セミリタイアして海外移住したいお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日本での騒がしい生活から離れて海外で生活すれば、ストレスをあまり受けずに過ごすことができるかもしれません。
一方で、当然ながら海外移住はハードルが上がります。特に留学などではなくセミリタイアで海外移住するにはさまざまな問題が生じるのも事実です。
本記事では特に資産運用やお金の面を中心に海外移住の問題点について解説していきます。
セミリタイアして海外移住するという選択肢はありなのか?
皆さんの中には海外へ移住してのんびり生活したいとお考えの方もいるでしょう。
日本は治安がよく食べ物が美味しく素晴らしい国だという意見をよく聞きます。
一方で、仕事に対しては長時間の労働が求められるし、職場での人間関係も難しいものがあります。通勤電車を見れば仕事で疲弊しきっている会社員をよく見かけるものです。
こう言った状況に日々置かれていると海外での生活に憧れを抱くものです。
著者も若い頃に海外に長期滞在したことがありますが、日本とは違ったゆったりとした時間の流れを感じ、いつか海外に住んでみたいと考えています。
投資でセミリタイアを目指す人が増える?
2024年からNISA(少額投資非課税口座)が拡充されるなど、最近は日本でも投資の話題を聞くことが増えてきています。
このような制度を有効活用して一定の資産を貯めることができれば、セミリタイアが現実味を帯びてきます。
実際にコツコツ投資をして数千万レベルの資産を作り、セミリタイア生活を送る方も出てきています。
会社を辞めて自由な時間ができれば、住む場所を自由に選択することができます。そうなると海外移住の選択肢も出てくるのです。
SNSなどを見れば、多くの方がおすすめの移住先について発信しています。例えば、東南アジアのタイやマレーシアのような国です。
このような国々へ海外移住する際にどのような問題点があるのでしょうか。特に投資やお金の面でのデメリットについては十分理解しておく必要があるでしょう。
海外移住する際の問題点
金融資産を一旦売却する必要がある
セミリタイア資金をコツコツ投資で作ってきた方々は注意が必要です。
なぜなら、海外へ長期で出国する場合は日本の証券会社の口座は閉鎖する必要があるからです。
数年程度の海外移住であれば口座の維持が可能な証券会社もありますが、多くの取引が制限されてしまうため実質使い物になりません。
したがって、海外移住する際は保有する株式や債券などを一旦売却する必要が出てきます。そして、移住する国で利用可能な海外の証券会社へ資金を移すなどの対応が必要です。
また、2015年には「国外転出時課税制度」が創設されました。
この制度により国外転出の際に1億円以上の有価証券等を所有している場合は対象資産の含み益に課税されることになりました。資産を多く保有されている方は出国するだけで一旦税金を納める必要があるのです。
このように海外へ移住する場合は今までせっかく積み上げてきた金融資産を一旦整理する必要があるのです。
海外での年金暮らしはかなり厳しい
老後に受け取る年金をベースに海外で生活しようという考えは捨てた方がよいでしょう。
日本経済が圧倒的に強かった一昔前は他国と物価に大きな差があったため、海外で豪遊することができました。老後にもらう年金だけでも海外で優雅な暮らしをすることができたのです。
でも今は違います。途上国の物価はどんどん上がっており、日本との差は確実に縮まっています。
一方で、日本の財政悪化もあり、今後受け取る年金が増えていくことは考えにくいでしょう。
したがって、年金を頼りに海外で生活するのは厳しいと言わざるを得ません。
若い場合は老後の備えが必要
若くして海外移住するなら老後の備えは自分でしっかり準備する必要があります。
海外へ出国すると日本の国民年金は任意加入になります。つまり、海外にいる間も加入し続けるかどうかを自分で選ぶことになるのです。
任意加入の状態では所得が少ないことによる保険料免除制度を活用できません。つまり、保険料を払わなければその期間は年金額の算定の対象になりません。
日本の年金制度に不安を感じている方もいるでしょうが、日本が潰れない限り制度は残り続けるでしょう。
いつまで生きるか分からないですし、海外にずっといるかも分かりません。死ぬまでもらい続けることができる日本の年金はやはり老後の生活を考える上で重要なのです。
そのため、国民年金に加入し続けるのか、あるいは何か別の手段で老後資金を確保しておくのか、しっかりとした戦略が必要になります。
海外にいる間だけ金銭的にうまく乗り切ればよいというスタンスではダメなのです。
そもそも日本の方が安い
東京を除けば日本の方が海外より安いと言えます。
先にご紹介した通り、日本以外の国は急速に発展して物価がどんどん上がっています。
外国人観光客が大挙して日本に押し寄せてきているのは日本が安い国になったからです。
母国語ではない海外に住むのであれば、それなりの生活環境を確保する必要があります。現地の方と同じ環境で生活できるのであればまだ安い場所はあるでしょうが、そうでなければそれなりの出費は覚悟する必要があります。
一方で、日本は東京を除けばかなり安い国です。人口減少も影響して地方の賃貸物件が安いからです。それなりの都市に住めば車も不要であるため、生活費を抑えた生活ができるでしょう。
海外での生活費と日本の地方での生活費を比較すれば実は対して変わらない、あるいは日本の方が安いということもあり得るのです。
国内移住か?それとも海外移住か?
