないか」と思うくらいです。

しかし、税金についてしっかり勉強することで、支払う税金を減らすことができる可能性があります。

私の場合、今まで受け取っていた米国株式からの配当金が少なかったので、「外国税額控除」を活用することにほとんど意味はありませんでしたが、現在では配当金もそれなりに増えてきました。

今年からは「外国税額控除」を活用して、できるだけ税金を取り戻していきたいと思います。

以上、ご参考になれば幸いです。

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