全世界の株式へ投資ができる銘柄にVT(バンガード・トータル・ワールドストックETF)があります。
著者はこのVTへの投資を中心に資産運用をしています。
VTを保有すれば手軽に世界各国へ分散投資ができます。
一方で、最近は日本株が好調なので、日本株の投資割合を増やしたいとお考えの方もいるかもしれません。
そこで本記事ではVTへ投資することで、どの程度の日本株を保有することになるのか解説していきます。
VTとは?
基本情報
VTは全世界の株式へ投資する米国ETF(上場投資信託)です。
VTは米国市場に上場する銘柄で、世界有数の資産運用会社であるバンガード社によって運用されています。
VTが連動を目指す指数は「FTSE Global All Cap Index」です。この指数は先進国、新興国を含む約50カ国で構成されています。
組入銘柄数は大型株だけでなく中小型株を含み、銘柄数は2024年6月時点でなんと1万銘柄を超えます。
したがって、VTへ投資すれば間接的に世界中の株式を保有することができます。
それにも関わらず経費率は0.07%/年と格安です。手軽に全世界の株式へ投資ができる優れた銘柄だと言えます。
株価推移
VTの株価推移は以下の通りです。
年によっては株価が下落する場合もありますが、基本的に株価は右肩上がりで上昇しています。
VTを長期で保有すればそれなりのリターンが得られる可能性が高いと言ってよいでしょう。
リターン
肝心のリターンですが、過去10年は非常に高いリターンが得られました。
VT:8.49%/年
VTI:12.10%/年
注:2024年6月30日時点
VTIは米国株式のみに投資する銘柄です。VTIと比較すれば確かにVTのリターンは見劣りします。
しかし、将来米国経済が低迷するようなことが起こると、VTの方が高いリターンになる可能性もあります。
全世界株式へ分散投資しながら年率8%以上ものリターンを得られるのであれば十分だと言えるでしょう。
VTにはどれくらい日本株が含まれるのか?
そんな全世界の株式へ投資できるVTですが、日本に住む我々が気になるのが日本株の割合です。
日本に住んでいれば日本株へ投資はしやすいですし、すでに高配当株や優待株など日本の個別株を保有されている方もいるでしょう。
そこで以下ではVTにどの程度の日本株が含まれているのか確認していきます。
VTの国別の構成比率
そもそもVTに占める日本株の割合はどの程度なのでしょうか?
答えは5.8%です。
順位 | 国 | 比率 |
---|---|---|
1 | 米国 | 62.9% |
2 | 日本 | 5.8% |
3 | イギリス | 3.6% |
4 | 中国 | 2.7% |
5 | カナダ | 2.6% |
6 | インド | 2.4% |
7 | フランス | 2.3% |
8 | スイス | 2.1% |
9 | 台湾 | 2.1% |
10 | オーストラリア | 1.8% |
出典:VTのFact Sheetより(2024年6月時点)
世界約50カ国の中で2番目に多い割合です。しかし、トップの米国は60%以上ですからそこと比較するとかなり少なく感じます。
日本の人口減少などを考えれば、世界における日本の地位はどんどん下がっていくでしょう。
そのため、日本株の割合が今後増えるとは考えにくく、全世界株に占める日本株の割合は5%程度しかないと考えておいた方がよさそうです。
具体的な日本企業は?
それではVTに含まれる日本株にはどのような銘柄があるのでしょうか?
2024年6月時点のVTには1,400銘柄以上もの日本企業が含まれています。
日本株の代表的な指数には日経平均やTOPIXがありますが、日経平均は225銘柄、TOPIXの2,137銘柄(2024年6月時点)です。
そう考えると思った以上に多くの日本株が含まれていると言えるでしょう。
以下にVTに含まれる日本株のトップ10企業をまとめました。
順位 | 銘柄 | 構成比 |
---|---|---|
1 | トヨタ自動車 | 0.29% |
2 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 0.14% |
3 | ソニーグループ | 0.12% |
4 | 日立 | 0.12% |
5 | 東京エレクトロン | 0.11% |
6 | キーエンス | 0.10% |
7 | 三井住友フィナンシャルグループ | 0.10% |
8 | リクルートホールディングス | 0.09% |
9 | 信越化学工業 | 0.09% |
10 | 三菱商事 | 0.09% |
出典:VangardのHPより(2024年6月末時点)
トヨタ、三菱UFJなどの日本のトップ企業が上位に組み入れられています。
ただし、トップのトヨタでも0.3%程度の投資割合でしかありません。それもそのはずで、日本全体の割合が5%程度しかないためです。
このようにVTには5%程度の日本株しか含まれていませんが、銘柄数は1,400銘柄以上とそれなりの企業が組み入られています。
日本株の割合をどう考えるか?
VTに含まれる日本株の割合や銘柄をどのように考えるべきでしょうか?
日本株の割合をもっと多くしたいという方もいるでしょうし、これで十分と考える方もいるかもしれません。
以下では仮に日本株の割合を高めたいと考えた場合の選択肢について考えてみます。
高配当株や優待株
日本の個別株を組み入れるという選択肢です。
VTには1,400銘柄以上もの日本株が含まれていますから、分散としては十分とも言えます。
すでに高配当株投資をしていたり、優待目当てで個別株を保有しているのであれば、その比率を上げるのも1つの手です。
海外の株式と比較して日本の個別株は情報も手に入れやすく投資しやすいというメリットがあります。
また、配当控除などの税制優遇もありますし、個別株はリスクが高いものの大きく儲けられる可能性もあります。
TOPIX連動型の銘柄
もう1つの選択肢になるのが日本全体の株式(TOPIX)へ投資するというものです。
TOPIX(東証株価指数)は日本の株式市場に上場する2,000銘柄以上へ投資が可能です。
したがって、VTの投資対象ではない銘柄も多数含んでいます。
より分散投資を好むのであれば、TOPIX連動型の銘柄を購入して日本株の割合を増やせばよいでしょう。
投資信託が最も手軽
本記事では全世界株式へ投資する銘柄として米国ETFのVTをご紹介しました。
しかし、最近ではわざわざ米国市場に上場する銘柄を購入しなくても、投資信託を購入することで全世界株への投資が可能です。
その1つがオルカンと呼ばれる「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。
本銘柄の信託報酬は0.05775%とVTよりも低くなります。
一方で、日本株の銘柄数は220銘柄程度(2024年4月末時点)とVTを大きく下回ります。
それでも主要な日本株は含んでいますので、そこまで気にする必要はないでしょう。
まとめ
本記事ではVTという全世界株式へ投資する銘柄の日本株の割合や銘柄についてご紹介しました。
VTに含まれる日本株の銘柄数は多いものの、投資割合はかなり低いのが現状です。
もし日本株の割合を増やしたいのであれば、TOPIX連動型の銘柄や高配当株などの個別株へ追加投資するのも面白いでしょう。
VTだけでも十分に分散投資できていますので、あとは自分の好みに応じて投資割合を調節していけばよいのです。
以上、ご参考になれば幸いです。