このように説明すると、海外へ移住するよりも国内の地方都市へ移住した方が金銭面でも生活面でもよさそうに感じます。
特に政令指定都市クラスの街であれば、家賃が安いに関わらず公共インフラは整備されています。
例えば、以下でご紹介している福岡、名古屋などはセミリタイア生活を送るのに適した街になるでしょう。
海外での生活は大きな財産になる
一方で、海外で生活することのメリットに大きな経験になる、学べることがあるという点が挙げられます。
海外に身を置くことは、言語を習得するだけでなく、文化を学んだり海外の勢いを肌で感じることができます。
著者が学生の頃に海外に長期滞在した時も、海外旅行で数日行くのとは訳が違いました。実際に生活をしてみて日本なんかより全然発展していると思う部分もありましたし、たくさんのトラブルを経験して日本の良さを見つめ直す機会にもなりました。
もし海外へ移住したいという気持ちがあるのなら、チャレンジしなければ後悔してしまいます。
お金の面ではマイナスになる可能性もありますが、そこはしっかりと準備して解決すればよいのです。
例えば、以下の本では海外ノマド生活についてさまざまな情報が紹介されています。海外セミリタイアとは違いますが、海外での生活をイメージする上でもこのような本を参考に準備を進めておくのがよいでしょう。
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著者の海外セミリタイア戦略
何を隠そう著者もセミリタイア後に海外での生活を検討している一人です。
ただし、私の場合は海外への完全移住までは考えていません。
以下のような方針で海外に中期的に滞在する方針でいます。
- 日本の地方都市へ移住し低コストで生活
- 年数回数ヶ月単位で海外へ中期的に滞在
- 将来的に自分に合った国を見つけたら完全移住も検討
いきなり海外移住するのはハードルが高いため、まずは数ヶ月単位での旅行を通じて自分の海外への適正を見極めるつもりです。
日本に住民票をおいておけば証券口座を閉じる必要はありませんし、NISAなどの税制優遇制度も引き続き利用可能です。
確かに日本と海外を行き来することになるため、航空券代などが嵩む可能性はあります。しかし、これもセミリタイア生活なら航空券が安い時期を選んで海外へ行くことが可能ですから大きな問題にはならないでしょう。
ジョージアやマレーシアなどのようにビザなしでも1ヶ月以上の滞在が可能な国もたくさんあります。
まずはそのような国を中心に中期的に海外生活をするのです。その後、気に入った国が出てくれば真剣に海外移住への準備を進めていくつもりです。
まとめ
本記事ではセミリタイアして海外移住する場合の問題点を特に金銭面や投資の面に絞ってご紹介しました。
日本を出て海外へ移住すると日本の証券口座を閉じる必要があり資産形成上は不利になります。
また、今や日本の方が安い国になりつつあり、生活費は海外の方が高くつく可能性すらあります。
一方で、海外に実際に住んでみなければ分からないことはたくさんあります。海外での生活経験はきっと自身の人生において大きな財産になるはずです。
まずは日本に住所を置いたまま海外に長期滞在してみることがおすすめです。もし気に入った国が出てくれば、実際に移住を検討するのがよいでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。