これから投資を始める方にとって最初のステップは、証券会社での口座開設です。
最近では、手数料の安いネット証券で口座を開設するのが一般的になりつつあります。その中でも特に人気があるのが、ネット証券大手である『SBI証券』と『楽天証券』です。
どちらの証券会社も素晴らしいサービスを提供しておりますので、どちらを選んでもそこまで大差はないでしょう。
しかし、これから投資を始める方にとっては、
「どちらの証券会社へ口座を開設したらよいだろうか?」
「証券会社選びに失敗して後悔したくない」
このようにお考えの方も多数いらっしゃると思います。
本記事では、SBI証券と楽天証券の両方の口座を持つ私が、どちらの証券会社がおすすめか理由とともに解説いたします。
・現時点で米国株の購入予定がないなら、楽天証券で決まり。
・後々米国株やその他海外投資がしたくなったら、その時にSBI証券の口座開設も検討しよう。
SBI証券と楽天証券の基本情報
まずは、2つの証券会社の基本情報を確認したいと思います。
下表に示す通り、基本的なサービス内容に違いはほとんどありません。国内株式の手数料は50万円以下なら無料ですし、米国株式の取扱手数料も0.45%と同じです。
SBI証券 | 楽天証券 | |
---|---|---|
国内株式取引手数料(50万円以下) | 無料 | 無料 |
無料ETF銘柄数(国内) | 103銘柄 | 103銘柄 |
米国株式取引手数料 | 約定代金の0.45% | 約定代金の0.45% |
無料ETF銘柄数(米国) | 9銘柄 | 9銘柄 |
投資信託取扱本数 | 2,690本 | 2,694本 |
注:SBI証券は2020年8月19日、楽天証券は2020年8月24日時点の数値。国内取引手数料はSBI証券は「アクティブプラン」、楽天証券は「いちにち定額コース」を選択した場合。
各証券会社の特徴
しかし、サービス内容を詳細に確認していくと、SBI証券と楽天証券の違いが見えてきます。ここでは、各証券会社の特徴、口座開設のメリットについて解説していきます。
楽天証券の特徴
1. ポイントが貯めやすい
楽天証券の方がポイントを貯めやすいというメリットがあります。
投資信託の保有残高などに応じて、SBI証券ではTポイントが、楽天証券では楽天ポイントを貯めることができます。
楽天証券では投資信託の残高10万円ごとに、毎月4ポイントの楽天ポイントを貯めることができます。
SBI証券は投資残高に応じて年率0.1%のポイントを付与する投資信託もあるため、投資信託の種類によっては、SBI証券の方がポイントが貯まる可能性があります。
しかし、信託報酬の安い優良投資信託を購入する場合は、SBI証券のポイント付与率は極端に下がり、年率0.03%以下になってしまいます。このポイント付与率は、残高10万円で毎月2.5ポイントに相当しますので、楽天証券の方がポイントを貯めやすいのです。
また、楽天ポイントは、楽天でんきや楽天モバイルの支払いにも利用可能です。ポイントの使い道が多数あるのも楽天ポイントの魅力です。
詳細は下記記事をご覧ください。
2. 楽天カードで投資ができる
楽天カードで投資信託の積立ができるサービスがお得です。
このサービスを使うと、毎月5万円まで楽天カードで投資信託を購入することができます。
楽天カードのポイント付与率は1.0%ですから、「毎月500ポイント」をもらうことができます。投資をしながら「確実に1.0%のリターンがある」サービスは他にありませんから、非常にお得です。
実は2020年8月現在、SBI証券も三井住友カードと提携して同様のサービスを企画しています。今後の動向次第では、SBI証券の方がお得なサービスを出してくる可能性もあります。
3. マネーブリッジの金利がよい
楽天証券と楽天銀行を連携(マネーブリッジ)させると、0.1%の優遇金利が適用することができます。
大手銀行の金利は0.001%程度と低金利ですので、楽天銀行の金利はその100倍になります。
なお、SBI証券も住信ネット銀行と連携(SBIハイブリッド預金)することによって、金利が0.01%と大手銀行の10倍になります。
しかし、楽天銀行のマネーブリッジはそのさらに10倍ですから、楽天銀行の方が圧倒的にお得であることが分かります。
SBI証券の特徴
1. 米国株式・ETF定期買付サービス
その名の通り、米国株や米国ETFを「毎週買付などの頻度」や「購入株数」を設定することで、自動で購入してくれるサービスです。
このサービスのおかげで、米国株や米国ETFを投資信託のように、手軽に積立購入ができます。
なお、楽天証券にはこのような定期買付のサービスはありません。したがって、毎回証券口座へログインして、そのつど購入指示を出す必要があります。
