昨日の記事で配当金生活における医療保険や介護保険の保険料について考察しました。
社会保険の中には年金保険もあり、こちらも加入が義務付けられています。配当金生活者が年金保険にどの程度支払う必要があるのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。
年金保険の保険料は配当金生活を送る方でも約17,000円/月の確保が必要と考えます。保険料を免除するという手もありますが、将来受領できる年金額も変わってきますので、この記事で制度の概要について確認いただければ幸いです。
配当金生活における国民年金保険料の納付額
公的社会保険は医療保険、介護保険、年金保険の3つに分けることができます。昨日の記事で医療保険と介護保険の保険料について考察しました。本日は年金保険に焦点を絞り、どの程度の保険料の納付が必要か確認していきたいと思います。
年金保険の概要
年金制度は強制加入である公的年金と任意加入の私的年金に大別されます。
配当金生活者は投資をしていますので、わざわざ手数料の高い私的年金に加入する必要はないでしょう。ここでは、強制加入である公的年金のみに加入するものと想定します。
公的年金は2階立ての構成になっています。1階部分が国民年金で20歳から60歳未満の全ての人が加入します。2階部分は厚生年金保険で会社員等が加入します。
サラリーマンは厚生年金に加入していますが、自動的に1階部分の国民年金にも加入していることになります。そのため、サラリーマンが払う保険料の方が高いのですが、その分将来受け取る年金額も多くなります。
セミリタイアをすると2階部分の厚生年金から脱退して1階の国民年金のみになります。この国民年金の保険料が配当金生活者が支払う保険料です。
国民年金の保険料
国民年金の保険料は16,540円/月(2020年4月〜2021年3月)です。年間当たりに換算すると198,480円で、約20万円の支払いが必要です。
ただし、保険料は今後じわじわと上がっていくかもしれません。詳しい計算式は省きますが、保険料は物価変動率などを用いて毎年金額を計算し直しています。参考に過去5年の保険料率を示します。
保険料(円/月) | |
---|---|
2016年4月〜2017年3月 | 16,260 |
2017年4月〜2018年3月 | 16,490 |
2018年4月〜2019年3月 | 16,340 |
2019年4月〜2020年3月 | 16,410 |
2020年4月〜2021年3月 | 16,540 |
出典:日本年金機構ホームページ
保険料の前納による割引
一方で、保険料を前納することで割引になる制度があります。割引は納付方法によって変わりますが、2年前納であれば15,000円程度の割引になります。
6ヶ月前納 | 1年前納 | 2年前納 | ||
---|---|---|---|---|
口座振替 | 納付額 | 98,110円 | 194,320円 | 381,960円 |
割引額 | 1,130円 | 4,160円 | 15,840円 | |
割引率 | 1.13% | 2.10% | 3.98% | |
現金及びクレジットカード | 納付額 | 98,430円 | 194,160円 | 383,210円 |
割引額 | 810円 | 3,520円 | 14,590円 | |
割引率 | 0.82% | 1.78% | 3.67% |
出典:日本年金機構ホームページ
口座振替の方が割引額が大きいのですが、私はクレジットカード払いを推します。クレジットカードなら1%程度のポイントがつきますから、1ポイント1円と考えれば、クレジットカードが1番お得です。
ただ、割引額はたった数%ですから、投資に自信がある方でしたら前納よりも投資で増やした方がよいという考え方もあるかもしれません。
保険料の免除
失業などを理由に保険料の納付を一部または全額免除することも可能です。しかし、個人的には保険料の免除はお勧めしません。
理由としては、将来受給できる年金額が下がってしまうからです。
下表は免除期間と年金額への反映の割合を示したものです。例えば全額免除にすると、その期間は満額で支払った場合と比べて半分しか将来受給できなくなります。
申請免除 | 免除期間の年金額への反映 |
---|---|
全額免除 | 1/2 |
3/4免除 | 5/8 |
半額免除 | 3/4 |
1/4免除 | 7/8 |
例を挙げて説明したいと思います。令和2年度の老齢基礎年金額は満額で年間781,700円です。月にするとたった6.5万円です。例えば、40歳にセミリタイアして20年間免除したと仮定すると、下式の通り、586,275円(約4.9万円/月)しか受給できなくなります。
781,700円✖️(240月+240月✖️1/2)/480月=586,275円
月2万弱であれば全額免除にして株を購入した方がよいとの意見もあるかもしれません。しかし、セミリタイア時点で資産が十分あると言っても、この先何があるかわかりません。また、年金は国が運用しているものですから、受給額が減ったとしても制度自体は崩壊しないでしょう。
個人的には国民年金くらいはきちんと収めておいた方がよいと考えています。60歳になるギリギリの方ならまだしも30代、40代でセミリタイアされる方は将来のリスクを減らすためにも納付すべきです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
配当金生活でも約17,000円(約20万円/年)の保険料の納付が必要と理解しておいた方がよさそうです。
セミリタイア生活において17,000円/月の出費は少し大きいかもしれません。しかし、将来何があるか分かりませんから、国民年金の免除は最終手段と考えておいた方がよいでしょう。配当金だけで賄えない方は、健康のために月数万円のバイトをするのもよいのではないでしょうか。
以上ご参考になれば幸いです。
配当金生活の住民税についてはこちらを参照ください。
国民健康保険、公的介護保険はこちらを参照ください。