2024年1月に東証へ上場したiシェアーズ米国連続増配株ETF(銘柄コード:2014)をご存知でしょうか?
本銘柄は米国に上場するDGROという米国ETFの東証版になりますが、一部の投資家の間で大きな注目を集めています。
本記事ではこの2014が投資対象としてどれだけ魅力的なのか他銘柄のパフォーマンスとも比較しながら解説していきます。
DGROとは?
2014の投資対象指数はMorningstar米国配当成長株式指数です。
2014は2024年1月に上場したばかりの銘柄であるため、過去の運用実績を確認することはできません。
しかし、同じ指数を対象にする銘柄に米国ETFのDGROがあります。
こちらの銘柄は2014年から運用されていますから、まずはDGROの概要についてご紹介していきます。
DGROの基本情報
DGROは米国の増配企業へ投資するETFです。
DGROの投資基準は以下の通りです。
- 5年連続で増配
- 配当性向75%以下
- 配当利回り上位10%を除く
配当性向とは1株当たりの配当額を1株当たり当期純利益で割ったものです。
仮に配当性向100%なら当期純利益の全てを配当に回していることになります。DGROでは配当性向が75%以下の基準を設けていることから、無理に配当を出している銘柄は除外されます。
また、配当利回り(配当金÷株価)の上位10%の銘柄は含めない方針です。
したがって、DGROを購入すれば、5年以上連続で増配しており、今後も増配していく余力のある銘柄へ投資することが可能です。
上位銘柄
DGROの上位10銘柄を下表に示します。
順位 | 銘柄 | 比率 |
---|---|---|
1 | BROADCOM INC | 3.14% |
2 | MICROSOFT CORP | 3.14% |
3 | JPMORGAN CHASE & CO | 2.99% |
4 | ABBVIE INC | 2.90% |
5 | EXXON MOBIL CORP | 2.84% |
6 | CHEVRON CORP | 2.69% |
7 | JOHNSON & JOHNSON | 2.66% |
8 | APPLE INC | 2.64% |
9 | PROCTER & GAMBLE | 2.23% |
10 | HOME DEPOT INC | 2.15% |
注:2024年2月8日時点の情報を基に作成
DGROの保有銘柄数は合計420銘柄になりますが、上位10銘柄で30%弱の割合を占めます。
上位銘柄の多くは一度は聞いたことがある有名企業でしょう。
セクター
次にセクター別の投資割合を下表に示します。
No. | セクター | 割合 |
---|---|---|
1 | 金融 | 18.20% |
2 | 情報技術 | 17.87% |
3 | ヘルスケア | 17.42% |
4 | 資本財 | 12.03% |
5 | 生活必需品 | 10.60% |
6 | エネルギー | 7.21% |
7 | 一般消費財 | 6.35% |
8 | 公共事業 | 6.01% |
9 | 素材 | 2.48% |
10 | 通信サービス | 1.41% |
注:2024年2月8日時点の情報を基に作成
金融、情報技術、ヘルスケアがそれぞれ18%程度と高い割合です。
また、4位の資本財と5位の生活必需品も10%を超えています。
5位までのセクターで10%を超えていますので、比較的セクターのバランスが取れた銘柄だと言えるでしょう。
過去の配当推移
DGROの年間分配金の推移を下図に示します。
2014年の上場以降一度も減配した年はありません。また、2015年からは綺麗な右肩上がりで増配していることが分かります。
次に四半期ごとの配当金推移を下表に示します。
2020年のコロナショックの時期でも減配はなく、年間分配金で10%以上と高い増配だったことには驚きです。
DGROとその他銘柄の比較
上述の通り、DGROは高い増配率があることをご紹介してきました。
一方で、同じ増配銘柄として有名なのがVIGです。また、米国高配当株ETFとして有名なVYMも13年連続で増配した実績があります。
これらの銘柄との比較では、配当だけでなく株価の上昇(値上がり益)も含めたトータルリターンで考える必要があるでしょう。
そこで以下ではDGRO、VIG、VYMの3銘柄のパフォーマンスを比較していきます。
基本情報の比較
DGRO、VIG、VYMの基本情報を下表に示します。
DGRO | VIG | VYM | |
---|---|---|---|
株価 | 53.82ドル | 170.40ドル | 111.63ドル |
銘柄数 | 420 | 315 | 449 |
経費率 | 0.08% | 0.06% | 0.06% |
分配金利回り | 2.45% | 1.88% | 3.12% |
注:2023年12月末時点の情報を基に作成。
どの銘柄も300〜400銘柄程度と広く分散されています。また、経費率も0.1%/年以下とどれも非常に安くなっています。
分配金利回りではVIGが2%以下で一番低く、次にDGROが2.5%程度、VYMが最も高く3%程度になります。
