「米国以外の高配当株へも投資したくありませんか?」
高配当株投資をされている方の多くは、主に米国の個別株や米国高配当株ETFへ投資しているはずです。しかし、世界には米国だけでなく様々な国があります。
以前、下記記事で米国以外へ投資可能な高配当株ETFについてご紹介しました。
しかし、ご紹介したETFは基本的に日本の証券会社で購入することができません。
それでは、日本の証券会社で購入可能で、なおかつ米国以外を投資対象にする高配当株ETFはあるのでしょうか?
本記事では、そんなニーズを満たす「ウィズダムツリー新興国株高配当ファンド(DEM)」についてご紹介します。
ウィズダムツリー新興国株高配当ファンド(DEM)とは?
「ウィズダムツリー新興国株高配当(DEM)」は、新興国の高配当株約380銘柄を投資対象にするETFです。2007年から運用されており、10年以上の運用実績があります。
DEMは大手ネット証券のSBI証券や楽天証券で購入が可能です。ただし、信託報酬は0.63%/年と高めです。米国高配当株ETFであるSPYD、VYM、HDVは0.06〜0.08%/年ですから、10倍近い手数料を支払う必要があります。
ウィズダムツリー新興国株高配当(DEM)の特徴
- 新興国の高配当株約380銘柄へ分散投資
- 信託報酬は0.63%/年と高め
- 2021年3月時点で約3%の配当利回り
- 過去のデータからは株価の上昇及び配当の増配は見込めない
投資銘柄
まずは、DEMの投資銘柄について確認していきましょう。
下表に投資割合の高いトップ10の銘柄を示します。投資割合のトップはブラジルの資源開発企業で、鉄鉱石やニッケルなどの生産や販売をしています。2位はロシアの銀行、3位は中国の携帯会社です。
No. | 銘柄 | 国 | 割合 |
---|---|---|---|
1 | Vale SA | ブラジル | 6.50% |
2 | Sberbank of Russia | ロシア | 5.71% |
3 | China Mobile Ltd | 中国 | 3.67% |
4 | MMC Norilsk Nickel PJSC-ADR | ロシア | 3.61% |
5 | Hon Hai Precision Industry Co | 台湾 | 3.48% |
6 | China Construction Bank Corp H | 中国 | 3.06% |
7 | Industrial & Commercial Bank of China-H | 中国 | 2.38% |
8 | Rosneft Oil Co | ロシア | 1.48% |
9 | Formosa Plastics Corp | 台湾 | 1.33% |
10 | Tatneft PAO | ロシア | 1.24% |
注:2020年12月末時点のデータ
投資国
次に国別の投資割合を示します。台湾、香港、中国など東アジアの割合が高いですが、ロシア、ブラジル、インドなどの地域も含まれています。
国 | 割合 | |
---|---|---|
1 | 台湾 | 25.41% |
2 | 中国 | 16.91% |
3 | ロシア | 14.52% |
4 | ブラジル | 9.43% |
5 | 香港 | 8.62% |
6 | インド | 5.16% |
7 | 韓国 | 4.39% |
8 | インドネシア | 3.72% |
9 | 南アフリカ | 3.71% |
10 | タイ | 2.49% |
注:2020年12月末時点のデータ
割合は少ないですが、インドネシアやタイなども含まれており、世界中の新興国へ投資可能です。
投資セクター
DEMが投資するセクター別の割合を下表にまとめます。
割合が最も高いのは金融で1/4以上を占めます。投資対象が新興国だけあって、素材の割合が20%以上と高いのが特徴的です。
No. | セクター | 割合 |
---|---|---|
1 | 金融 | 26.73% |
2 | 素材 | 20.25% |
3 | 情報技術 | 12.87% |
4 | 通信サービス | 9.83% |
5 | 不動産 | 6.66% |
6 | 公共事業 | 6.41% |
7 | エネルギー | 5.26% |
8 | 生活必需品 | 4.81% |
9 | 資本財 | 3.96% |
10 | 一般消費財 | 2.97% |
注:2020年12月末時点のデータ
株価推移
DEMの設定以来の株価推移を示します。残念ながら、過去の推移からは株価の上昇は見込めません。2021年時点の株価は設定時よりも低くなっています。
配当金の推移
次に配当金の推移を確認していきましょう。
下図は2009年以降の年間配当金の推移をまとめたものです。年間配当金は、増配と減配を繰り返しています。右肩上がりの増配は期待できそうにありません。
また、下表には四半期ごとの配当金を示します。
高配当株投資では、安定的に配当を受け取ることが大事です。しかし、DEMの場合は前年度よりも20%近く減配した年がいくつもあります。
DEMは投資対象としてどうか?
結論としては、DEMは積極的に購入をおすすめできる商品ではありません。
上述の通り、過去の株価推移から、株価の上昇はほとんど期待できません。また、配当金も増配と減配を繰り返しており安定感がありません。
株価の値上り益も配当の増配も期待できる米国高配当株ETFのパフォーマンスと比較すると、DEMは見劣りします。加えて信託報酬が高いことも難点です。
長期で保有して配当をもらい続ける商品としては難しいと言わざるを得ません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事ではSBI証券や楽天証券で購入可能で、新興国の高配当株へ投資する「ウィズダムツリー新興国株高配当ファンド(DEM)」をご紹介しました。
残念ながら、過去のパフォーマンスはイマイチで、現時点で投資対象にはなりそうにありません。しかし、今後のパフォーマンスがどうなるかは誰にも分かりません。アメリカへの集中投資を避ける意味でも、DEMの今後のパフォーマンスを注視していく必要はあるでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。