フィリピン株投資をするなら財閥について理解しておくことは必須です。なぜなら、フィリピンの主要企業の多くは財閥関連の企業だからです。
下記記事で、フィリピンで最も大きいヘンリー・シー財閥についてご紹介しました。
本記事では、ヘンリー・シー財閥同様にフィリピンの大手財閥である「ゴコンウェイ財閥」についてご紹介します。
フィリピン総合指数に含まれる銘柄も多数ありますので、フィリピン株への投資を検討されている方はしっかりチェックしていきましょう。
ゴコンウェイ財閥(Gokongwei)を徹底解説!
ゴコンウェイ財閥は、ジョン・ゴコンウェイ(John Gokongwei Jr)によって創業された中華系の財閥です。
「中華系」とある通り、創業者は中国出身の方です。実はフィリピンで力を持っている財閥の多くは、このような中華系の移民によって創業されています。
もともとはセブでビジネスをスタートしており、グループ企業にセブパシフィック航空もあります。
本財閥の特徴は、幅広く事業を展開している点です。また、海外企業との協業も多く見られます。
フィリピン総合指数(PSEi)に含まれる企業が多数!
日本に「日経平均」や「TOPIX」のような指数があるように、フィリピンには「フィリピン総合指数 (PSEi)」が存在します。
フィリピン総合指数(PSEi)は30銘柄で構成されており、フィリピンの大手企業が含まれます。
下表にPSEiの銘柄と時価総額を示します。赤字が「ゴコンウェイ財閥」に関連する企業ですが、30銘柄のうち6銘柄も含まれています。
注:2021年4月23日時点の情報を基に作成。
時価総額6位の「JG Summit Holdings, Inc」は持株会社で、事業の支配を目的にグループ会社の株式を保有しています。この会社が、グループ企業の事業戦略などを立てています。
主力事業は、不動産、食品、小売、航空事業などです。以下でグループ会社の詳細について詳しく見ていきます。
ゴコンウェイ財閥のグループ会社!
食品事業
Universal Robina Corporation
Universal Robina Corporation (URC)は、フィリピンのスナック菓子最大手の会社です。スナック菓子だけでなく、飲料や食料雑貨など幅広く事業を展開しています。
URCの商品はフィリピン国内だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、日本など様々な国に輸出されています。また、日本のカルビーとも合弁会社を設立してフィリピン国内でカルビーの商品を展開しています。
海外展開にも積極的で、ニュージーランドやオーストラリアのスナック菓子メーカーを買収しています。フィリピン国内にとどまらず、東南アジア全域やオセアニア地域など世界中へ進出しています。
下図の通り、2010年前後の株価と比較すれば、2021年時点で約10倍近くまで株価が上昇しています。
出典:Investing.com
不動産業
Robinsons Land Corporation
Robinsons land corporationはゴコンウェイ財閥の中核をなす不動産事業の会社で、商業施設やオフィスビル、住宅などのデベロッパーです。
また、ホテルやショッピングモールの開発や運営を手掛けています。ホテルは、「Summit hotels and resorts」や「Go Hotels」のブランドでフィリピン全土に展開しています。フィリピンへ旅行したことがある方は、これらのホテルを利用したことがあるかもしれません。
ただし、株価はUniversal Robina Corporationのような大きな上昇は見られません。
出典:Investing.com
United Industrial Corporation (UIC)
シンガポールの不動産開発と不動産投資を展開する会社です。JG Summit Holdings, Incは37%を出資しています。
航空事業
Cebu Air, Inc.
セブパシフィック航空は、フィリピン航空を抜いてフィリピン最大の航空会社です。
就航都市は国内で37都市、海外は26都市もあります。特に、フィリピン国内の移動に利用されたことがある方も多いでしょう。
ただし、Cebu Air, Incは上場企業ではありますが、フィリピン総合指数(PSEi)には含まれていません。
COVID-19の影響もあり、2021年4月現在の株価はかなり低い状況にあります。
出典:Investing.com
小売事業
Robinsons Retail Holdings, Inc.
Robinsons Retail Holdings, Inc.はスーパーマーケットやデパートなどを展開する会社です。小売業ではフィリピン第2位の会社です。ちなみに1位は、フィリピン最大の財閥であるSM財閥のSM Retail Inc.です。
Robinson SupermarketやRobinson Department Storeなどを展開しており、グループのネットワークは1,900店舗にも及びます。また、三菱商事とも協業してミニストップをフィリピン全土に展開しています。
ただし、2017年をピークに株価は低迷気味です。
出典:Investing.com
通信事業
PLDT, Inc.
PLDT, Inc.はフィリピン最大の通信事業者です。事務所や自宅のインターネット回線などを提供しています。また、フィリピンの大手携帯会社である「Smart」もPLDTの傘下です。
PLDTもフィリピン総合指数(PSEi)に含まれる銘柄です。ただし、2015年以降は株価が低迷しています。
出典:Investing.com
電力事業
Manila Electric Company (Meralco)
Manila Electric Companyは、フィリピン最大の電力供給会社です。創業は1895年と歴史のある会社です。
フィリピンの首都であるマニラを中心に36市、630万人の顧客に対して電力を供給しています。
Manila Electric Companyもフィリピン総合指数に含まれる銘柄で、持株会社であるJG Summit Holdings, Incに次いで時価総額が大きな企業です。
株価は2008年頃に急激に上昇しましたが、ここ10年ほどは大きな変動はありません。
出典:Investing.com
Global Business Power Corporation
Global Business Power Corporationは、フィリピンの中部地域とミンドロ島で発電事業を展開しています。発電所を11箇所保有しており、最大発電量は854MWです。
四国電力の火力発電所4箇所で約3,700MWの発電量ですから、規模としてはまだ大きくありません。ただし、フィリピンは人口が急激に増加している国ですから、電力の需要は今後増えていくでしょう。
金融業
Robinsons Bank (Rbank)
Robinsons Bankは、商業銀行で非上場の企業です。2019年時点で168支店を有しています。国内での地位はそこまで高くありませんが、急速に事業を拡大している会社です。
石油化学事業
JG Summit Petrochemicals Group (JGSPG)
JG Summit Petrochemical Corporation (JGSPC)とJG Summit Olefins Corporation (JGSOC)で構成されるグループです。こちらも非上場の企業です。
石油製品やプラスチック製品などの製造をしています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ゴコンウェイ財閥に関連する企業が、幅広い分野で事業を展開していることをご理解いただけたと思います。
また、フィリピン総合指数(PSEi)に含まれる企業もたくさんあります。日本の証券会社でも購入できる銘柄がありますので、投資対象の1つに加えてみてはいかがでしょうか。
以上、ご参考になれば幸いです。