どれくらいの資産を貯めればセミリタイアできるでしょうか?
セミリタイアを夢見る方にとっては大きなテーマではないでしょうか。本記事ではアメリカで有名な「4%ルール」をもとにセミリタイアに必要な資産について考察していきます。
もちろんその人の置かれている状況によって、セミリタイアに必要な資産は変わりますが、高校中退投資家のような単身者であれば約4,000万円の資産がセミリタイア達成の目安になるでしょう!
「4%ルール」とは?
セミリタイアに必要な資産を検討する際に参考になるのが「4%ルール」です。
「4%ルール」は、リタイア時の投資資産の4%を毎年取り崩しても、30年後に資産がなくならないというものです。例えば、リタイア時の投資資産が3,000万円であるならば、毎年120万円の取り崩しが可能です。また、毎年のインフレを考慮して取り崩す金額を増やしたとしても安全だというのです。
このルールは1994年のアメリカ人のWilliam Bengenという方の研究結果がベースになっています。アメリカ人の老後の資産の取り崩しを想定して、30年間でシュミレーションしています。
インフレなどの諸条件は日本と異なりますので全てを鵜呑みにはできません。しかし、この「4%ルール」はセミリタイアに必要な資産を検討する際の1つの目安になるでしょう。
セミリタイアに必要な資金は?
それでは、「4%ルール」を適用した場合のセミリタイアに必要な資産について計算してみましょう。
下表は月の生活費と必要資産をまとめたものです。月10万円で生活できる方であれば、3,000万円の資産で30年間働かなくても生活できることになります。一方で、月20万円の生活費が必要なら6,000万円の資産が必要です。
生活費(円/月) | 生活費(円/年) | 必要資金(円) |
---|---|---|
10万 | 120万 | 3,000万 |
11万 | 132万 | 3,300万 |
12万 | 144万 | 3,600万 |
13万 | 156万 | 3,900万 |
14万 | 168万 | 4,200万 |
15万 | 180万 | 4,500万 |
16万 | 192万 | 4,800万 |
17万 | 204万 | 5,100万 |
18万 | 216万 | 5,400万 |
19万 | 228万 | 5,700万 |
20万 | 240万 | 6,000万 |
高校中退投資家は月13万円程度で生活していますから、このルールに従えば約4,000万円の資産でセミリタイアできることになります。
この表から分かる通り、月1万円の生活費が上がるごとに、必要資金が300万円増えていきます。セミリタイアを少ない資産で実現するためには、生活費を落とすことが必須です。
「4%ルール」の前提条件
William Bengenの研究ではいくつかの条件を設定してシュミレーションしています。注意すべき点について確認していきましょう。
安全資産は別に必要
まず上記の金額は投資資金であることに注意が必要です。
投資100%で安全資産(現金)が0円では生活できませんので、当然ながら別途安全資産を確保しておく必要があります。皆さんの置かれた状況によって安全資産の必要額は変わりますが、最低でも数百万円は必要でしょう。
投資が必要
そもそもの話ですが、投資をしなければいけません。William Bengenのシュミレーションでは、基本的には株式50%、債券50%を想定しています。具体的には、株式はS&P500というアメリカの優良企業を集めた指数へ、債券は米国債への投資を前提としています。
したがって、貯金が必要額に達したとしてもこのルールを適用できるわけではありません。必ず投資が必要です。
投資条件によって結果は変わる
債券の投資対象を米国債ではなく社債に変更した場合、4%ルールを適用できなかったとの報告もあります。また、株式の投資対象に小型株を含めた場合は4.5%を取り崩すことができるとも報告されています。
何が言いたいかというと投資対象によって結果は変わるということです。
シュミレーションは過去の結果を前提にしています。未来のリターンは誰にもわかりませんので、少なくとも最低限の投資の知識は必要でしょう。米国債が利下げされている現在の状況を考えれば、株式の割合をもっと増やす必要があるかもしれません。
インフレを考慮
シュミレーションにはアメリカの過去のインフレが考慮されています。
インフレは物価が継続的に上昇する状態を表します。例えば、5%のインフレが起これば、昨年100円で購入できた商品が、今年は105円払わなければ購入できなくなります。結果として生活費も5%程度増えてしまうのが一般的です。
「4%ルール」のシュミレーションでは、このインフレを加味しても大丈夫だと述べています。例えば、1年目に3,000万円の4%の120万円を取り崩したとします。2年後に5%のインフレが起きたなら、2年目は126万円を取り崩しても大丈夫です。
配当金生活との違いは?
「4%ルール」では投資商品を売却していくことになりますが、別の方法として配当金だけで生活するという手段もあります。配当金生活に必要な資金は下記記事でご紹介しました。
私はVT(バンガード トータル ワールド ストックETF)やVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)といった配当金だけではなく株価の上昇も狙える商品に投資しています。そのため、VTでは約8,400万円、VYMでは約5,600万円の資金がセミリタイアに必要であり、セミリタイアに必要な投資額は「4%ルール」よりも高くなります。つまり、私のシュミレーションでは、配当金生活は「4%ルール」よりも安全側にゴールを設定していると言えます。
例えば、VTやVYMの配当金だけを使う生活を続けられれば、VTやVYMの株価上昇に従って資産は増え続けることになります。もちろん、一口に配当金生活と言っても、個別株へ投資している場合はかなり高いリスクをとっていますので、配当金生活の方が安全と断言できるわけではありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
セミリタイアを目指している方は「4%ルール」を1つの目安にしてみてはいかがでしょうか。また、老後に資産を取り崩していく際の参考になるのではないかと思います。
高校中退投資家は、この「4%ルール」に従うと、セミリタイアへのゴールがある程度近づいてきました。しかし、当面はより安全な配当金月10万円を目標にしていきたいと思います。
なお、本記事ではあえて「リタイア」ではなく「セミリタイア」という言葉を使用しました。研究結果は過去のシュミレーションであって、将来の保証は何もないからです。
月数万円でよいので何かしらの収入があればこの「4%ルール」はかなり再現性が高くなるはずです。最近はウーバーイーツのように手軽に小銭を稼ぐ手段が増えてきましたから、個人的には完全リタイアではなく「セミリタイア」を目指すのがよいのではないかと考えています。
以上ご参考になれば幸いです。