「米国ETFには様々な商品がありますが、どんな商品が人気なのでしょうか?」
本記事では、ネット証券大手のSBI証券と楽天証券の「米国ETF人気ランキング」をご紹介します。
しかし、人気ランキングには投資初心者が購入してはいけないハイリスクな商品も含まれています。深く考えずにランキング上位の商品を購入すると、大きな損をしてしまう可能性があるのです。
人気ランキングに惑わされずに、ご自身の状況にあった商品を選択していくことが重要です。
そこで、本記事では10月末時点の「米国ETF人気ランキング」をご紹介するとともに、ランキング上位の商品について個別に解説していきます。米国ETFを購入する際の参考にしていただければ幸いです。
なお、2020年9月末時点の「米国ETF人気ランキング」は下記記事でご紹介しております。興味のある方は是非ご覧ください。
米国ETF週間売買ランキング
SBI証券と楽天証券の10月最終週の週間売買ランキングを下表に示します。
順位 | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
1 | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET(QQQ) | バンガード S&P 500 ETF(VOO) |
2 | iシェアーズ iBoxx USD Hイールド社債 ETF(HYG) | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET(QQQ) |
3 | iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF(TLT) | Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF(TECL) |
4 | Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF(SPXL) | Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF(SPXL) |
5 | バンガード S&P 500 ETF(VOO) | バンガード・米国高配当株式ETF(VYM) |
6 | Direxionデイリーテック株ブル3倍ETF(TECL) | バンガード トータルストックマーケットETF(VTI) |
7 | iシェアーズ優先株式&インカム証券ETF(PFF) | SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF (SPYD) |
8 | iシェアーズ 米国国債 1-3年 ETF(SHY) | iシェアーズ コア米国高配当株(HDV) |
9 | バンガード 米国トータル債券市場ETF(BND) | Direxion デイリー S&P 500 ベア3倍 ETF (SPXS) |
10 | iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG) | SPDR S&P 500 ETF(SPY) |
出典:SBI証券HP及び楽天証券HPより作成。SBI証券は10/26~10/30、楽天証券は10/25~10/31の週間売買代金ランキングを基に作成。
SBI証券では、9月末のランキングに引き続き債券ETFが5つランクインしています。ただし、銘柄自体には若干の入れ替わりがあります。例えば、米国の国債へ投資するTLTが上位に入っています。
一方で、楽天証券では全てが株式ETFへと入れ替わりました。ランキングに入っている商品はお馴染みのものが多い印象で、米国のS&P500へ投資するVOOやSPY、米国全体へ投資するVTI、米国高配当ETFのSPYD、VYM、HDVなどです。
青字で示したのETFはどちらか片方のランキングにしか入っていないETFです。SBI証券と楽天証券では、4つしかETFが被っていませんでした。
ランキングの所感
今月のランキングでは、SBI証券では債券ETFが5つ入っているにもかかわらず、楽天証券では1つも入っていませんでした。
楽天証券のランキングをみると知名度が高く、初心者でも投資がしやすいVTIやVOO、米国高配当ETFが上位に入っています。これらの商品は投資初心者の方にもおすすめです。
したがって、投資を始めたばかりの方は楽天証券のランキングを参照した方がよいでしょう。
また、SBI証券のランキングでは米国債を投資対象とするETFが2つ入っています。米国債の金利は1%を切っている状況ですが、これらの商品が人気なのは面白いところです。
ランキング上位商品の紹介
ここでは、ランキングのTOP10に入っている銘柄の一部をご紹介していきたいと思います。
今月は下記3つのETFについてご紹介したいと思います。債券ETFが2つと株式ETFが1つです。
- iシェアーズ iBoxx USD Hイールド社債 ETF(HYG)
- iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF(TLT)
- バンガード トータルストックマーケットETF(VTI)
iシェアーズ iBoxx USD Hイールド社債 ETF(HYG)
本銘柄は、米国の「ハイ・イールド」社債へ投資するETFで、2007年に運用を開始しました。
「ハイ・イールド」とは利回りが高く、信用格付けが低いことを意味します。高い利回りではありますが、信用格付けが低いことから、債券といえどリスクはある程度高くなります。
11月5日時点の配当利回りは4.32%とかなり高い水準です。過去1年で見ても平均して5%弱の利回りを維持しており、配当金が好きな方にとってはこの高い配当利回りは魅力です。一方で、経費率は0.49%と少々高めに設定されています。
また、トータルリターンでも設定来から5.22%とまずまずです。
コロナショックにより、88ドル/株程度であった株価が、69ドル/株程度まで約22%下落しました。株式では同時期に30%程度下落しましたので、大きな差はありません。リスクの高い債券を投資対象にしていますので、暴落時にはかなり値下がりすることを理解しておく必要があります。
iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF(TLT)
本銘柄はその名の通り米国の国債へ投資するETFで、2002年に運用を開始しました。
長期米国債を対象としていることもありその安定性が魅力の商品です。
11月5日時点の配当利回りは1.44%と低めです。しかし、設定来からのトータルリターンを見ると7.55%と先にご紹介したHYGよりも高い水準です。また、経費率が0.15%と安いのも魅力です。
コロナショックでも大きな下落はありませんでした。逆にコロナショック以降は高い株価をキープしています。
バンガード トータルストックマーケットETF(VTI)
VTIは米国市場全体へ投資ができるETFです。アップル、マイクロソフト、アマゾンなどの世界的大企業が投資対象の上位にランクインしています。ただし、大企業だけでなく小型、中型株も含まれており、なんと約3,600銘柄が投資対象です。
分配金は1.60%程度と低めですが、設定来のリターンは7.44%と高い水準をキープしています。また、経費率も0.03%と激安なのも魅力です。
なお、直接このETFを購入する必要はありません。「楽天・全米株式インデックス・ファンド」という投資信託がありますが、この投資信託を購入することで間接的にVTIへの投資が可能です。
コロナショックでは、171ドル/株程度であった株価が、111ドル/株程度まで約35%下落しました。やはり債券と比較するとその下落率は高く、株式ETFは大きく値動きします。なお、2020年11月現在で株価は下落前の水準に戻っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
2020年10月の米国ETF人気ランキングをご紹介しました。今回もいくつか新しいETFがランクインされており、米国ETFには本当に様々な商品があることが分かります。
今回ご紹介した3つのETFはそれぞれ特徴がありますが、投資初心者にはやはり「VTI」がおすすめです。
「楽天・全米株式インデックス・ファンド」へは数百円から投資ができますので、是非購入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、SBI証券のユーザーと楽天証券のユーザーでランキングに大きな違いがあることも非常に面白い結果です。来月以降も引き続きランキングについて確認していきたいと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。