最近はFIRE(経済的自立と早期退職)という言葉が一般的に聞かれるようになりました。
FIREの中でも「サイドFIRE」は退職後も緩く働き続けることを想定しています。セミリタイアとも言われる生き方です。
サイドFIREであればリタイアに必要な資産が少なく済むため、一般的な収入の方でも十分目指すことができます。
みなさんの中にもこのサイドFIREを目指している方がいるかもしれません。
そういう方が悩むのが一体いくらの資産を貯めてから会社を辞めればよいのかという点です。
サイドFIREでは7,000万円の資産があれば、まず金銭面での失敗はないでしょう。
7000万円あればサイドFIREできるのか?
結論として7000万円の金融資産をお持ちであれば十分サイドFIREは可能です。
もちろん生活費は人によって大きく変わりますから、全ての人に当てはまるとは言いません。
しかし、多くの方にとって7,000万円という資産は十分すぎると言えます。
以下ではその理由を説明していきます。
一般的な生活費はどれくらいなのか?
人が生きていくためにはどの程度の生活費が必要なのでしょうか?
この回答を考える上で参考になるのが、総務省が実施している家計調査です。
2022年(令和4年)の調査結果は以下のとおりです。
独身の方であれば平均16万円/月程度で生活しています。そのため、ここが生活費の最低ラインになりそうです。
二人以上世帯であれば約30万円とそれなりの金額が必要です。子供がいる世帯ではこの程度の支出は仕方ないかもしれません。
資産額に応じて得られる資産所得
一方で、保有する資産から得られる資産所得はどのくらいになるのでしょうか?
こちらは投資の世界で有名な4%ルールが参考になるでしょう。
このルールは、リタイア時の運用資産の4%を毎年取り崩しても30年後に資産がなくならなかったという研究結果が基になっています。
将来のリターンがどうなるかは誰にも分かりませんが、4%の取り崩しは一つの目安になる数字でしょう。
下表は4%ルールを適用した場合の資産所得をまとめたものです。
運用資産 | 資産所得(年) | 資産所得(月) |
---|---|---|
4,000万 | 160万 | 13.3万 |
4,500万 | 180万 | 15万 |
5,000万 | 200万 | 16.7万 |
5,500万 | 220万 | 18.3万 |
6,000万 | 240万 | 20万 |
6,500万 | 260万 | 21.7万 |
7,000万 | 280万 | 23.3万 |
7,500万 | 300万 | 25万 |
8,000万 | 320万 | 26.7万 |
8,500万 | 340万 | 28.3万 |
9,000万 | 360万 | 30万 |
先にご紹介した単身世帯の生活費をカバーするためには5,000万円程度、二人以上世帯であれば8,500万円程度が必要になります。
サイドFIREは働き続ける
資産所得だけで全てを賄おうとすると、二人以上世帯の場合は7,000万円では足りません。
しかし、サイドFIREは会社を辞めた後も緩く働き続けることを前提にしています。多くはないかもしれませんが、労働からの収入もあるのです。
二人以上世帯の場合で考えると、7,000万円からの資産所得(23万円/月程度)に加えて、約70万円(月6万円)を労働から稼げばよいことになります。
どの程度仕事をしたいのかにもよりますが、月6万円程度であればなんとかなりそうな金額ではないでしょうか?
逆に単身世帯であれば、資産所得のみでも平均生活費を大きく上回ります。したがって、稼げば稼ぐほど良い生活ができます。
退職後に全く稼げない場合でも大丈夫!
サイドFIREの大きな問題の1つとして退職後の仕事が挙げられます。
手に職があったり、退職後もお勤めだった会社からお仕事がもらえるなどの条件が揃えば気にする必要はありません。
しかし、多くの方にとって退職後にどんな仕事をしてお金を稼ぐかは大きなテーマになるでしょう。
どうしても気になるのが、全く稼げなかった時に大丈夫なのかという点です。
そこで、ほぼ収入がゼロの場合も想定しておく必要があります。
単身世帯
単身世帯の平均的な生活費を使っている限りは、資産所得が生活費を上回る状態になります。
かなり余裕のある状態ですから、資産が増え続ける可能性が高いでしょう。
したがって、稼げなかったとしても全く問題ありません。
二人以上世帯
逆に二人以上世帯の平均生活費は7,000万円から得られる資産所得を上回ります。
そのため、年率4%で運用できたとしてもお金はどんどん減っていきます。
仮に7,000万円を4%で運用しながら月29万円を取りくずした場合はどうなるのでしょうか?
この場合、約40年後に資産はゼロになります。
逆に言えば、40歳でサイドFIREした場合でも80歳くらいまで生きられます。
65歳からは年金ももらえますので、80歳以上まで資産を長持ちさせられるでしょう。
生活費を少し落とすだけでよい
また、月29万円はそれなりに大きな金額です。お子さんの手が離れればそこまでの生活費はいらないかもしれません。
あるいは少しだけ節約をする、地方移住して家賃を下げるなどすれば月数万円程度は抑えられるはずです。
生活費を月29万円から26万円へ3万円落とした場合、計算上は54年以上資産がゼロになりません。40歳からのサイドFIREなら94歳まで生きられます。
このようなことを考えれば、資産はそう簡単にゼロにはなりません。
つまり、7,000万円あれば退職後に稼げないことを過度に恐れる必要はないのです。
準富裕層を超えたらサイドFIREを真剣に検討すればよい!
5,000万円の資産を達成したら真剣にサイドFIREするかどうか検討するのがよいでしょう。
金融資産5,000万円は野村総研の区分で「準富裕層」に該当します。
著者の経験からもこのレベルの資産になると急速に資産が増加していきます。
退職を会社へ告げても、普通は明日辞めますという話にはなりません。
有給の消化などもありますし、引き留めに合って社内の調整に時間がかかるかもしれません。
退職の話し合いや手続きをしている間も資産は増え続ける可能性が高いでしょう。
準富裕層へ到達してサイドFIREを検討し始めれば、結果的には今回お示しした資産7,000万円付近でリタイアすることも十分考えられます。
以上、ご参考になれば幸いです。