令和5年の税制改正大綱により、2024年より新NISAが開始されることになりました。その結果、現行NISAで投資ができるのは今年(2023年)までです。
そこで問題になるのが、2023年に現行NISAを利用すべきかどうかという点です。そして利用するなら「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらを利用すればよいのでしょうか?
本記事ではこの問いに対する高校中退投資家TOSHIの考えをご紹介していきます。2023年も引き続き一般NISAを活用していきます。
高校中退投資家TOSHIの実績
- 投資歴約7年のサラリーマン投資家
- 2017年より一般NISAを活用して投資を継続
- NISAでは主に米国高配当株ETFを保有
- 2022年の年間配当金は70万円以上
なぜ一般NISAを活用するのか?
令和5年の税制改正大綱によりNISA制度は以下の通り変更されることになりました。
現行NISA | 新NISA | |||
---|---|---|---|---|
一般NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
投資枠 | 120万円/年 | 40万円/年 | 240万円/年 | 120万円/年 |
非課税期間 | 5年間 | 20年 | 無期限 | |
最大利用可能額 | 600万円 | 800万円 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
その他 | 新規投資は2023年で終了 | 2024年より開始 |
非課税期間が無期限化され、投資枠も大幅に拡充されました。
そして、注目すべきなのは現行NISAと新NISAが全く別のものとして扱われることです。
つまり、現行NISAを2023年に利用したとしても、新NISAの非課税枠へ影響を与えません。
このことから、2023年も現行NISAを活用して利用できる非課税枠をなるべく多く確保すべきでしょう。
投資資金に余裕があるのなら現行NISAを活用すべきです。
「一般NISA」と「つみたてNISA」はどちらを使うべきか?
次に問題になるのが「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらを選ぶかと言う点です。
「一般NISA」は非課税期間が5年しかないため、非課税期間が長いつみたてNISAを押す声が多いです。
しかし、高校中退投資家TOSHIは迷わず「一般NISA」を活用することに決めました。以下ではその理由を解説していきます。
2023年も「一般NISA」を活用する理由
- 分配金を増やしたいため
- 将来どれだけの投資資金を確保できるか分からないから
- 売却して新NISAで買い直せばよいから
分配金を増やしたいから
「一般NISA」であれば配当金や分配金を受け取れる株式への投資が可能だからです。
高校中退投資家は老後資金の確保を目的にVT(バンガード・トータル・ワールドストックETF)という銘柄を2,000万円以上保有しています。
したがって、これ以上資産を増やすことに注力する必要はなく、今の生活を良くするためにキャッシュ・フロー(分配金/配当金の受け取り)の強化に重点を置いています。
そのため、ここ最近は「一般NISA」を活用して高配当でなおかつ増配が期待できる米国高配当株ETF(VYM、HDV、SPYD)を中心に購入してきました。
「つみたてNISA」ではこういった銘柄は購入できませんから、私には「一般NISA」の活用のほうが合っています。
将来どれだけの投資資金を確保できるか分からないから
将来どれだけの投資資金を確保できるか分からないという理由もあります。
もしかしたら政権が変わってしまい、やっぱりNISAの恒久化は辞めたなんてこともあり得るかもしれません。
そうなった場合、現行NISAで投資をしていなかったら後悔するでしょう。
また、私はもう少しでセミリタイア生活へ突入することを検討しています。
会社からの給料がなくなるわけですから、2024年からの新NISAの非課税枠を埋めるだけの投資資金を確保できるか分かりません。
一方で、逆もあり得ると考えます。将来何かしらの稼ぐ手段を獲得し、ある程度の投資資金を確保できるかもしれません。
「現行NISAを活用してできるだけ非課税枠を確保しておいた方がお得だった」という可能性もゼロではないのです。
売却して新NISAで買い直せばよいから
一般NISAは5年しか非課税期間がないので、5年後に暴落することを恐れる人もいます。しかし、これも特に大きな問題だと考えていません。
新NISAの成長投資枠は年間240万円まで投資ができます。
成長投資枠は合計で1,200万円が生涯投資枠として設定されていますから、この枠を埋めるまでに最低5年、つまり2028年までかかります。
一方で、2023年に活用した一般NISAは2027年までの5年間が非課税期間です。つまり、新NISAの生涯投資枠を使い果たす前に一般NISAの非課税期間が終了するのです。
そのため、状況に応じて以下の対応を考えています。
ケース1:新NISAを埋めるだけの資金を確保できない場合
将来的に新NISAを埋めるだけの投資資金を確保できないことが判明したら、どこかのタイミングで現行NISAで投資した分を売却してすぐに新NISAの枠で買い直します。
こうすれば現行NISAで投資している株を新NISAへほぼ同額で移すことができます。
特に暴落のタイミングで実行できれば非課税枠の節約になるのでなおよいでしょう。
ケース2:新NISAの投資資金が確保でき、また一般NISAで値上り益が期待できる場合
幸いにも新NISAを埋めるだけの投資資金を確保でき、かつ5年後の相場環境が良い場合です。
この場合は「一般NISA」で購入した株式はそのまま保有し続けます。非課税期間が終了する2027年にはNISA口座から特定口座へと移されます。
例えば、2023年に120万円分を購入しており、2027年に200万円まで値上がりしてた場合を考えてみましょう。
値上がり益:200万円ー120万円=80万円
税金:80万円×20.315%=16.252万円
上記の場合、約16万円も税金を払わずに済みます。
新NISAを埋めるだけの投資資金があるのなら、特定口座へ移動させて値上り益を非課税にしたほうがよいでしょう。
ケース3:新NISAを埋めるだけの資金が確保でき、かつ一般NISAの株価が下がっている場合
逆に運悪く一般NISAで購入した120万円分の株が値下がりしていた場合はどうでしょうか?
この場合は非課税期間が終了する2027年末までに一旦売却して新NISAで買い直します。こうすれば一般NISAから新NISAへと株式を移動できます。
そして本来新NISAで使う予定であった投資資金は特定口座で投資するか待機資金にします。
一見何も得をしていないように感じるかもしれません。
しかし、2023年~2027年の間に配当金を受け取り続けており、これらにかかる税金は免除されています。
したがって、決して損はしていないのです。
まとめ
高校中退投資家は2023年も「一般NISA」を活用して米国高配当株ETFを購入します。
なぜなら、本記事でご紹介したように一般NISAの非課税期間が終了する2027年末までにいくらでも対策が取れるからです。ですから、私のように配当金を増やしたいとお考えの方は「一般NISA」を活用しても問題ないでしょう。
老後資金の確保がまだの方はもっとシンプルです。2023年はつみたてNISAを選択して20年間放置すればよいでしょう。
将来のことは誰にも分かりません。今お得に使える制度は徹底的に使っていきましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。