主に米国株や米国ETFへ投資することを決めている方は、SBI証券へ口座を開設して、この定期買付サービスを利用することをおすすめします。
2. 為替手数料が安い
SBI証券と連携することができる「住信ネット銀行」の為替コストが安いという特徴があります。
例えば、米国株を購入する場合、円をドルに交換する必要があります。この円からドルへ交換する際にかかる手数料を「為替コスト」と言いますが、この手数料が非常に安いのが住信ネット銀行です。
参考に住信ネット銀行と楽天銀行の為替コストを示します。
住信ネット銀行 | 楽天銀行 | |
---|---|---|
米ドル | 4銭 | 25銭 |
ユーロ | 13銭 | 25銭 |
英ポンド | 28銭 | 45銭 |
豪ドル | 25銭 | 45銭 |
NZドル | 25銭 | 45銭 |
出典:住信ネット銀行、楽天銀行HPより作成(2020年8月現在)
表から分かる通り、住信ネット銀行の米ドルの為替コストは、楽天銀行の1/6以下です。
しかも、外貨積立の設定をするとさらに安く、2銭まで為替コストを落とすことができます。外国株を購入するなら、SBI証券の口座開設にメリットがあります。
外貨積立については、下記記事でもご紹介しています。
3. 外国株の取り扱いが豊富
楽天証券は6カ国の海外株式が購入できますが、SBI証券は9カ国とより多くの国へ投資できるのが魅力です。
下記に各証券会社で購入できる外国株式の国を示します。
SBI証券(9カ国)
- 米国
- 中国
- 韓国
- ロシア
- ベトナム
- インドネシア
- シンガポール
- タイ
- マレーシア
楽天証券(6カ国)
- 米国
- 中国
- シンガポール
- タイ
- マレーシア
- インドネシア
SBI証券で投資できて、楽天証券で投資できない国は、韓国、ロシア、ベトナムです。この3カ国への投資を検討しているなら、SBI証券へ口座を開設する必要があります。
投資初心者の口座選定の考え方
SBI証券、楽天証券のそれぞれの特徴について説明してきましたが、私は、投資初心者には楽天証券を勧めます。
その理由を説明するために、「SBI証券」、「楽天証券」の特徴と口座開設のメリットを整理した表を示します。
SBI証券及び楽天証券の特徴
SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|
米国株式・ETF定期買付サービス | ポイントが貯めやすい |
為替手数料が安い | 楽天カード投資 |
外国株の取り扱いが豊富 | マネーブリッジが高金利 |
SBI証券の特徴を簡単にまとめると「海外投資に強い」ことです。
一方で、楽天証券は、ポイントが有利だったり楽天カードで投資ができたりと、「国内商品の購入が便利」という特徴があります。
投資初心者は、まずは「投資信託」や「国内株式」を購入する方がほとんどではないでしょうか。まさか、いきなり「韓国、ロシア、ベトナム」などのマニアックな国へ投資するとは思えません。
したがって、私のおすすめは、国内商品への投資環境のよい楽天証券をメインにすることです。
楽天証券で投資をスタートし、もし将来的に米国ETFや海外株に興味を持った場合は、楽天証券に加えてSBI証券への口座開設を検討するのがよいでしょう。
また、両方の口座を開設するのであれば、下記のような使い分けもできます。
楽天証券:国内株式と投資信託
SBI証券:米国ETF及び海外株
口座を開設するときの注意点
SBI証券で口座開設する場合は「住信ネット銀行」、楽天証券で口座開設する場合は「楽天銀行」を一緒に開設するようにしましょう。
今までご説明したメリットのほとんどが、これらのネット銀行と連携することで得られるメリットだからです。
これらのネット銀行は、銀行単体でも使い勝手がよいのでおすすめです。例えば、預金残高に応じて、振り込み手数料やATMご利用手数料が一部無料になったりします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
投資初心者の方であれば、まずは楽天証券と楽天銀行の口座開設をセットで行いましょう。
慣れてきて海外投資に興味を持ったら、SBI証券の口座開設を検討してもよいかもしれません。
なお、すでにSBI証券で口座開設していたとしても失敗ではありません。両者のサービスはほぼ互角ですので、実際のところはそこまで大差はありません。両証券会社ともに顧客の獲得争いをしていますので、今後もどんどんよいサービスを提供してくれると思います。
本記事は、あくまでも2020年8月時点での考察ですので、口座開設を検討されている方は、ご自身でも最新の情報をお確かめください。
以上ご参考になれば幸いです。