「SPYD(SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF)という米国高配当ETFをご存知でしょうか?」
下記記事では、人気の米国高配当ETFである「VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)」という商品をご紹介しました。
VYMは高配当ETFという割には、配当利回りは3%程度とそこまで高くありません。税引後で考えると配当利回りはたった2%程度です。
一方で、同じ米国高配当ETFであるSPYDは、4%以上の配当利回りを誇ります。
本記事ではこのSPYDという商品の魅力をご紹介したいと思います。株価の上昇は未知な部分がありますが、高い配当利回りが魅力のおすすめETFです!
高い配当利回りが魅力のSPYDの概要
世界の3大資産運用会社であるステート・ストリートが提供するETFであるSPYDは、2015年に設定された比較的新しい商品です。
2021年1月現在の純資産総額は約2,750百万米ドル(約2,885億円)です。短い運用期間にもかかわらず、それなりの資金を集めており、人気商品と言えるでしょう。
また、運用会社へ支払う経費率も0.07%/年と非常に低い水準です。仮に100万円投資した場合、700円/年しか経費がかかりません。
そんなSPYDの主な特徴を3つ挙げます。以下ではこれらの特徴について1つずつ説明していきます。
SPYDの主な特徴
- 不動産セクターの割合が高い
- 4%以上の高い配当利回り
- 株価の成長は未知
不動産セクターの割合が高い
SPYDは、S&P500という米国の優良企業で構成される指数の中から、配当利回りの高い上位約80銘柄を投資対象にしています。
参考にSPYDを構成する約80銘柄のうち上位10銘柄を下表に示します。
順位 | 銘柄 | 構成比 |
---|---|---|
1 | Invesco Ltd. | 1.81% |
2 | NetApp Inc. | 1.66% |
3 | ViacomCBS Inc. Class B | 1.63% |
4 | Comerica Incorporated | 1.62% |
5 | Xerox Holdings Corporation | 1.61% |
6 | Regions Financial Corporation | 1.60% |
7 | Broadcom Inc. | 1.55% |
8 | Fifth Third Bancorp | 1.53% |
9 | Simon Property Group Inc. | 1.53% |
10 | Citizens Financial Group Inc. | 1.51% |
注:2020年12月31日時点
1位のインベスコは資産運用会社で、2位のネットアップはIT系の会社です。AmazonやFacebookなどの大企業は入っていませんので、馴染みのない会社が多いかもしれません。
また、セクター別の比率を下表に示します。SPYDの特徴として、不動産が約17%と高いことが挙げられます。同じ米国高配当ETFであるVYMやHDVは不動産をほぼ含みません。
順位 | セクター | 構成比 |
---|---|---|
1 | 金融 | 27.00% |
2 | 不動産 | 16.69% |
3 | エネルギー | 11.47% |
4 | 公共事業 | 10.27% |
5 | 情報技術 | 9.71% |
6 | 通信サービス | 7.43% |
7 | 素材 | 6.92% |
8 | 生活必需品 | 4.38% |
9 | 一般消費財 | 3.81% |
10 | ヘルスケア | 2.32% |
注:2020年12月31日時点
4%以上の高い配当利回り
SPYDの魅力はなんと言ってもその「高い配当利回り」にあります。
2015年の設定以来の配当金の推移を下表にまとめます。2016年〜2020年の配当金は年間あたり1.4ドル/株〜1.7株程度でした。
また、各年の株価の最高値と最低値を下表に示します。
最高値(ドル/株) | 最低値(ドル/株) | |
---|---|---|
2015 | 30.450 | 28.510 |
2016 | 36.413 | 27.190 |
2017 | 38.125 | 34.440 |
2018 | 38.740 | 32.590 |
2019 | 39.610 | 33.680 |
2020 | 39.900 | 21.020 |
注:最高値、最低値は終値ベースで算出
仮に各年の最高値で購入したとしても、約4%の配当利回りを確保できる計算です。少し株価が下落した時に購入していくだけで、5%近い配当利回りを十分狙えます。
2020年はコロナの影響もあり、一時的に7%以上の配当利回りになった時期もあったくらいです。
株価の成長は未知
SPYDの2015年の株価は30ドルで、2021年1月末の株価が約34ドル/株です。したがって、今のところ株価の上昇はほとんどありません。
もちろん、運用期間は5年程度と短く、はっきりとした傾向はまだ分かりません。
また、今回のコロナショックで約40ドル/株から約22ドル/株へと約45%近くも株価が大暴落しました。
現時点の株価が約34ドル/株ですから、まだコロナ前の株価に回復していません。高い配当利回りの代わりに、不景気には暴落を覚悟しなければいけません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
SPYDは配当利回りが4%以上も期待できる商品です。配当金に魅力を感じる人にとっては、第一候補になる商品でしょう。
一方で、過去の株価の推移を見る限り値上がり益はあまり期待できません。配当金と株価上昇の両方を考えるとVYMやHDVに見劣りする部分もありますが、配当金に絞って考えれば他の商品を圧倒します。
セミリタイアを目指す人や配当金に強い思いがある人は、SPYDの購入を検討してみてはいかがでしょうか。
以上、ご参考になれば幸いです。