「米国ETFには様々な商品がありますが、どんな商品が人気なのでしょうか?」
本記事ではネット証券大手のSBI証券と楽天証券の2020年12月末時点の「米国ETF人気ランキング」をご紹介します。また、ランキング上位の商品について個別に解説していきますので、米国ETFを購入する際の参考にしていただければ幸いです。
なお、2020年11月末時点の「米国ETF人気ランキング」は下記記事でご紹介しました。興味のある方は是非ご覧ください。
米国ETF週間売買ランキング
SBI証券と楽天証券の12月最終週の週間売買ランキングを下表に示します。
順位 | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
1 | iシェアーズ 米国国債 1-3年 ETF(SHY) | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET(QQQ) |
2 | バンガード 米国短期社債 ETF (VCSH) | バンガード S&P 500 ETF(VOO) |
3 | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET(QQQ) | Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF(SPXL) |
4 | iシェアーズ iBoxx USD Hイールド社債 ETF(HYG) | バンガード トータルストックマーケットETF(VTI) |
5 | バンガード S&P 500 ETF(VOO) | Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF(TECL) |
6 | iシェアーズ iBoxx USD投資適格社債 ETF(LQD) | iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF (ICLN) |
7 | iシェアーズ JPM USDエマージング債券 ETF(EMB) | SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF (SPYD) |
8 | バンガード トータルストックマーケットETF(VTI) | iシェアーズ コア米国高配当株 ETF (HDV) |
9 | iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG) | iシェアーズ シルバー・トラスト(SLV) |
10 | Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF(SPXL) | SPDR ゴールド・シェア(GLD) |
出典:SBI証券HP及び楽天証券HPより作成。SBI証券は12/28~1/1、楽天証券は12/27~1/2の週間売買代金ランキングを基に作成。
SBI証券のランキングでは、前月に引き続き債券を投資対象とするETFが6つも入っています。株式ETFはランキング常連のQQQ、VOO、VTIなどがランクインしています。
一方、楽天証券のランキングでは、債券ETFは1つも入っていません。メインは株式ETFですが、9位と10位には銀と金へ投資するETFが入っています。
赤字で示した銘柄は、SBI証券と楽天証券の両方のランキングに入っている商品です。ランキング上位の常連であるQQQ、VOO、VTI、SPXLが両社のランキングに入っています。
ランキングの所感
今月のランキングも、SBI証券と楽天証券で大きな違いが見られました。SBI証券では相変わらず債券ETFが多く、楽天証券では株式ETFが多い傾向にあります。
特に注目すべきは、楽天証券に金や銀などコモディティへ投資する商品が入っていることです。コロナの影響で各国が大規模な金融緩和をしています。将来的にお金の価値が下がることが懸念されていますので(インフレの進行)、コモディティの人気が出ているのかもしれません。
また、楽天証券の6位には、ICLNという商品が入っています。こちらは、太陽光発電などクリーンエネルギー関連企業を投資対象としています。最近はESG投資(環境・社会・ガバナンスに配慮している企業を重視して投資)も流行りです。こういった社会情勢もランキングに影響しているのでしょう。
ランキング上位商品の紹介
それでは、ランキング上位に入っている銘柄をご紹介していきたいと思います。
今月は下記3つのETFについてご紹介します。クリーンエネルギー関連企業を投資対象にするETFと金や銀を投資対象にするETFです。
- iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF (ICLN)
- iシェアーズ シルバー・トラスト(SLV)
- SPDR ゴールド・シェア(GLD)
iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF (ICLN)
上述の通り、ICLNはクリーンエネルギー関連企業へ投資するETFです。投資銘柄数は2021年1月時点で30銘柄と多くはありません。
一方で、投資対象国は米国が約30%、中国、デンマーク、ニュージーランドが約10%とそれなりに分散されています。
このETFはこれまでぱっとしない株価だったのですが、2020年に急激に上昇しました。コロナショックで若干下げる場面があったものの、2020年のリターンは140%以上を記録しています。
ICLNは配当も出しますが、利回りは0.5%程度と低めです。また、経費率は0.46%と若干高めです。
iシェアーズ シルバー・トラスト(SLV)
本銘柄は銀価格の変動に連動することを目標としたETFで、2006年に設定された商品です。
SLVの株価はコロナショック以降に上昇しています。ただし、最も高かったリーマンショックの頃の株価と比較すると30%〜40%程度低いので、まだ上昇の余地があるかもしれません。
信託報酬は0.5%と少し高めです。銀現物に気軽に投資できる商品ですが、長期的に保有するのであれば信託報酬の高さが気になります。
SPDR ゴールド・シェア(GLD)
こちらは金価格の変動に連動することを目標としたETFで、2004年に設定された商品です。なお、このETFは東京証券取引所にも上場しており、1株2万円弱で購入することも可能です。
GLDもSLV同様にコロナショック以降に株価が上昇しています。SLVと違うのは、GLDはリーマンショックの頃の株価を超える水準まで到達している点です。
GLDは金ETFの中で最も運用資産額が大きいETFです。信託報酬は0.4%と少し高めです。もし、運用規模が小さくてもよいのなら、同じ金ETFで信託報酬の低いIAU(0.25%)やGLDM(0.18%)などの商品も選択肢に入ってくるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
どのETFも2020年に急激に株価が上昇したETFです。今から手を出すと高値を掴んでしまう可能性もあります。ホットな話題に飛びつくのではなく、投資する商品はよく吟味するのがよいでしょう。
ただし、金や銀のETFはインフレ対策にもなりますし、一定割合は保有しておきたいところです。長期的な視点でコツコツ投資するのなら今からの購入でもよいかもしれません。
来月以降も引き続き米国ETFランキングについて確認していきたいと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。