VIGは同じ増配系ですが、投資対象が10年以上増配している企業などDGROよりも厳しい基準で設定されています。
VYMは配当利回りが高い銘柄を投資対象にしていますので、当然ながら最も高い配当利回りになります。
株価上昇
次に3銘柄の株価推移を下図に示します。
青色のDGROと黄色のVIGの株価上昇がVYMを圧倒していることが分かります。
やはり株価上昇に関しては増配系の2銘柄の方に優位性があります。
増配率
VIGは10年連続、VYMも13年連続で年間分配金が増加しています。
DGROが上場した2014年以降で考えると3銘柄全てで年間分配金は増配し続けています。
一方で、年間分配金がどれほど増えているのか、つまり増配率も重要な指標になるでしょう。
以下には3銘柄の2015年~2023年の増配率を示します。
DGRO:9.51%/年
VIG:7.35%/年
VYM:6.20%/年
この期間の増配率に限っていえばDGROが9.51%/年と最も高い増配率を示しています。
みなさんのお給料が毎年10%近くも昇給することは稀でしょうから、その高さが分かります。
もちろん、VIGの7.35%/年、VYMの6.20%/年も非常に高い数字です。しかし、この期間に限って言えばDGROが頭ひとつ抜けています。
トータルリターン
次に株価上昇と配当金の両方を含むトータルリターンを以下に示します。
DGRO:11.82%/年
VIG:12.74%/年
VYM:9.80%/年
注:2024年1月末時点での5年リターン
DGROの運用期間は10年未満であるため、5年リターンで比較しています。
5年と短い期間の結果ではありますが、VIGとDGROのリターンが高く、VYMは若干劣ることが分かります。
こう考えるとVYMは増配率でもトータルリターンでも劣っているので、利点は高い配当利回りのみになります。
東証で2014(iシェアーズ米国連続増配株ETF)が上場
そんな魅力的なDGROですがSBI証券や楽天証券などでは購入できないのが難点でした。
しかし、2024年1月にDGROの東証版が上場しました。それが「iシェアーズ米国連続増配株ETF」(銘柄コード:2014)」です。
そんな2014の特徴は以下の通りです。
- 経費率が格安
- 株価が安い
- 二重課税調整制度の対象
経費率が格安
経費率は0.11%(税込:0.121%)と非常に安く投資ができます。
本家DGROの経費率は0.08%ですから、同水準の経費率で日本からも投資ができるようになりました。
また、米国ETFであればドルに一旦変えてから投資が必要ですが、2014なら円で直接やり取りできるのも魅力です。
この点を考慮すれば、0.121%程度の経費率は十分安いと言えるでしょう。
株価が安い
また、株価が安く手軽に購入できることも魅力です。
2014は10口単位で取引することになります。しかし、株価は約200円/口と安いため、最低投資必要額は約2,000円と低くなります。
毎週購入しても月の投資額は1万円弱ですから手軽に購入できます。
二重課税調整制度の対象
加えて二重課税調整制度の対象である点も魅力です。
通常米国株の配当金には10%の現地課税が課されてから、日本の税金である約20%が課されます。
したがって、米国株の配当金では30%近くも税金が引かれてしまいます。
この二重課税を是正するためには確定申告が必要になります。
しかし、2014であればその調整を自動で対応してくれます。特定口座で保有していれば、何もすることなく税金が調整された配当金を受け取ることができます。
このように本家DGROを購入するよりも手間がかからないのが2014の魅力です。
2014は投資対象として面白い
結論として2014は投資対象として魅力的な銘柄になるでしょう。
高配当株ETFと比較して高いトータルリターンがあり、配当利回りも2.5%程度とそれなりにあります。
一方で、VIGはトータルリターンは高いものの配当利回りは1%台と物足りません。
高配当株ETFであるVYMは配当利回りは一番高いのですが、その分株価の上昇が弱くトータルリターンでは劣ってしまいます。
VYMのような高配当株ETFへの投資は魅力的ですが、特にある程度の投資期間を確保できる方にはおすすめしにくい部分がありました。
その点、2014なら株価の上昇も増配率も高く、そしてVIGより高い配当利回りがあります。
配当金を受け取ってみたい若い方にも十分おすすめできる銘柄です。
まとめ
本記事では2024年1月に上場した東証版DGROの魅力についてご紹介しました。
DGROは同じ増配系であるVIGに負けないトータルリターンを誇り、かつ配当利回りも高い銘柄です。
2015年~2023年の増配率ではVIGよりも高く10%近くもあります。
ある程度の投資期間を確保できる方であれば、保有しているだけでもどんどん分配金を増やしていくことができます。
若い方など投資期間が十分確保できる方にもおすすめできる銘柄でしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。